2019年6月26日

平均律

 

『平均律』の最初のプレリュードを弾こうと練習していた。完全に暗譜していて楽譜を見る必要はなかったが、念のために目をやると音符はあるべき場所から移動していて、その通りに弾くと違う曲になってしまう。そうしてどうしても上手く弾けない僕に、ピアノを教えてくれるのが君だった。

 

 

 

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飛行機を飛ばす

 

 朝目覚めると、部屋が飛行機のコクピットになっていた。窓から見える景色が、格好いい。夢中になって写真を撮りまくったが、保存した画像を見てみると、そこに写っているのはいつもの我が家の寝室だった。

 

 女房と子供はまだ眠っていた。これは全部夢なのだと僕は気づいた。女房が目を覚ました途端、目の前の光景は消えてしまうだろう。子供たちが飛行機のコクピットを目にすることもないのだろう。

 

 女房が眠るベッドにそっと腰掛け、彼女をもう起こすべきなのかどうか、あるいは僕は1人でこの夢の中に残り飛行機を飛ばす方がいいのか、考えていたけど結論は出なかった。

 

 

 

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2019年6月25日

おにぎり

 

 おにぎりのような形をした三角形の山の斜面に、家が建ち並んでいた。巨大なおにぎりは海に浮いて、ぷかぷか流れていた。さらに高い山の天辺から僕はそれを眺めて、なんとなくジブリのアニメを連想した。

 

 

 

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2019年6月24日

さしずめ

 

 今日のことは明日決めればいいさとのんびり過ごしていると、夢の中に明日の自分があらわれて色々と僕に指図する。とりあえず記録するだけにした。忘れてしまわない内に。

 

 

 

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鶏もも肉

 

 コーヒーカップほどの小さな青い鍋で、パスタを茹でようとしていた。具には鶏のもも肉があったはずだが、なくなっていた。驚いて女房に訊ねてみると、隣の奥さんが‥‥、という返事。何語を話しているのか、まったく聞き取れない。何度も聞き返している内に、お隣から冷凍の鶏肉が届けられた。

 

 

 

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タイヤ 指輪 ブルース

 

 友達と一緒に遊びに行こうとして、彼のバイトが23時で終るのを待っていたが、引き継ぎが上手くいかないようだった。新人の深夜勤の女のコに、タイヤの径の測り方を教えて、友達の手は泥だらけになってしまった。

 

「どこかに手を洗う場所はないかな?」僕は駐車場の脇の水道の蛇口を指差した。ちょっとこれを持っていてほしい、と彼はハート型の指輪を外して僕に預けた。

 

 そこに俳優のブルース・ウィリスがやってきた。立ちションをして手を洗うために。何でこんなところにブルースがいるのか理解できなかったが、とりあえず僕たちはサインを頼んでみることにした。

 

 

 

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美しい町

 

 急な山道を登っていた。空を見上げると太陽があるはずの位置に時計が貼り付けてあったので、これは書き割りの風景なのだなとわかった。麓の町はヨーロッパの旧市街。声が僕に囁いた。そこは世界一美しい町だと。

 

 

 

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2019年6月23日

アリとシマウマ 探偵 カボチャ

 

 服を着た巨大なアリたちが、シマウマの群れを率いていた。曲がりくねった廊下を行く、先頭のシマウマが何者かに撃たれた。倒れたシマウマの腹に空いた穴が大写しになると、シマウマはボール紙製なのだとわかった。本当に死んだわけではなかった。アリたちも勤務時間が終って、家に帰ろうとしていた。

 

 湖のほとりの市場。探偵とその若い助手のもとに、銃撃事件の連絡が入った。探偵の携帯電話は、ハロウィーンで使うカボチャだった。電波を受信して、喋るカボチャだ。若い女の助手は、それを見て「かわいい」と言う。探偵はそんな助手が大好きなので、プロポーズすることにした。

 

 

 

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2019年6月22日

係の駅

 

 道端で老人が歌っていた。「胃が欲しけりゃ、いんいんいん、係の駅」

 

 

 

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ラッパー ピアニスト

 

 その車のフロントガラスは、ガラスではなくビニールで、雨が降っていて、ワイパーもなかった。助手席に友人を乗せ、僕はコンサート会場に向かっている、と言っても、そこはちゃんとしたホールではなく、デパートの催事場だった。

 

 右折のために減速しようとすると、なぜか車は加速してしまい、タイヤが下品な音を立てて鳴った。「ひっでぇ運転だな‥‥」と友人は言った。「ユーターンして戻って来ればいい」と僕は応じた。

 

 コンサートの開始までまだ時間があったので、僕はデパートの中を見て回っていたが、友人はずっと駐車場の車の中でスマホをいじっていた。やがて時間になった。僕は別の友人2と合流して席に着いたが、友人1はまだ車の中だった。

 

 ラッパーが曲を始めたころ、ようやく友人1は会場に入って来て言った。「何なんだ、この曲は?」

 

「クラシックとラップの融合‥‥」僕が宣言すると、ブーイングが起きた。

 

 僕たちの席からはピアニストの背中が見えた。背中を丸め、膝の上の楽譜を覗き込んでいて、そうか、傍から見ると、僕はこういうふうに映るのか、と思う。ピアニストは僕だった。僕は、まだ曲を暗譜できてなくて、楽譜をめくりながら、辿々しく弾くのだった。

 

 

 

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2019年6月20日

en temps réel

 

 夢を録画で見ていた。リアルタイムでは見れなかったので。途中で来客があり、パソコンの前を離れた。録画を誰かに見られてしまったかも知れない。恥ずかしくなったが、それを僕の夢だと思った人は、いなかったようだ。意味不明のくだらない動画だと思ったようで、それなら良かった。

 

 

 

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 そこには、女しかいなかった。町は人混み。全員が女性だった。通り過ぎるタクシーを運転しているのも、工事現場で鉄骨を組んでいるのも、小銃を構えた警官も、みんな女。僕は間違った場所にいるような気がした。

 

 そのうちに人々が、僕を見て、指差し、「女」「女」と言った。今さら「違います、僕は男です」と白状するわけにもゆかず、黙っていた。年嵩の女性に、「女は出歩かない方がいい」と忠告された。そのとおりだった。僕はいちばん近くにあるドアを開けた。そこにいたのも、みんな女。僕を見て、びっくりしたように呟くのだった。「えっ?」「女」「嘘でしょ」「女だ」。僕がそう見えるなら、いったい何が問題で、彼女たちは何を驚いているのだろう?

 

 

 

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2019年6月19日

elle

 

 エル・モンケー(彼女に足らないのは)とフランス語が紙に書いてある。足らないのは、何だろう。読もうとしても読めない。顔を近づけたり、目を細めたりする。すれ違う人が僕の顔を見て、「エル(彼女)」「エル」と呟いていく。

 

 

 

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整理券

 

 ビルの屋上。整理券をもらうために並ぶ夢を見た。食料の配給なのだった。

 

 

 

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2019年6月17日

哺乳類

 

 べッドの中で、手が僕を握ってきた。僕も手を握り返した。ピアニストとしては、決して大きくない手。けど柔らかい。関節以外のところでも曲がるんじゃないかと思わせる。

 

 その手の先にある体は、君の体ではなかった。別の哺乳類の胴体があった。抱きしめて、いつのまにこんな体に変形したのか、と僕は不思議に思う。圧し潰されて、僕はベッドの上の平べったいシーツのようになっていった。

 

 

 

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湖に向かう

 

 北海道(また北海道)。ホテルに戻ったのは朝方だった。もうチェックアウトの時間だった。一緒に泊まったビジュアル系ロックバンドのメンバーは、既に部屋を出ていた。僕も荷物をまとめていると、ガテン系の若者がやってきて、ドライブに行きませんかと僕を誘った。

 

 部屋に置いてあった小さな車で、僕たちは出かけた。急な坂を上った。雪が降ったらこんな坂道は大変だろう、と僕は言った。そのときにはタイヤの空気圧をギリギリまで低くするんです、と若者は答えた。

 

 ドライブには途中から、その若者の友達のホテルのスタッフも加わった。僕は今日で仕事を辞めるんです、とガテン系の若者は言った。田舎に帰るんです。それで最後に湖を見たいなと思って。

 

 雨が降ってきた。フロントガラスも屋根もないその無蓋の車で、僕たちは寒さに震えながら走った。目が覚めると本当に寒かった。トイレに行き、Tシャツの上にフリースを羽織り、首にタオルを巻いて、もういちど寝直した。非常に印象深い夢だったが、暖かくなると、もうその夢のつづきは見なかった。

 

 

 

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2019年6月16日

巣の中

 

 長い廊下。両側に扉のない小さな部屋が並んでいる。強いて言えば病院かホテルだが、たぶんどっちも違う。蟻か蜂の「巣」のようだと僕は思う。

 

 薄暗い廊下をまっすぐ行くと、図書室だった。ここは5時には閉めるよ、と係の人が告げる。でもそれは僕に言った言葉ではない。彼の独り言なのだ。

 

 

 

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2019年6月15日

ミイラ男

 

 僕は手紙を書いた。紙にボールペンで。君はなかなか読もうとしない。当然まだ返事もない。

 

 1曲目のピアノ協奏曲が終ると、その後はもう君の出番はない。「そしたら客席を抜け出して」と君は誘う。「楽屋に遊びに来てよ」どうしようかな。

 

「私が目当てなんでしょ。オーケストラなんてどうでもいいんでしょ。世界が破滅しても明日の太陽が昇らなくても私が今ここにいればそれでいいんでしょ」そうだけど、そこまでは言ってない(手紙にはそんなことは書いてない)。

 

 というわけで楽屋に。ホールの演奏が、小さく聴こえてくる。それをバックに、僕たちは小声で話す。「1曲の演奏で、1リットルの水分が失われる」とか。「50曲弾けばミイラだ」

 

「ところで返事はもらえないの?」声が掠れる。水を飲むと、さらに喉が渇く。気づけばアンコールの拍手が、君を呼んでいる。

 

 僕はステージの端まで、君をエスコートしていく。「返事は今からする」と言って、君は誰も知らない曲を弾く。ミイラ男のための曲。

 

 

 

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2019年6月14日

不謹慎なジェラシー

 

 学生寮に入ることになった。基本、2人部屋なのだが、ルームメート(になるはずだった人)が急死したので、僕はその部屋を1人で使うことになった。

 

 本音ではみんな羨ましいんだろうけど、表立って羨ましいと言うのは不謹慎なので、誰も何も言わないのである。

 

 

 

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2019年6月13日

紙の皿

 

 夏のとても暑い日、僕は家の2階で、イラストボードに抽象画を描こうとして、紙の皿に水を汲んできたところ。1階には誰もいなかった。

 

 家の前の道路、子供らが水遊びで使うビニールプールが置いてある。水はそこから取った。大人の男の人が1人そこで遊んでいた。

 

 

 

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夜の箱

 

 夜の箱というと、フランス語ではディスコのことなのだが、それはディスコではなくて、本当に夜の箱だった。

 

 箱を開けると、中に夜が入っている、わけではなくて、夜でできた箱なのだ。

 

 材質が夜、ということ‥‥。中に何が入っているのかは、覗いてみてもよくわからない。

 

 ☆

 

 見上げると、見慣れない夏の星座。星の光が、滲んだようになって膨張している。

 

 星空に手を伸ばすと、星座の下のボタンがクリックできるようになっていて、その星座の名前や由来を知ることができた。

 

 

 

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別世界

 

 記録を振り返ってみると僕は夢の中ではいちども働いたことがないようだが、近くのコンビニが時給5万円でバイトを募集しているのを見て、ちょっと応募してみようかな、と思う。あぁしかしよく見てみると、その店には10万円以下の商品は置いていない。従業員にしても訪れる客にしても、僕とは住んでいる世界が違う。違いすぎる。

 

 

 

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2019年6月10日

非常扉

 

 ほぼ満席状態の電車が駅に着くと、隣に座った女性が大儀そうに、やれやれ・まったくというふうに立ち上がり、背面の窓を開けて線路に下りていった。正規の入り口の扉から乗り込んできた乗客はその様子を見て、誰も僕の隣の席に座ろうとしないのだった。背面の非常扉も開いたままだった。

 

 

 

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2019年6月 9日

僕は水泳ができない

 

 僕は泳げないが、夢の中ではときどき泳げる。真冬の、しかもこんな明け方に水に入ったら、心臓が止まってしまうのではないかと思う。でも実際は平気だ。全然平気だ。湖の沖の方までクロールで泳いで行き、流木に捕まる。

 

 8時ごろになって、ようやく太陽は昇ってくる。それまでには僕は部屋に戻り、朝食の席についている。今朝はどこまで行ったの? と訊かれない限り流木のことは話さない。僕はまったく泳げないが、わさわざ訊かれない限り、「泳げる」とも、「泳げない」とも言わない。

 

 

 

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バナナ・タワー

 

 家に白人の老夫婦がやってきて、僕が対応することに。ウェルカン・トゥ・アワ・レストランと言ってしまってから、慌ててビアベニュシェヌーと言い直したが、奥さんの方はにこにこ笑っているだけで、無返答。何語を話す人なんだろう、と思った。通じなかったっぽい。

 

 夫婦を案内したテーブルに、ウェディングケーキを模したバナナ・タワーが建てられているのを見て、ただでさえ狭いテーブルに、こんなものを設置されたのでは、食器を置くスペースがないな、と内心思ったが、奥さんの方は、やはりにこにこして、面白がっている様子。

 

 

 

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2019年6月 8日

子犬のワルツ

 

 ステージに1人。すり鉢状の客席を見上げていた。客席の中程に、ピアノが設置してあり、そこで君は弾いた。最高の子犬のワルツを。僕はステージを降り、客席の階段を駆け上った。

 

 

 

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横になる

 

 男2人女2人のグループで移動していた。車で南に行く。道中、カフェで休憩していると、偶然に居合わせた昔の知り合いの女性が、僕たちのテーブルにやってきて、僕に説教し始めた。友人たちは呆れてものも言えない。

 

 彼女が去った後で、女性2人は、その行動ではなく服装のセンスについて、「変だ変だ」と言う。

 

 グループの男性はプロレスラーのような大男だった。今度はその彼の昔の仲間がやってきて、一緒に酒を飲もうと、僕たち全員を誘った。だが「僕はアルコールはだめなんです」と大男は謝って誘いを断り、その場で横になってしまった。

 

 

 

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2019年6月 6日

ピンク色の雪

 

 病院のベッドで寝ていた。少年と一緒の病室だった。僕は明日退院だったが、少年はその日に亡くなった。僕は駆けつけた少年の父親と、外に出て少し歩いた。

 

 雪が降ってきた。ピンク色の雪だった。僕たちは驚いて、夢中で写真を撮った。すべてがメルヘンチックなピンク色の雪で覆われると、父親は少年の名前を呟いた。病院は小高い丘の上にあり、周りには何の建物もなかった。

 

 

 

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D

 

 はちみつはフランス語で何というのか、辞書を引いてみるのだが、Dで始まる単語だと思い込んでいるので、なかなか見つからない、という夢を見た。

 

 

 

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2019年6月 5日

動画

 

 夢で、君と僕が写った写真を見ている。まるで、映画の一場面。あたりは騒がしく、80年代ふうの髪型をした僕たちは、顔をくっつけあって、小声で話をしている。唇と唇が、触れあわんばかり。

 

 僕の左斜め後ろにあるカメラに気づいた君が、さらに小さな声で、僕に何かを囁く。そして唇に指を触れると、僕が静止画だと思っていたその夢の中の情景は、動き出す。

 

 

 

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2019年6月 4日

神の手

 

 食事をするのに便利だと思って、みんなの手を4本にしてあげた。なのにみんな、大喜びでふざけまわって、食事どころではない。僕の真の意図を理解できている者は、誰もいないようだ。手を増やしてあげたのは僕なのだと、気づいている者さえいない。

 

 

 

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2019年6月 3日

アイスの絵

 

 小さな女の子がアイスが欲しいと言うので、渡した。ついでに紙も渡した。何で? という目をするので、絵を描くといいよ、と僕は答えた。何の絵? アイスの絵を描きなよ。

 

 わかった、と女の子は言った。けど女の子が描いたのは、

 

 

 

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寄付

 

 女のコが部屋で髪を切っていた。30センチほど。寄付するのだとか。

 

 彼女は言う。こういうのは昼に切った方がいいのよ、と。夜に切るよりも。自分で。

 

 

 

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2019年6月 2日

 

 床に長さ2メートルの黒い髪の毛が1本落ちている。と思ったら違った。紐だった(夢)。

 

 

 

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今にわかるよ

 

 Vous allez voir / Tu va voir (今にわかる・わかるはずさ)と鳴りつづける目覚まし時計を抱えて、大学の広大な敷地の中を歩く。美術大学の美術部に入るなんて、よっぽど絵を描くのが好きなんだね、という会話が聞こえてくる。さらに歩くと校門が見つかる。やっと外に出ることができた。

 

 町は異常な人混み。その雑踏の中、電話ボックスを探して歩いた。写真を撮って、携帯電話の存在が小説やドラマをつまらなくした、という記事に使うつもりなのだ。しかしどこにも見当たらない。

 

 銀色の車体に赤い花の絵が描かれた路面電車。後ろからやってきた。駅ではないところから飛び乗った。人が歩くより、さらにゆっくりと走る電車だ。座席には、ウェデイングドレスを着た花嫁が、花婿とは離れて座っている。白い腕時計に、何度も目をやる。腕時計をした花嫁なんて珍しいな、と僕は思っている。

 

 ノロノロ蛇行する電車を、人々が追い越して行く。僕は車窓をぼんやりと眺めている。母親と手を繋いで歩く女の子と目が合った。ねぇ、どこに行くの? どこまで行くの? 車外から女の子は僕に声をかける。

 

 

 

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2019年6月 1日

自転車操業

 

 真面目な話。保有するETFの時価総額は増えたり減ったりしている。それを担保にして借り入れた現金がある。そのお金でまた株を買い、その株を担保にしてまた金を借り、みたいなことが延々とつづく(真面目な話、いつまでつづけられるだろう)。

 

 身にしみて実感する。自転車操業とはこういうことをいうのか、と。ふむふむ。しかしそこまでしても僕にはまだ飛行機に乗って外国に行く理由があるのだった。2度と戻らないつもりの旅に出る理由はちゃんとある。

 

 村上龍の言ったとおりで、みんな多かれ少なかれ何かに追い立てられて生きている。大統領から兵士までみんなそう。そしてその上に探すべきものもないってことだってあり得る。僕だってそうなっていたかも知れない。けれど奇跡はちゃんと起きた。

 

 必要以上に揺れる飛行機の中ではワインが飲み放題だ。僕は鼻歌を歌いながら、地球の反対側まで行く。僕には何の用事もない。「地球の反対側」の方でも僕に用はない。ただ理由がある。自分だけにわかる理由があり、そして夢は当たり前のように正夢になっていく。

 

 生活に追われ追い立てられ帰る家がなくなったとしてもだ、僕が行くべきところは決してなくなったりはしない。用もないのにやってきた僕を、戸惑いながらも大歓迎してくれる君がいるかぎりは。

 

 

 

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花の香

 

 扉を開けて廊下に出ると、花の香りがした。階段を上がっている間も、ずっとその香りはしていた。どこで香っているのだろう。お隣が使っている、柔軟剤の安っぽいフローラルの香りとは違う。本物のお花の香りだった。

 

 

 

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2019年5月31日

時計を探す

 

 エレベーターに乗ってやってきた。場所はデパートのレストラン街のようなところ。僕はそこをホテルだと思っていたがホテルではない。たぶん9時ぐらいのはず、でも腕時計は2時を指している。何かの拍子にリューズが外れて、針が動いてしまったらしい。僕はお店を覗いて、正しい時刻を指している時計を探した。

 

 

 

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2019年5月30日

階段に布団

 

 1階の玄関部分が、駅になっている家で暮らしていた。たくさんの人が出入りして、騒がしいことは騒がしいが、それほど気にならない。階段に布団が敷いてある。昨晩は誰かそこで寝たのだろうか。僕は朝遅くに起きて1階に下り、窓を開けた。もう夏だった。隣接する公園で、子供たちが野球をしている。次のバッターは背の高い女の子。左打席でブンブンと素振りをしている。

 

 

 

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アクエリアス味のカルピス

 

 景気づけにアクエリアス味のカルピスを飲んだ。その後でアクエリアスを飲んだらカルピスのような味がしたので面食らった。アクエリアスもともとどんな味だっけ? アクエリアスもカルピスも飲むのひさしぶりすぎて本当は味なんか覚えていない。

 

 

 

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2019年5月29日

遠征

 

 私は高校生だった。女子のバレー部の試合で遠征する。バスは満員だったので、両親の車に乗った。そうすると顧問が、規則違反だ、退部してもらう、と私を脅す。別に全然構わなかった。退学してもいいくらいだ。親が運転する車で、歌を歌って私はご機嫌だった。

 

 場面は変わって、僕の性別も男に戻っていたが、同じ夢のつづきだった。「ぼくらは古い墓をあばく夜のあいだに‥‥」耳が隠れるくらい、やや長く髪を伸ばした僕は、ステージに上がって、だろう・はずさを歌う。伴奏はギターではなく、きらきらと輝く音を出すピアノだ。

 

 

 

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2019年5月28日

歩行者たち

 

 小型の電気自動車で、フランスかどこかの高速道路を走った。知り合いが何人か同乗していて、僕が運転した。道は渋滞していて、ノロノロ運転の二輪車が、目の前で次々と転倒した。

 

 僕たちは車から出て、歩くことにした。インターを歩いて下りる。一般道はすごい人混みだった。誰も彼もが車道を歩いている!

 

 後ろから日本語の会話が聞こえた。双子の姉妹だった。振り返って挨拶しようかどうしようか、迷いながら何歩か歩いた。昔の知り合いとこんなところで会うのは、何となく気恥ずかしかった。

 

 

 

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2019年5月27日

モノクロ

 

 学生ふうの若い女性が、モノクロのフィルムを持ってきた。僕に現像とプリントを頼みたいと言う。今どきフィルムで写真を撮る人がいるのか? けど僕は引き受けた。暗室をつくるところから始めなければならない‥‥。

 

 そうすると別の女性もまた、モノクロのフィルムを持ってきた。現像してみると、写っていたのは普通のスナップや、自撮りと思われるポートレートだ。いちども会ったことのない女性だったが、どの写真にも、その女性と、僕が一緒に写っていた。戸惑った顔をする僕の隣で、その女性は笑ったり、ヘン顔でピースサインだったりしていた。

 

 

 

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もらいもの

 

 誰かに何かをもらった。「誰かにもらった」ということは忘れてしまったが、その「何か」はずっと僕の中に残りつづけたので、そのまま使っていた。使いつづけても減ることはなかった。とてもいいものなので、好きな人に分けてあげようと思った。その人は僕からもらったということを忘れてしまうとしても。

 

 

 

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2019年5月26日

団地の脇

 

 40年以上昔、子供の頃住んでいた団地の脇の芝生だった。樹が倒れている。根があるはずの部分は、金属とコンクリートでできた「部品」で、5月から6月まで修理、と書かれた札が掛けてあった。

 

 

 

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耳 草原 黒人の歴史 ストーン

 

 外国の友人たちと美術館にいた。僕の耳を見て「ゴミが溜まっている」と言った友人が、ヘラのようなものを使って、歩きながら僕の耳を掃除してくれた。日本語の間違いではなくて、本当にゴミが溜まっているのだった。美術館の床にゴミを撒き散らしながら展示を見て歩いた。

 

 それはドローンで撮影した緑の草原の3D映像だった。墓がある。所々に木のベンチがあり、リンカーン大統領やキング牧師やマルコムXが腰掛けている。それだけの映像なのだが、それはアメリカの黒人の苦難の歴史と、明るい未来を暗示しているのだ。僕は何度も見たいと思った。

 

 だが出発の時間だ。2階建てバスに乗り見下ろすと、すぐ隣を女優のシャロン・ストーンの乗った車が走っていて、気づいた僕たちが手を振ると、向こうも手を振って応えてくれた。

 

 

 

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2019年5月25日

エニシング

 

 異常に背の高い男女が、身を屈めて、僕に話しかけてくる。と思ったら違った。僕が小さくなっていたのだ。僕は子供で、話しかけてくるのは両親なのだろうか。僕は英語で、エアウェイだかエアプレンだかエニシングだかの単語を言おうとしている。大事なことなのだ。けどまったく伝わらない。何かおかしなことを言っている、と背の高い男女は顔を見合わせて笑う。

 

 

 

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1240

 

 僕は19歳の大学生だった。数秒から数十秒、記憶が飛んでしまうことがあった。でもそのときは特別だった。いきなり数年分の記憶が飛んでいて、僕は恋人らしき歳上の女性と、電車を盗んで逃走しようとしていた。

 

 電車の中には医務室があり、僕は中年の男性の診察をしていた。「何も問題ありませんよ。さぁ、早く電車から降りて下さい」。数年の間に、僕は医者になっていたようだ。

 

 さて僕もその車両から降り、運転台に乗り込み、パスワードを入力して、コンソールのロックを解除しようとする。パスワードは四桁の数字だった。1240、その数字はわかっているのだが、二桁の数を掛け合わせて、1240にしなければならなかった。20 x 62 だろうか。だがそう入力しても、ロックは解除されない。僕たちは紙と鉛筆で、何度も計算を繰り返した。

 

 

 

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2019年5月24日

50

 

 運動会のような白いテントの下に並び、大きく50と書かれた紙を渡された僕は、その数字を見て大喜びで、また別の列に並ぶ。

 

 

 

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2019年5月23日

PRの動画

 

 日本のどこだかの観光地をPRする動画だった。女のコ2人が、水着になったり、浴衣に着替えたりして、何やら喋っているのだが、よく見てみると、知り合いのコだったので、夜になって、お座敷で食事をする最後の場面まで、結局見てしまった。

 

 

 

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駅の放送

 

 ドイツの駅に着いた。駅前には路面電車の乗り場があった。待ち合わせのホテルまで乗って行こうと思い、路線図を眺めてみたが、複雑すぎて、どの路線に乗ればいいのかわからない。ちょうど朝の通勤時間帯で、混雑していた。諦めて歩くことにした。

 

 駅の放送を使って、日本人の男のコが、恋人に呼びかけていた。「おれの言ったこと、冷静に考えてみてくれ」。全文日本語だった。

 

 駅前の商業地区を、歩いて抜けて行く。店はまだ開店していない。道端にビニールシートを広げて、母親と金髪の子供たちが、ママゴトをして遊んでいる。

 

 美術館やコンサートホールの建ち並ぶ地区まで来ていた。あちこちにある地図で確認してみると、僕は目指すホテルを、いつの間にか通り過ぎてしまったようだ。

 

 

 

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キャピキャピ

 

 1年間高校に通わなければならなくなった。遅刻ぎりぎりで登校したら、いきなり職員室に呼び出された。服装が、いろいろ校則に違反しているらしい。まぁ初日ですからと、気の弱そうな教頭が取りなしてくれて、無事教室へ向かった。

 

 担任は眼鏡をかけた若い女の先生だった。「イジメられちゃうかも知れないって、心配してたの、でも良かった、カッコイイー」とキャピキャピ歓迎してくれた。男子は全員下を向いていたが、女子は教科書を見せてくれたり、ノートを貸してくれたりと、みんな親切にしてくれた。

 

 

 

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2019年5月22日

キッチンの向こう側

 

 キッチンで、君が料理をしている。その向こう側は、カフェになっている。そのカフェと僕たちの住む家は、キッチンを共有しているのだった。台所には多くの人が出入りして、ずいぶんと騒がしい。「私は気にしない」と君は言う。「ここなら夜中にピアノを弾いても、誰の迷惑にもならないから」

 

 僕の返す言葉に、君は笑った。でも僕は自分が何と返答したのか、覚えていない。

 

 

 

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より軽い死体

 

 そのマラソン大会の、参加者は2人だけだった。人間の死体を担いで山道を走る、肉体的にも精神的にも過酷なレースだ。より軽い死体を巡って、参加者同士で争いが始まった。道端に放り投げられた重い方の死体は、そのショックで目を覚まして言う。おれはまだ生きているぞ、と。

 

 

 

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餞別

 

 時計店に、泥棒が入った。高級腕時計と、売上金が盗まれてしまった。店主は気落ちして、廃業すると言う。店の専属の時計スタイリストも解雇された。若くハンサムな男で、人気があったのだが。

 

 盗まれずに残った時計を、店主が投げ売りし始めたのはチャンスだった。転売する目的で、僕たちは大量に買い付けに行った。店の外には、スタイリストの男がいた。バイクに跨がって、どこか遠くに行くと言う。大丈夫、きっとまた上手くやれるはず。僕たちは買い付けた時計を、彼の腕に何本か巻いてやった。

 

 

 

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大吉夢を見る

 

 9階のエレベーター前に、大便専用トイレがあった。箱型のテントが2つあって、その中に便器が設置してある。自分の部屋のトイレでウンコをしたくない住人が、そこで排便するのだ。なぜか知らないが、誰も流さない。僕は見かねて、ときどきテントの中を覗き、ウンコを流している。その日も見ていると、子供を連れた母親がやってきた。子供は右に、母親は左のテントに入って、やはり流さなかった。

 

 

 昔読んだ夢占いの本によると、ウンコが残ったままのトイレの夢は「大吉夢」なのだそうだ。さて。

 

 

 

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滝の音

 

 坂道を上り切ったところで見上げると、滝だった。高層ビルの屋上から、大量の水が落ちて跳ねていた。それは真夏の都につくられた、涼しげな人工の滝なのだ。本物の滝と違って、音がまったくしないのが、不思議だった。音がどこに行ったのか、探して歩いている内に、目が覚めた。

 

 

 

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2019年5月21日

子供向け

 

 細長く延びる廊下、胸に子供を抱きかかえて歩いた。たくさんの部屋があり、扉は開いていた。清掃中のホテルか、マンションのようだった、がよくわからない。そのまままっすぐ行くと、子供向けの絵本や、玩具を売っている店があった。そこは空港か駅ナカのような雰囲気なのだ。僕と同じように子供を抱きかかえた若い男性が、絵本を選んでいた。とくに理由はないが、何となく彼と目を合わせないようにして、僕も店を見て回った。ただそれほどゆっくりはできない。乗るべき飛行機があるような気がした‥‥。

 

 

 

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佐伯祐三の妻

 

 実際のパリを歩いて、佐伯祐三の絵を思い浮かべることはまずない。が記憶の中のパリを思い出そうとするとき、僕の頭の中には米子夫人がいて、その現実の風景に加筆して、「佐伯祐三のパリ」にしてしまう。

 

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 濡れて黒ずんだ、暗い冬の町。僕の記憶の中には、そうじゃないパリもいっぱいあるはずなのに、彼女はそのパリに黒い絵の具で加筆して、町の全体をそういう思い出に変えてしまうのだ。

 

 

 

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ドリブル

 

 たまたまだけど、小学生のときの同級生の1人と会った。初恋の人? 本当に? 本当に私のこと覚えてる? 彼女は訊いた。本当はよく覚えてなかった。

 

「お父さんと一緒に、よく家の前でバスケットボールで遊んでたよね、ドリブルしたりして」「そこに偶然、自転車で通りかかったんだ」「楽しそうだな、いいお父さんだなって思った」「お父さん、今もお元気?」

 

 そう話すと、あのころよくやったように、彼女は僕の背中を何度も、力いっぱい殴りつけた。「何知らないふりしてるの? 父はあのあとすぐに死んだんだよ」

 

 40年という時間も、懐かしくはなかった。彼女の拳と涙で、思い出したかったことも、思い出したくなかったことも、全部いっぺんに思い出して、結局僕は悲しくなったのだ。

 

 

 

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2019年5月20日

トライアスロン

 

 トライアスロンに挑戦する、という女性が、川岸に立っている。穴だらけのミニの青いワンピースは、どうやら水着らしい。そのままの格好で、川に飛び込んだ。取材のTVスタッフが、ボートで追いかけて行く。

 

 女性は無事に、向こう岸に辿り着き走り始めた。見ている僕の足下に、大型犬の死骸が2体流れ着いた。異常に歯並びのいい、健康的なマッコウクジラの死骸も、岸に打ち上げられた。女性が飼っていたクジラだ。

 

 

 

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ゴング

 

 ボクシングの試合をすることになった。対戦相手は普段着姿の女性だ。開始時間を過ぎても、なかなかリングに上がってこない。ちょっと用事があるから、と言って、リングの周りをうろうろしている。レフリーも呆れて、構わず開始のゴングを鳴らす。3分後に終了のゴングが鳴れば、僕は不戦勝ということになるだろう。

 

 

 

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トランシーバー

 

 何人かでどこかの国に観光旅行に来ていた。歩き回って疲れたので、その日は早く眠った。朝目を覚ますと、僕のスイートに、旅のメンバーが全員集合していた。ここのリビングに集まって、朝食を取るらしい。まだ寝てるのかと声が掛けられる。僕は慌ててベッドから身を起こし、そのままの格好でテーブルに着いた。

 

 隣に座った女性がスホマを取り出し、僕の連絡先を知りたいと言う。僕も自分のスマホを探した。が見つからない。僕が持っていたのは、前世紀のトランシーバーのような携帯電話だった。恥ずかしくなって隠そうとすると、大きな音と光が出て、却って目立ってしまった。

 

 

 

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2019年5月18日

冬の村

 

 卵をもらった。冷蔵庫で保管しようと思った。扉を開けると冷蔵庫の中は冬の村だった。雪が降っていた。キツネがやって来て、保管してある卵を食べようと狙う。片手で追い払った。

 

 

 

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トンネル

 

 駅にいるといろんな会話が聞こえてくる。平日は建設現場で働いているという男女のグループは、今日は水遊びも兼ねて川底のゴミを掬うボランティアに参加するらしい。

 

 駅は切り立った崖の上にあり、ホームから見える景色は絶景だった。僕は羽根の生えた女性に背中から抱きかかえてもらって、その崖の麓までジャンプした。空を飛ぶのはひさしぶりだった。

 

 舗装された道路に、片足で着地した。空は晴れていたが、目の前のトンネルの中は土砂降りの雨だった。着地のときの勢いで、一気に走り抜ける。そのトンネルを抜けると、町の中心部だった。

 

 丁度やって来た白い路面電車に飛び乗り、空いた席に腰掛けた。車内でスマホを見ている人がいないのが不思議だった。男の人たちは新聞を広げて読んでいるのだ。嫌な予感がした。僕は過去にタイムスリップしてしまったらしい。あの雨のトンネルを抜けたときだ。

 

 

 

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