ワシントン
バス停にホームレスがいたけど、いないことにした。バスを待つ僕たちみんなで。ひどい臭いだったけど、ひどい臭いじゃないことにして、思い出したりしていた。本当のことを。
そうあの日、大統領になろうと思い、桜の樹を切った。言うのを忘れてた。あの樹は、僕たちが切った。大統領は僕たちだ。大統領は嘘つきだ。
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バス停にホームレスがいたけど、いないことにした。バスを待つ僕たちみんなで。ひどい臭いだったけど、ひどい臭いじゃないことにして、思い出したりしていた。本当のことを。
そうあの日、大統領になろうと思い、桜の樹を切った。言うのを忘れてた。あの樹は、僕たちが切った。大統領は僕たちだ。大統領は嘘つきだ。
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今日も動物を見ていない。更に引き続き。そして変な夜だった。
今日は木曜日なのに、土曜日のような感じがする。でも明日が、日曜日のような感じはしない。
なんでだろうな。
明日が来るような感じがしない。
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30年前のことを知っている。30年前のことを憶えている。長く生きるってびっくり。
空は画の映らないテレビみたい。5分前のこと憶えてる。
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僕の腕時計は7分進んでいる。1年で1分進む。特殊な機能を持った、デジタル式の時計だ。
腕時計はつけていてもあまり見ない。正確な時計を見て、その時刻に7を足せばいいから。それでわかるから。
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カエルに電気を流す、という実験をやったことがある。昔理科の時間に。あれは何の実験だったのだろう。
雨を待っている。雨で網戸を洗おう、と思っている。小雨が降ってきた。
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人間に価値はない。必要な人間はいる。不必要な人間はもっといる。しかし価値のある人間はいない。
それが僕の価値観だ。僕の価値観にも価値はない。とここまではいい。
その価値観が僕の価値観であるためには僕が必要だ。僕が支えている。僕は不可欠だ。
けど僕に価値はない。でも僕は必要とされている。僕にその価値はないという価値観から。
上手く丸めこまれている。そんな気がする。とても上手く。
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今日は動物をまだ一匹も見ていない。そのことについて焦りを感じている。昨日僕が見た動物は、カトンボを一匹だけだった。カトンボは真夜中のバスの中を漂い、多くの乗客に、不快感を与えていた。とりわけ女性に。23時30分。とても悲しかった。僕の「今日の動物」が、このカトンボになることは、確実だったから。
ゾウを飼うことの最大の利点は、ゾウが毎日見れること、だと思う。17時間ぶっ続けで起きていたのに、その間見た動物は小バエ一匹、ということもあり得ない。ゾウを担保しておけば。
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仕事が欲しいわけではない。仕事が要る。
困ったもんだ。僕はもっと仕事を欲しがらなければならない。
リアリスティックに、リアリズムを見限ったリアリストのように。
そう現実的に。
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僕はこの仕事が大嫌いだが、僕に他の仕事はできない。そこは誤魔化したくないと思う。そこから逃げたくないと思う。そう思って僕は目覚める。毎朝。
自分で自分を憐れむことの卑しさをも自分に許す。毎朝。
人は卑しい、人は憐憫に値すると書き、男がドアノブで首を吊って死んだ。それでは何もわからない。
テレビでは「大物」の芸人が、自分の言葉に自分で笑っている。
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Everybody's got a hungry heart
飢えた心を抱えたみんな
Everybody's got a hungry heart
痩せた心を抱えたみんな
Lay down your money and you play your part
お前の金を賭けて
Everybody's got a hungry heart
「お前」という役を演じろ
"Hungry Heart"
‥‥
Come on, baby, light my fire
僕に火をつけてくれ
Try to set the night on fire
夜を燃やしちまおうぜ
"Light My Fire"
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幸せなふりをすることは、幸せになるための第一歩だ。僕は実感がない。
他にすることがあるふりと、何もすることがないふりを、交互に繰り返して、どこへ向かおうとしているのか。
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朝バス停で空を見上げていると息苦しくなってきた。空はどこまでも遠いのに。どこまでも遠いから苦しくなるのか。それとも寝不足か。この湿気のせいか。
観光客が原爆ドームに来て、J-POPの歌詞のような感想を口にしている‥‥。
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四国のない日本列島のようなお弁当箱見た。
本州にごはん。日本海にウインナー、とハンバーグ。九州にレタス。北海道にポテト。
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女ができなかった、という理由で人を殺すような人間は、ハーレムに住まわしてやっても、また別の理由で、人を殺すだろう。
仕事上のストレスを理由にして、動物を虐待するような人間は、ストレスから解放されても、すぐにまた、何かのきっかけで、虐待を再開するだろう。
インターネットは悪くない。携帯電話は悪くない。社会は悪くない。いや社会は悪いけど、何が良くなっても、人は変わらないだろう。
たぶん。
そして僕は落ちていくのだ。憎しみではなく、尊敬の念と、愛と感謝の気持ちが連鎖していく関係を、思い描くことの中に。
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突然思ったのだけど、小子化対策って、エコの精神には反する。子供を産み、子供を育てやすい社会というのは、エコな社会ではない。人口が減少すれば、二酸化炭素の排出も減る。
サミットでは食料不足の問題も主要な議題になるらしい。そこで提案。先進国はお酒を作るのをやめたらどうか。米を使って日本酒作るなんてもったいない。葡萄を使ってワイン作るなんてもったいない。麦を使ってビール作るなんてもったいない。
食えよ。
景気対策。それもエコに反する。物が売れなくなって物が作られなくなる不景気はエコだ。あとタバコ。畑ではモロコシ作るべし。酒飲んでタバコ吸っていいのは他に娯楽もない可哀想な貧民だけ。
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理由もなく人を殺せる人は、理由がなくても人を愛せる人だ。誰でも良かった。そう強がってみせる殺人者には、理由があったのだろう。本当は誰でもいいわけではなかったのだろう、と思う。
でもどんな理由があったのか、本当は誰が良かったのかは知りたくないよな。なんとなく。
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今どき、死にたい、この世から消えてなくなってしまいたい、と思ったことが一度もない人は、少し変わっていると思う。誰でも一度くらいは、死にたい、そう思うことがあるのではないか。
人はなぜ自殺するのだろう。病気や経済的な理由で、か。しかしいじめも貧困も病気もない、完璧な楽園をつくったところで、死にたいと思う人間は、なくならないだろう。
楽園は完璧でも、人は完璧ではないから。人が「死にたい」と思うのは、普通のことだから。ごく普通のことだから。
そしてその内の何割かは、実際に死を選ぶ。退屈したとか、楽園には飽きたとか、たぶんそんな理由で。夢、天国の話題独占。と理由もなく人を殺す奴だって、出てくるだろう。
楽しく真面目に生きている奴が鈍感だとか、死なないでいることの方が異常だとは言わない。でも自殺者だって病気ではない。理由もなく人を殺す人だって、鬼ではないと思う。
アマッタレ。いやそうかも知れない。けどそういうレッテルが見えなくしている、見えづらくしているものもあるのではないか。
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見た夢が、現実の自分にとって、どのような意味を持つのか考えるのが夢判断(夢占い)だけれど、現の出来事よりも夢に重きをおく僕のような人間は、その逆をやってみるといいと思う。
たとえば今日、僕は白い靴を履き、スーパーで白身の魚を買い、それを調理して食べたわけだけど、それは僕の夢に対し、どのような影響を与えるだろうか。たぶん何の影響も与えないと思うが。
殺人など、凶悪犯罪の発生件数は減っている。もっとも多かった昭和30年代と比べると、約半数になるらしい。その事実は僕の夢に対し、どのような影響を与えるか。影響はまったくないだろう。
僕の夢に対し、影響力を持たない現実は、現実の僕にとっても、あまり大きな意味を持たない。だけど僕が笑ったことも、僕が泣いたことも、夢は憶えていないようだ。まったく。なぜだろう。夢で笑ったことを、夢で泣いたことを、僕は少し憶えているのに。
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憎しみより、悲しみの方がいい。僕は言った。
君がいることを憎むより、君がいないことを悲しむ方がいい。君がいないことを憎むより、君がいることを、悲しむ方がいい。僕は言った。
一緒にいるときも、離ればなれになるときも、ちゃんと悲しませてくれ。僕は言った。僕はしつこい。
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見かけのいい機械は、大抵、中身もいい。近ごろでは人間も機械だから、見かけのいい人間は、中身もいい、ということになるのだろう。外面を磨くことで、人間は機械に近づくのだ。
ところで内面を充実させていくと、機械はおもちゃに近づく。
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左腕のないOLと一緒にお墓参りに行った。その若さで彼女は墓を持っていた。左腕を埋葬するための小さなお墓。
左腕のないOLが僕を見て、左足のないホームレスの話をした。ホームレスは墓を持っていない。足は埋葬されなかった。「処分」されたんだよ。
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右足の太腿の裏側が攣ってしまった。粋がって膝を曲げるのも難しい超ピタピタのジーンズを穿いていたものだから、辛かったよ。10分ほどのたうちまわった。今も後遺症に苦しんでいる。脱臼みたいに、クセにならなきゃいいけど。
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幸せになってみて気づいたのだが、君は幸せになるために生きてきたわけではなかった。幸せになってみてわかったのだ。幸せになることと生きることは違う。幸せになろうとする人が、生きようとするのは間違い。生きようとする人が、幸せになろうとするのも、間違い。
どうでもいいことだ。たぶん、僕にとってもそう。僕は思う。君は幸せになれない、とわかっていても生きるだろう。幸せになれるとわかっていても、死ぬだろう。全部普通のことだ。
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シマウマの出産シーンを見たことがある。シマウマの赤ちゃんは生まれてくるときに泣かなかった。サルの赤ちゃんも泣かない。人間だけだ。あんな苦しそうな声で、泣き喚きながら生まれてくるのは。
クロマニヨン人の赤ちゃんはどうだったのだろう。進化のどの段階で僕たちが泣きながら生まれてくるようになったのか、興味はある。
人類はまたいつか泣き止むのか。あるいはそのうちにヒトは、笑いながら生まれてくるようになるだろうか。10万年後には、まるで明石屋さんまのような、引きつった笑い声を響かせ。
従来のように、泣きながら生まれてきた旧人類を、笑いながら生まれてくる新人類が支配する。まさに地獄だけれど、そんなことはあるだろうか。
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男が好きなのが女で、女が好きなのが男だとするなら、夜型人間は朝が好きで、朝型人間は夜が好き、ということにならないだろうか。必ずしもそうはならないのかな今は。
ないものを探すのではなく、あるものに気づこうとしている。スピリチャルな人々。その姿勢は立派だが、夜好きの夜型人間と、朝好きの朝型人間は、一緒の世界には住めまい。そうした断絶が起きているような気がする。
つくりあげた「ひとつの世界」というものの価値を、いまだに信じている。僕は古い人間だ。世界に一緒に住みたいのではなく、一緒の世界に住みたい。
僕のような人々と、世界を住み分けようとしている、排他的な人々。男と女。ゲイになることで、女と住み分けようとしている男。金持ちと貧乏人。貧乏人と住み分けようとしている金持ち。
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愛に終わりなどない。愛には半減期がある。
半分になるのに1年、そのまた半分になるのに1年、さらにまた半分になるのに1年。それが永遠につづく。
小さくなる。その半分になり、さらに小さくなる。ゼロに漸近する。いつか知覚できなくなる。でも決してなくなりはしない。
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発表するつもりはない。伏せ字にしておこうと思う。隠しておこうと思う。て○○んて○○んという○○を見つけた。
て○○んて○○んに相当する価値、行為、感情、それはこの世にはない。僕の中にもない。ないものを見つけるというのは奇妙だ。
とりあえず僕がて○○んて○○んと名づけたそれ、他の発見者たちが、それぞれ別の名前をつけて、心の中にしまっておいたそれ。
て○○んて○○ん。
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ビスケットを食べて、ワインを飲む夢を見た。
何というか、とくべつなビスケットであり、とくべつなワインだった。僕は思う。
それは、僕が夢見る、数千年も前から、人類の集合無意識の中に用意されていて、僕を待っていた。
誰もが見たことはあるが、誰も飲めなかった。夢の中のワインは、僕のワインだったのだ。
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「いい質問ね」と彼女は言った。満足そうに頷き、親し気に僕の背中を叩く。まるで「おはよう」と言っているみたいに。僕が聞き間違えたのかも知れない。
一緒にいるとき、相手に「今世界で、いちばん幸せな人間は自分だ」と思わせる。そんな簡単な魔法も、使えないのか。
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最後に好きになったバンドを、いちばん好きになった。代わりになるようなバンドは、結局見つからなかった。マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。
彼らは奪った。何も与えてはくれなかった。あの音を聴いていると、僕は息ができなくなった。それが良かったわけだが、心臓を動かせなくなり、その場に崩れ落ちる。
僕が彼らを聴くことをやめると、そのあとで彼らは、僕に与え始めた。何を? 時間を。でもその時間を、僕は待つことにしか使えなかった。17年経って、彼らは活動を再開した。またすべてを、奪いにきたのだ。
お帰りなさい、としか言えない僕。
でも、それで良かった。
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僕は水が怖い。僕は泳げない。もしも泳げるようになれたら、水が怖くなくなって、楽しいだろう。
それは空が飛べるようになって、高いところが怖くなくなるような感じ、なんだろうか?
あるいは泳げるということは、高いところが怖くなくなって、空が飛べるようになる、そんな感じかも知れない。
水が次第に「高いところ」に似てきた今‥‥
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日本には、2種類の女がいる。
松たか子に似ている女と、それ以外だ。
テレビに出ている女や、テレビに出たがっている女、東京に住んでいる女、東京に住みたがっている女、また、風俗で働いている女は、ほとんど全員が、「松組」と言っていいと思う。
.
ここで面白いのは、松組のトップにいるのが、松たか子本人ではない、という事実だろう。
(松組のトップは、松嶋奈々子なんである。)
.
輝ける凡庸、松たか子の輝きの理由は、そこにあると思う。
あなたにも、チャンスはある。
松組では、松たか子本人でなくとも、実力さえあれば、トップになれるのだ。
トップにはなれなくても、あなたは松たか子なのだ。それが松組だ。
.
特権的な、オダギリジョー本人でなければ、入ることすらできないオダギリ組とは、大違いでなのある。
大違いなのである。
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好きだったことを思い出していると、ちょっと変な気持ちになる。
僕が「好きだったことを思い出している」と、頭の中で、ザ・スリー・オクロックが鳴るのだ。
「ジェット・ファイター」が。
「スチューピット・アインシュタイン」が。
「ホエン・ザ・ライトニング・カム」が。ウオォゥ、ウォウォゥ、ウォッ‥‥
好きだったことを思い出していると、そう僕は、「スリー・オクロックというアメリカのロックバンドが好きだったこと」を思い出し、
最初に思い出していたことを、忘れてしまうのである。
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僕は詩人ではない。僕が詩人になれなかったのは、才能がなかったからではない。才能は性格だと思う。性格は誰にでもある。僕が詩人になれなかったのは、働きもせず昼過ぎに起きコアラのマーチを食べながら寝そべって録画の『The有頂天ホテル』を見ることを自分に許すような「性格」だったからだ。
詩人の性格とは呼べまい。
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死ぬ気にならなくても人は死ねる。「死ぬ気になれば何でもできるだろ」というのは別に、「死ぬ気にならなくても何でもできる人のセリフ」ではなくて、死ぬ気にならなければ死ぬこともできないような人のためのセリフ、だと僕は思う。
そういう人もいる。
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自分について並ぶ男たちに横顔を見せようと女が立ち位置をあれこれ工夫している間ずっと僕はもじもじしていた。
ついに女はくねくねし始めた。横顔の綺麗な女がバスを待っている。
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個性という意味でも、能力という意味でも、僕は特別な人間ではない。
僕の代わりはどこかにいると思う。僕はかけがえのない存在ではない。
それでも僕は、愛されている。僕じゃなくてもいいのに、僕を必要とする人たちは必ずどこかにいて、僕はそこにいる。
君しかいないから。君がいちばんだから。
人が人を必要とする理由として、それはあまりにも不誠実だと思う。
オンリーワンだったときの私は、誰も必要とせず、誰からも必要とされず、孤独だった。
それが本当だろう。僕の代わりはない、かけがえがない、といった理由で僕が求められるなら、僕は不幸だ。
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学校と病院の中間のような施設で、教師と医師の中間のような人物から、教育と治療の中間のような措置を受ける、という、はっきりしない夢だった。
生徒と患者の、中間のような僕だった。学生証と保険証の中間のような紙切れ。
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マックが導入される以前の現場で、僕はバイトのG・デザイナーだった。
また、建築事務所では、トレーシング・ペーパーに手書きした製図を、青焼きして持っていた。あおやき。
今でもあるのか?
僕はあの青が好きだった。使ってもらったことさえある。線描を青焼きしたイラスト。ずいぶんと色々なところに、持ち込んだ。
ライターだった。そしてまた。僕はワープロを使えなかった。使わなかったのではなく、使えなかった。
けどそれで良かった。
初めてした仕事は、年賀状の仕分けだった。コンビニだったかも知れない。手で入力するレジ。
知的障害者に、絵を教える仕事をしていた。知的障害者、なんて言葉は、なかったけど。僕たちは別の呼び方をしていたけど。
仕事ではなくて、あれは、ボランティアだったけれど、給料はもらっていて。
カネはたぶん、バブルとか、税金対策とか、そんなこと。
1万円札を丸め、煙草のようにして、火をつけ、その煙を吸う。そういうパフォーマンスを見た。
パフォーマンスっていうか‥‥
焼身自殺する、自分の姿を、セルフで撮影したビデオが、美大の「卒業制作」だった。そういう時代の。
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死ぬ夢を、僕は見られた。彼女の夢の中で、車にひかれた。僕が死んだ、ということを信じられず、彼女は僕に、メールを送りつづけた。返事はない。合い鍵を使って、部屋に入り、僕を待った。そのうちに、涙が出てきたけど、帰らなかった。
コンコルドに乗って、宇宙に行った。月の砂漠に、腰まで埋まった。出発前、飛行機の中で、殺人事件が起きた。でも、僕も含め、関心を示す者はなかった。スタッフも、僕たちにシートベルトを締めさせるのに忙しく、それどころではなかった。
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何かの取材で、僕はヘリコプターに乗った。上空でカメラを構えた。すぐに目が覚めたので憶えている。僕がカメラだと思っていたのは、白い豆腐だった。
小泉今日子の昔の写真を見ていた。僕は最初、写真の女が小泉今日子だとは、気づかなかったが、声でわかった。もちろん、写真が喋ったわけではない。でもどこからか、あの声が聞こえて、僕の目を覚ました。
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死ぬ夢を、僕は見られた。3日連続で、僕は死んだ。今日も夢の中で、僕は、記憶喪失の人魚だ。こんな小さな音で、ニルヴァーナを聴くのは、もうやめ。痛む足を引きずり、誰かに会わなければならない。声にならない声で、何かを伝えなければならない。ひどく退屈して、ひどく自信たっぷりに、それを待っている彼らに。
もっと生きたい、と思ってもっともっと生きるのは、何も考えずに、すぐ死ぬより、きっと苦しい。「見捨てられた十代の、王と女王になるのは、誰か?」僕は、思い出さなければならない。
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しかし僕は、勝ったのか、誰が1号なのか、まだわからない。
昨夜は女性の友人と一緒に『絶対彼氏』を見ていた。
絶対彼氏1号と絶対彼氏2号が戦う話で、面白かったのに、彼女は30分余りも外で電話をかけていた。
電話の相手は男友達2号で、『絶対彼氏』を録画しておくよう、指示を出していたのである。
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