2019年8月17日

電話をかけている場所

 

 僕が女友達と電話していると、娘が文句を言ってくる。

 

「私が男のコと電話するのはだめなのに、お父さんが女の人と電話するのはいいの?」

 

「古い友達なんだよ」と僕は説明する。「彼氏と別れて、今大変らしいんだ」

 

「馬鹿じゃないのその人、いい歳こいて」 

 

 そこで時間が逆転して、僕は娘がまだ小さかったころに戻っている。あれは娘がいなくなった日のことだ。ちょっと目を離した隙に、迷子になってしまった。僕は真っ青になって、あちこち探し回った。そこに電話がかかってきたのだ。

 

 

 

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赤煉瓦の町

 

 部屋に木が生えている。伸びた枝の先を追っていくと屋上に出た。赤いレンガが敷き詰められている。

 

 広い。どこまでがうちの屋上なんだろう。あまりにも広い。四辺が霞んで見えない。街路樹があり、道があり信号があって、通行人がいて、そこは1つの、小さな町になっているようだ。

 

 写真を撮っておこう、と思った。僕のスマホは赤いノートに挟まっていた。ノートにはたくさんのプリントされた写真と、さらにたくさんの領収証が挟んであった。あとで整理しなければ。領収は要らないな、と思った。

 

 

 

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2019年8月16日

途中下車

 

 出国の手荷物検査で何十分も待たされた。荷物に問題があったわけではない。職員が僕のキャリーケースの取っ手を誤って破損してしまったのだ。その隠蔽工作をしていたらしい。なんということだ! しかし文句を言っている時間はない。僕は空港の滑走路を走って、離陸直前の飛行機に乗り込んだ。

 

 僕と一緒に走ってくれたのは空港の職員だと思っていたが、違った。スーツ姿のその女性も乗客だった。どちらまで行かれるんですか? ビジネスシートに座った彼女に訊ねた。私は途中の沖縄で降りるのよ、とスーツの女性は言った。

 

 

 

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2019年8月15日

白衣を着る

 

 研究所の白い建物が見える。僕は白衣を着て、何人かの研究員と共にその建物の前にいた。

 

 

 

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2019年8月14日

笑う月

 

 信号機の上に丸い月が出ていた。信号が変わる度に赤くなったり、緑色になったりしている。ふざけて遊んでいるのだ。僕もちょっと可笑しくなって笑った。

 

 

 

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2019年8月12日

蜘蛛の糸

 

 浩宮天皇と一緒に、秘境の寺にやって来た。ピラミッドのような石段があり、それを登って天辺まで行く。ヘトヘトになっている宮内庁職員や僕を余所に、山登りで鍛えている天皇は涼しい顔をしている。

 

 その先は、高所恐怖症の僕にとっては悪夢だった。神殿のある向こう側のピラミッドまで、細い鉄骨の上を歩いて行かなければならないのだ。バランスを崩して落ちれば死んでしまうだろう。

 

 天から何本か、「蜘蛛の糸」的なロープが垂れている。それに掴まって歩けばいい。しかし昔話によるあるパターンだと、悪人が掴んだロープは切れてしまうのだ。浩宮天皇クラスの善人なら余裕だろうが、お付きの者は全滅に違いない。

 

 要は、バランスを崩さなければいい。ロープに頼り過ぎてはだめだ‥‥。下を見ないようにしよう、と思ってもついつい見てしまう。下にはいつの間にか天皇がいた。

 

 さっきまで僕たちといたのは影武者だった。浩宮天皇は安全な地上でグラス片手に女性陣と談笑していた。

 

 

 

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2019年8月11日

ラード

 

 牛の着ぐるみを着た男が、ラードを分けて欲しいと僕に言った。

 

 牛肉をフライパンで焼くんだよ。そのときにラードを使うの? そうだよ。

 

 男は目を伏せてじっと僕の足を見ながら話した。

 

 

 

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2019年8月10日

映画

 

 君とデートで、映画を観に来ている。小さな映画館、客はあまりいない。映画は悪くなかった(と思う)。でも外国語のセリフがよく聞き取れず、睡眠不足ということもあって、僕は途中でぐっすりと眠ってしまった。

 

 腕をつつかれて目を覚ますと、映画は終っていた。というかそこは、映画館ではなかった。夜の半球を行く飛行機の中、僕はシートで寝ていたらしい。「いつから寝てたの?」君は訊いた。僕はいつから眠っていたのだろう。

 

「映画、良かったよ」

 

 それで集中して、僕は最初からその映画を観ている。狭い飛行機のシート、白い毛布に包まり隣で君は寝ている。通路を通りかかった、スッチーの足が僕の肘に触れる。

 

 

 

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2019年8月 9日

猫踏んじゃった

 

 列車の座席には擬人化された巨大な猫がいて、鼾をかいて眠っていた。すぐ隣ではピアノが「上を向いて歩こう」を演っている。その音で僕だけが目を覚ました。毎朝この時間に弾いているのだろう。そのせいでこの前「上を向いて歩こう」を歌う夢を見たのだ。

 

 大猫は列車に置き去りに。

 

 

 

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2019年8月 8日

Killing me なんとか

 

 女友達の部屋に行った。彼女が出してくれた飲みものを飲んだ。すると急に眠くなり、僕は意識を失った。

 

 目を覚ますと病院のベッドの上だった。僕は殺されかけたのだという。「あの女が」と君は話した。「睡眠薬を盛ったの」僕と心中するつもりだったらしい。でも最後の最後で気が変わり、彼女は1人で飛び降りて死んだ。

 

 遺書があった。「キリング・ミー・ソフトリー」と書いて僕の背中に貼付けてあった紙は、遺書なんだろう。まったく信じられない。

 

 夢なのかも知れない、と僕は思った。そうに違いない。僕は目を覚ましていないのだ。そしてここは病院ではない。僕は今まだ女友達の部屋にいる。クラシックのコンサートの帰り、部屋まで送ったのだ。

 

 そこでお酒を出されたが、僕は飲めないと言って断った。「アルコールは発癌性物質だから」すると彼女はちょっと嫌な顔をした。その顔をずっと覚えている。忘れようがない。彼女は本当に癌になってそのあとすぐに死んだのだから。

 

 

 

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ブラックジャック

 

 川が増水して、車が水没しかかっていた。普段はこの川に水はなく、好きなところを渡って向こう岸に行けるのに。僕は水に浮いた板の上を歩いた。反対側からワイシャツ姿の太った男が歩いてきた。あのメタボは金を持っている‥‥、何の脈絡もなく僕はそう思った。

 

 書店に入ると『ブラックジャック』の豪華本が目立つ場所に山積みしてある。

 

 

 

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オレンジ

 

 僕は巨大なオレンジを手に、何人かの仲間と草野球のグランドにいた。オレンジはスイカのような大きさと重さで、へたの部分から1本毛が生えていた。僕はその毛を掴んでハンマー投げの要領で振り回し、仲間の方へ放り投げた。

 

 友達とベンチでその様子を見ていた君は、「見て、男のコたちがバカな遊びをしてる」と楽しそうに笑った。

 

 

 

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2019年8月 7日

中庭 警察の聞き込み

 

 2階に上がる階段は2つあった。僕はあまり使わない方の階段で2階に行き、あまり使わない方の寝室から、中庭を挟んで向かいの、よく使う方の寝室を眺めていた。

 

 よく使う方の寝室には、聞き込みに来た刑事がいた。何かを探しているようだった。2年前に起きた女性失踪事件に、僕が関わっていると疑っているのだ。

 

 

 

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2019年8月 6日

師走

 

 空港にやってきたアイドルの女のコがテレビの取材を受けている。前日には野球チームとグランドにいたあのコだ。僕はそのコの桐箪笥サイズのスーツケーツを運んであげる。中には何も入っていないので意外と軽い。

 

 そんなことをしていたので、約束の時間に遅れそうになってしまう。見ると向こうからも僧侶の格好をした師が走ってこちらに向かって来る。まさに「師走」だなぁ、と僕はぼんやり思う。

 

 

 

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屋根裏部屋

 

 僕はレストランの屋根裏部屋に住んでいる。白い壁、グレーの床、部屋の真ん中に洗濯機が置いてある他は何もない部屋だ。

 

 梯子で下の階に降りながら、この部屋と洗濯機の写真を撮って君に送ろう、と僕は考えている。

 

 フォトジェニックだ。まるで前衛芸術家のアトリエのようだ。

 

 レストランでは僕のために特別メニューが用意されている。忘れていたけど、今日は僕の誕生日なのだ。僕は用意された奥の席につく。

 

 長さ50センチもある銀のスプーンとフォークを渡された。それで食べろということだろうが‥‥料理が何であれ、それは難しそうだ。

 

 

 

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赤いガンダム

 

 戦争が終わり、赤いガンダムに乗った兵士が、隠していた南京袋を探して、山の中にやって来る。南京袋には保存食が入っている。

 

 数週間は食べていけるはず。

 

 ガンダムを乗り捨てて、兵士は民家の2階に住み着く。1階には耳の聞こえない老婆が住んでいる。電話のベルが鳴りっ放しだが、老婆は気づかない。

 

 誰かが老婆に何かを知らせようとしているのに。たぶん2階の兵士の正体を。彼の本当の目的を。

 

 

 

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変化球

 

 部屋には大勢の人がいて、一緒に食事をしている。僕の右隣には君がいる。ハンバーグを手に取り投げてくる。僕もフライドポテトのバットを構える。鋭い変化球だが、僕は曲がり鼻を上手く捉えて、ホームランにしてしまう。ははは。

 

 

 

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2019年8月 5日

ケーキ

 

 僕は家で見知らぬ若い女性と朝食を食べている。冷蔵庫の中にはケーキがある。それを意識してか、僕たちは無言だ。

 

 その女性が、さりげなく冷蔵庫を開け、ケーキを一切れ皿に取る。僕もつづけて二切れ手に入れた。

 

 女性はスマホをいじりながら「どうでもいいわ」というふりをしているが、その手は怒りと焦りで震えている。

 

 

 

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2019年8月 4日

白黒コピー

 

 アニメのオタクふうの中年男性が、免許証の自分の顔写真を、何百倍にも拡大して白黒コピーしている。目的は不明。僕もコピーを取りたくて、その後ろに並んでいる。

 

 男の用事はなかなか終らず、僕は雑誌コーナーに移動して女性ファッション誌を読み始める。5分後、コピー機のところに戻って来ると、男は拡大された自分の顔をまだ見つめている。

 

 女性誌を手に持ち、店内で僕はサングラスをかけたままでいる。足元を見ると、クラッチとブレーキとアクセルのペダルがある。いつの間にか運転席だ。

 

 僕はクラッチを踏んで、ギアをゆっくりとローに入れる。

 

 

 

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WTC book2

 

「バッハ」と「ベートーベン」に分かれて戦った。僕はベートーベンの側についたが、明らかに劣勢だった。箱の中に潜んでアニメみたいなビーム砲を撃つのだが、敵はWTCのbook2のリズムに乗って、それをひらりひらりとかわしてしまう。

 

 ナイフを持った「バッハ」が僕の部隊の箱に襲いかかり、次々と開封していく。もうだめだ、と観念した瞬間、WTCの演奏が終わり、敵は停止した。

 

 

 

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2019年8月 2日

パフィ

 

 濃いサングラスをかけた僕を、パフィみたいな格好をした2人組の女のコがジロジロ見ている。と思ったら違った。僕ではなく、サングラスに映ったパフィを見ていたのだ。何でこんなところにパフィがいるんだろう、と。不思議でしかたがないのだ。

 

 

 

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上を向いて歩こう、

 

 ギターを持った2人組が、僕に歌えと言う。もっと歌えと。小さなライブハウスに、観客は誰もいなくて、僕は天井を見上げて歌った。上を向いて歩こう、上を向いて歩こう。涙がこぼれないように。ギターの2人は、伴奏をつけるのも忘れ、言葉もなく僕を見つめていた。

 

 

 

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2019年8月 1日

ジョギングコース

 

 巨大なエレベーター。大型トラックが何台も入りそう。

 

 デパートの中を見て回っているうちに、歯医者の予約があるのを思い出した。女友達も自転車で一緒についてくると言う。

 

 僕は湖岸のジョギングコースを走ってクリニックへ向かうも、財布を持って出るのを忘れて。

 

 

 

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2019年7月29日

最後尾

 

 受付に並んでいるのは20人弱。係の人が淡々と仕事を済ませていく。

 

 戸外は明るい柔らかい日差し。大きな扉の前の机で、女の人がその作業をしている。

 

 受付が終っても扉を開けて中に入る人は誰もいない。みんな受け取った書類を鞄に入れ、そのままそこに留まり、雑談しているだけ。

 

 1人で並んでいるのは僕だけだ。雑談する相手がいない。僕は列の最後尾にいる。

 

 

 

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2019年7月28日

壁紙 雨宿り 2階建てバス

 

 家の壁紙を張り替え中だった。昨日はリビング。今日は2階の寝室。今夜はどの部屋で寝ればいいだろう?

 

 という夢を見て長い旅行から帰って来ると、僕の住むビルは大々的な改装工事中で。部屋に入れそうにない。「‥‥さんたちは近くのホテルに泊まっているよ」ちょうど通りかかった他の階の住人が、教えてくれた。

 

 僕たち、その住人の男性とそのガールフレンドと僕、は歩いてホテルに向かった。突然激しい雨が降ってきたので、僕は傘を差した。「あんたは傘持ってないの?」と女性は男に訊いた。

 

 彼女たちは喫茶店で雨宿りすることに決めたようだ。僕も歩くのはやめた。あまりにも雨が強いので、タクシーを拾うことにした。みんなが泊まっているという近くのホテルではなく、中心街のホテルに向かうよう、運転手に言った。

 

 映画の撮影のセットのような書き割りの町を行く。

 

 そんな夢を見た。バス停で大勢の人とバスを待っている。やって来たのは赤い2階建てバスだった。ロンドンを走っているやつだ。初めて乗る。僕は興奮して乗り込んだ。それでどこへ行くつもりだったのか、‥‥忘れてしまった。

 

 

 

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素晴らしいスーパー

 

 そのスーパーに入ると女子店員が待ち構えていて僕の頭をマッサージしてくれた。そのあとブラシで髪を整えてくれる。さっぱりとした気分で気持ちよく買い物ができた。

 

 

 

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2019年7月27日

21(夢)

 

 枕元のメモによると、僕はホステスとブラックジャックをやったらしい。僕がホステスだったのか? まったく覚えていないが、ホステスが連戦連勝だったらしい。

 

 

 

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2019年7月24日

ヨン様

 

 キリンのように首の長い犬(もしくは鳥)がベッドに入って来て、布団の代わりになってくれる。「お前の仲間は脱走したんだろ?」と訊いてみた。「飛んで逃げたんだろ?」そのふさふさした黒い毛を撫でながら。

 

 次の場面では僕はヨン様のようにハンサムな友人と町を歩いているところ。あの首の長い不思議な動物のイラストが描かれたTシャツを見つけて購入する。「何の絵ですか?」ヨン様は日本語で訊ねる。

 

 

 

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2019年7月21日

虚構の自分

 

「虚構の自分」と題された作文が見つかり、僕はそれを読んでいる。縦書きの原稿用紙に、若い女性が書いた罪の告白もの(?)だ。私が今までやってきたことはすべて「虚構の自分」がしたことで、本来の私の意志とは異なる、というのだった。

 

 確かに自分の意志ではなかった。けれど「虚構の自分」がすることを面白がっている私もいた。そのうちに私は「虚構の自分」のファンになっていた。

 

 あなたを好きになった。私が好きになったのではない。「虚構の自分」が好きになったのだ。あなたには何の興味もなかったが、「虚構の自分」の一挙一動を追いかけている内に、自然とあなたが好きになった。でもあなたが好きになってくれたのは、私ではなく、私の中の「虚構の自分」だっだ

 

 あなたの愛を独り占めしたくて、私は「虚構の自分」を殺した。そうして私自身が虚構になった。しかし虚構の存在と化した私を愛してくれるあなたはいなかった。「あなた」もまた「虚構」だったのだ。

 

 階段を上がる私も虚構。下りるあなたも虚構。私たちは踊り場ですれ違うことすらない。

 

 

 

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2019年7月20日

古民家

 

 僕は大きな家の2階の寝室で寝ていた。つくりは日本の古民家のような家だったが、部屋にはベッドが入っていた。トイレに行きたくなって目を覚ました。

 

 襖は開いていて、隣の部屋が見えた。廊下を歩いて行く。幾つもの和室がある。和室にはベッドが入っていて、ベッドには知らない人が寝ている。

 

 一階のバスルームに行く。ここは洋風だ。バスルームの電気を点けようとして、スイッチに触れると、家中が明るくなってしまう。

 

 

 

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オーパーツ

 

 バスは定められた経路を外れて町の中心部を大きく迂回している。そのわけがわかった。万引き犯を捕えるため、非常線が張られているのだ。なんて大袈裟な‥‥

 

「犯人が盗んだのは」とそのハンサムな男は言う。「まだ発売前のOSだ。千年後の人類が遺跡から掘り出したら、オーパーツに認定するだろうと言われている画期的なOSだ」

 

「あれを使えば、人類の未来を変えられる」と男は言う。「すごい」と僕。「でもそんなの、普通の人には使いこなせないと思う」

 

 日差しが強い。僕は帽子をかぶっている。

 

 僕たちは取材のヘリに乗せてもらい、大捕り物の現場を上空から眺めた。パトカーにしてはやけにカラフルな車が、何百台も見える。

 

 町の中心でヘリから降り、泊まっているホテルに戻った。僕たちはゲイのカップルで、あるコマーシャル・フィルムに出演することになっていた。キスシーンもある、そんなものをお茶の間に流していいのだろうか。

 

 不安になる僕に、「時代は変わったのさ」とその相手役の男は言う。「さぁここでリハーサルをしよう」。僕たちは高級食料品店の看板の前でキスをした。

 

 

 

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2019年7月19日

英語の歌

 

 紫色の花を持った小さな女の子が、英語の歌(シャンソン・ダングレ)を歌っている。女の子は僕の娘で、僕は自分の未来の夢を見ているのだ。あるいは僕が見ているのは過去で、女の子はもしかしたら君なのかも知れない。僕は子供の頃の君に、いつから英語を習っているのかと訊いてみた。岸辺に自生するラベンダーを指差し、あの紫色の花がそうなのか、訊いてみるのだった。

 

 

 

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2019年7月17日

むらさき

 

 僕は靴を履いたままベッドで寝ていた。目を覚ますともう昼で、黒だと思っていたそのブーツを太陽の光で見ると、紫色だった。通販で買ったんだっけ。キラキラと輝いている。

 

 

 

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パスタ茹で過ぎ

 

 バスタブの脇にある調理場で、パスタを茹でていると、バスタブの中に枕と布団が置いてあるのに気づいた。誰が置いたのだろう。2階のベッドに返しに行く。戻って来ると、バスタブに花束がある。見覚えのある花束が。そうこうしている内に、パスタが茹で過ぎになってしまう。

 

 

 

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2019年7月16日

おどろき

 

 すごーい、おどろきー、と言いながら、君は客席の階段を上っていくけど、本当に驚いているのは周囲の観客の方で、さっきまでコンチェルトを弾いていたピアニストが、いつの間にかタンクトップに着替えて客席にいて、男友達(=僕)と腕を組んで歩いているのだ。

 

 観客の中に昔の同級生を見つけた君の挨拶の言葉もまた、おどろきー。おどろきー。楽屋に届けられた花束を、「これ、いる?」と僕に手渡す。僕はいるとも、いらないとも答えない。ただ心の中で小さく「おどろきー」と言う。その赤い花は僕の部屋に飾られることになった。

 

 

 

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陸上競技

 

 陸上の100mと200mと110m障害と400mのレースが同時に行われる。400mの走者が100mよりも早くゴールする珍事。

 

 

 

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2019年7月15日

帰り道

 

 同性愛のカップル。帰り道、車の中。助手席の女性が、実は自分は男と結婚しているのだと告白する。無表情の月が突然その明るさを増して、夜の町は真っ白になる。

 

 

 

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2019年7月14日

キタダヒカル

 

 その夢の中で、僕は「北」もしくは「北田」と呼ばれている。北田さんは人気者だった。こじゃれたお店のカウンターで飲み物を注文する僕に、「ハーイ、キタ」と声がかけられる。

 

 着飾った男女が、「キタ」「キタダっ」と声をかけていく。

 

 

 

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2019年7月13日

客席のピアニスト

 

 1曲目のプロコのコンチェルトを弾き終えると、君は楽屋で普段着に着替えて、客席で寝ていた僕の隣にやってきた。

 

 そして叩き起きした、僕を。「寝てた?」いや‥‥起きてる。

 

「嘘つき。髪伸ばしたのね、イケメンだわ」そっちこそ嘘つきだろ?

 

「ジャケットも素敵」それよりどこから入って来た? 

 

 2曲目のシンフォニーはろくに聴いてなかった。君が横に来なかったらそのまま寝てた。だからどのみちオーケストラの演奏など聴いてなかったはずだが。そしてコンサートが終る。

 

 客席にいる君に気づいたファンが、僕たちの周りに集まって来て口々に、

 

「え?」「あれっ?」「ピアニスト?」「嘘?」「あのピアニストの?」「本当に?」「さっきまで弾いてたピアニスト?」「いつからいるの?」

 

 と、言う。君は写真撮影とサインに応じる。ピースとスマイルで。実際はこうなったのだ。

 

 

 

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2019年7月12日

ハイペリオン 美容師見習い いいえで答える 冷蔵庫の中

 

 僕は広い家に住んでいた。使ってない部屋を賃貸に回したらどうだ、とアドバイスを受け、そのとおりにした。太って背の高い引き蘢りの青年が、2階に下宿することになった。僕の部屋に『ハイペリオンの没落』を借りに来た。前に貸した『ハイペリオン』がよほど気に入ったのだろう。

 

 1階に間借りしているのは美容師見習いの女のコとその母親。店に来た客と何かトラブルになったらしい。スーツを着たサラリーマン風の男が僕の部屋にやって来て言った。「僕にハガキが来てなかったかい?」

 

「ああ、あれなら代わりに返事を出しておいたよ。質問には全部いいえで答えておけばいいっていう、例のやつだろ?」

 

 1階のキッチンの、共用の冷蔵庫の中、あとで食べようと思っていたケーキが、半分以上なくなっている。

 

 

 

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脱出

 

 僕たちは2人組の泥棒で、盗んだ宝石を持って逃げ出すところだった。追っ手が迫る。重い扉を開け、僕は建物の外へ出た。

 

 そうすると突然、視点が、逃げ後れていた相棒に切り替わった。逃げ道がわからなくなっていた相棒(=僕)も、さっき僕が通ったのと同じ経路で扉まで辿り着き、建物の外へ逃げ出した。「助かったよ」と相棒は僕に言った。

 

 

 

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じもピー

 

 駅で外人の観光客が、下手くそなフランス語で僕に道を訊ねた。「‥‥に行くにはこの電車でいいですか?」僕を地元の人だと思ったらしい。が僕も同じくらい下手くそなフランス語で答えるので、少し不安になったのだろう、彼はまた別の人に同じ質問をしていた。けれどその人もまた、さらに下手くそなフランス語で返事をするのだ。

 

 大丈夫だという意味で、僕はその外人さんに向け親指を立ててみせた。

 

 

 

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2019年7月11日

サイコロカット

 

 サイコロカットされたオラウータンが床に散らばっているリムジンの中で、電話が鳴り出した。携帯電話ではなく備え付けの古風な自動車電話だ。僕たちは顔を見合わせた。

 

 

 

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2019年7月 8日

バス 鉄道 船

 

 バスが発車しようとしている。ぎりぎりで乗り込んだ。空いた席はなく吊り革に掴まって立った。立っているのは僕1人。乗客全員の視線を感じた。なんで? 僕は何かそんなに間違ったことをしているのだろうか?

 

 終点の港でバスを降りた。いつの間にか僕はバスの乗客全員を引率するツアーガイドのようなことをしていた。鉄道の駅の前の広場で、ブランドものの浴衣が売られている。そこにみんなを連れて行った。

 

 突然変な老女があらわれ、娘と結婚しろ、と言って僕の首を絞めた。本気でやっているわけではなくて、彼女にしてみればそれはただの挨拶なのだが。僕は「嫌ですよ」と冷たく答えて、駅のホームに向かった。

 

 そうすると鉄道の駅から、船が出航するところだった。

 

 

 

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2019年7月 7日

裸足で散歩

 

 町は大きな自然災害のあとのようで、建物はあちこちで崩壊していた。散策の途中で靴を脱ぎ、僕は裸足で未舗装の道路を歩いた。土の上を裸足で歩くのは久しぶりで気持ちが良かった。

 

 空中に黒いペンで絵が描いてあった。それを見ると崩壊する前の建物がどんなだったかわかる。復興を願って誰かが描いたのだろう。素晴らしいアートだった。

 

 建物の脇を、小川が流れていた。でもよく見たら違った。地下水が涌き出しているのだった。ユーカリの木が花をつけている。枝が何本か折れているが、木はまだ生きている。

 

 ユーカリの花を見るのは初めてだった。そばで手に触れてみたくて、湧き水を含んで柔らかくなった土の上を歩いて行った。

 

 

 

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2019年7月 6日

カボチャ料理の作り方

 

 見回してみればそこは混雑するデパ地下のようなところで、いつの間にか僕はカボチャを手に持った、哀れな迷える買い物客だった。その料理(上手く発音できない)の名を口にする度に、周囲の人々の失笑を買う。

 

 見知らぬおばさんがカボチャ持参であらわれて、僕に何とかというカボチャ料理の作り方を訊ねる。僕のカボチャ好きを知っての質問だろうか? でもそんな料理を僕は聞いたことがない。

 

 わからない、と僕は答えた。しかしそのおばさんは立ち去ろうとせず、一緒にいた息子らしき男の子に、この人は不親切な人だと話している。僕は拡声器を手に取り、「この中に‥‥(上手く発音できない)の作り方を知っている人はいませんか?」と呼びかけてみた。

 

 

 

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2019年7月 5日

文庫本

 

 昔の友人が本を出していたことがわかる。ペンネームで書いていたので今まで気づかなかった。でも確かにその人の作品だ。それはカナダとアメリカ、イタリアを数年かけて旅した体験を記した、やや感傷的な旅行記であり、宇宙船や光線銃が登場する古典的なSF小説でもある。文庫本で400頁ほどの長編だ。

 

 作者はこのヴォネガット的な小説1作だけを残して引退した。今はもう書いていないようだ。旅行記にあたる第一章と最終章を再読してみて気づいたが、それは僕に向けたメッセージでもあった。語り手である主人公が語りかけている相手は、僕だった。最初に読んだとき、なぜ気づかなかったのだろう。

 

 

 

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2019年7月 1日

口笛

 

 音楽コンクールの会場に向かっていた。途中、妙に柔らかい橋を渡った。体重を乗せるとぐにゃぐにゃになってしまう橋で、不安のあまり僕は口笛を吹いた。それはコンクールで演奏するはずの曲だった。審査員がそれを聴き、僕の書類にチェックを入れ籠の中に落とす。

 

 

 

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ドラマー

 

 小さなライブハウス。観客は20人くらい。ステージ脇の壁に、僕が描いた抽象画が掛けてある。僕の名前が、ひらがなでサインしてあるのを見て思い出した。それは小学生のころに描いた絵だ。

 

 コーネリアスが演奏すると聞いてやってきたのだが、ライブではなく、ただビデオを上映するだけだった。曲の途中で喧嘩が始まったのを機に、僕は会場を後にした。

 

 その隣で、知り合いのバンドのライブが行われていた。フィードバックしたサウンドに、金属的な女声のボーカル。女は黒い下着姿で歌っている。僕の知り合いはドラムを叩いている。コーネリアスより良かったよ、と演奏の後で声をかけた。

 

 ありがとうございます。実はあの喧嘩はこちらの会場に人を呼び込むための演出だったんです、とドラマーは言った。

 

 

 

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お釣り

 

 いつか来たことがある駅。見知らぬ年配の女性と一緒にいた。駅ナカの商業スペースを抜けて歩く。僕たちは空港に向かう連絡バスに乗るのだ。女性のペースに合わせて、僕は普段よりゆっくりと歩いた。本当はもっと早く行きたかったが、仕方ない。

 

 駅前のロータリーに出た。バスに乗るために小銭をつくっておきたくて、駅前をぐるっと巡り、食料品店でガムを買おうと思ったが、売っていない。諦めて乗り場に戻ると、そこにはバスではなく、飛行機が駐機していた。

 

 タラップの下には、長蛇の列。車椅子の客が先に乗り込むようだ。係員が搭乗券を販売している。大人1枚、片道でいくらですか? 千円札を出して訊くと、すみませんがこの計算機では片道の値段が計算できないんです、と係の人は答えた。往復で買うしかなさそうだが、それでもお釣りはもらえそうにない。

 

 

 

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手の夢

 

 1つの単語が、別の単語と意外な形で結びつき、思いがけない意味になるのを辞書片手に見ていた僕の背中の、肩のあたりには手が置かれていた。寝るときまで、手は僕と一緒だった。手の夢を見たような気がする。

 

 

 

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2019年6月28日

空港で結婚式

 

 僕たちの結婚式は国際空港の一区画を借り切って行われた。テレビ局も取材に来た。招待客は数万人規模。空港にあんなたくさんの人がいるのを僕は見たことがなかった。

 

 新婦がタキシードを僕に渡して言った。「先に着替えてきなさいよ」「靴をどうしようか?」「忘れてた。免税店で今から調達してくる」

 

 一般の利用客の皆様にはご迷惑をおかけしますが、と僕は放送で挨拶した。滅多にない機会ですので、ご一緒に楽しんでいって下さい。

 

「ディス・イズ・ザ・ファイナルコール‥‥」搭乗の最終案内が始まり、カウントダウン。新郎の僕にヤジが飛ばされた。「いいのか、もう引き返せないぞ(笑)」 飛行機が夜空に向けて離陸し、花火が打ち上げられた。

 

 

 

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2019年6月27日

黒 赤

 

 昼寝のときに見た夢は黒人の女2人組のバンドが、歌いながら世界中を旅する動画だった。黒い肌に赤い衣装が嫉妬して、さらに真っ赤になった。

 

 歌はびっくりするほど下手だった。

 

 

 

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2019年6月26日

平均律

 

『平均律』の最初のプレリュードを弾こうと練習していた。完全に暗譜していて楽譜を見る必要はなかったが、念のために目をやると音符はあるべき場所から移動していて、その通りに弾くと違う曲になってしまう。そうしてどうしても上手く弾けない僕に、ピアノを教えてくれるのが君だった。

 

 

 

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飛行機を飛ばす

 

 朝目覚めると、部屋が飛行機のコクピットになっていた。窓から見える景色が、格好いい。夢中になって写真を撮りまくったが、保存した画像を見てみると、そこに写っているのはいつもの我が家の寝室だった。

 

 女房と子供はまだ眠っていた。これは全部夢なのだと僕は気づいた。女房が目を覚ました途端、目の前の光景は消えてしまうだろう。子供たちが飛行機のコクピットを目にすることもないのだろう。

 

 女房が眠るベッドにそっと腰掛け、彼女をもう起こすべきなのかどうか、あるいは僕は1人でこの夢の中に残り飛行機を飛ばす方がいいのか、考えていたけど結論は出なかった。

 

 

 

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2019年6月25日

おにぎり

 

 おにぎりのような形をした三角形の山の斜面に、家が建ち並んでいた。巨大なおにぎりは海に浮いて、ぷかぷか流れていた。さらに高い山の天辺から僕はそれを眺めて、なんとなくジブリのアニメを連想した。

 

 

 

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2019年6月24日

さしずめ

 

 今日のことは明日決めればいいさとのんびり過ごしていると、夢の中に明日の自分があらわれて色々と僕に指図する。とりあえず記録するだけにした。忘れてしまわない内に。

 

 

 

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鶏もも肉

 

 コーヒーカップほどの小さな青い鍋で、パスタを茹でようとしていた。具には鶏のもも肉があったはずだが、なくなっていた。驚いて女房に訊ねてみると、隣の奥さんが‥‥、という返事。何語を話しているのか、まったく聞き取れない。何度も聞き返している内に、お隣から冷凍の鶏肉が届けられた。

 

 

 

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タイヤ 指輪 ブルース

 

 友達と一緒に遊びに行こうとして、彼のバイトが23時で終るのを待っていたが、引き継ぎが上手くいかないようだった。新人の深夜勤の女のコに、タイヤの径の測り方を教えて、友達の手は泥だらけになってしまった。

 

「どこかに手を洗う場所はないかな?」僕は駐車場の脇の水道の蛇口を指差した。ちょっとこれを持っていてほしい、と彼はハート型の指輪を外して僕に預けた。

 

 そこに俳優のブルース・ウィリスがやってきた。立ちションをして手を洗うために。何でこんなところにブルースがいるのか理解できなかったが、とりあえず僕たちはサインを頼んでみることにした。

 

 

 

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美しい町

 

 急な山道を登っていた。空を見上げると太陽があるはずの位置に時計が貼り付けてあったので、これは書き割りの風景なのだなとわかった。麓の町はヨーロッパの旧市街。声が僕に囁いた。そこは世界一美しい町だと。

 

 

 

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2019年6月23日

アリとシマウマ 探偵 カボチャ

 

 服を着た巨大なアリたちが、シマウマの群れを率いていた。曲がりくねった廊下を行く、先頭のシマウマが何者かに撃たれた。倒れたシマウマの腹に空いた穴が大写しになると、シマウマはボール紙製なのだとわかった。本当に死んだわけではなかった。アリたちも勤務時間が終って、家に帰ろうとしていた。

 

 湖のほとりの市場。探偵とその若い助手のもとに、銃撃事件の連絡が入った。探偵の携帯電話は、ハロウィーンで使うカボチャだった。電波を受信して、喋るカボチャだ。若い女の助手は、それを見て「かわいい」と言う。探偵はそんな助手が大好きなので、プロポーズすることにした。

 

 

 

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2019年6月22日

係の駅

 

 道端で老人が歌っていた。「胃が欲しけりゃ、いんいんいん、係の駅」

 

 

 

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ラッパー ピアニスト

 

 その車のフロントガラスは、ガラスではなくビニールで、雨が降っていて、ワイパーもなかった。助手席に友人を乗せ、僕はコンサート会場に向かっている、と言っても、そこはちゃんとしたホールではなく、デパートの催事場だった。

 

 右折のために減速しようとすると、なぜか車は加速してしまい、タイヤが下品な音を立てて鳴った。「ひっでぇ運転だな‥‥」と友人は言った。「ユーターンして戻って来ればいい」と僕は応じた。

 

 コンサートの開始までまだ時間があったので、僕はデパートの中を見て回っていたが、友人はずっと駐車場の車の中でスマホをいじっていた。やがて時間になった。僕は別の友人2と合流して席に着いたが、友人1はまだ車の中だった。

 

 ラッパーが曲を始めたころ、ようやく友人1は会場に入って来て言った。「何なんだ、この曲は?」

 

「クラシックとラップの融合‥‥」僕が宣言すると、ブーイングが起きた。

 

 僕たちの席からはピアニストの背中が見えた。背中を丸め、膝の上の楽譜を覗き込んでいて、そうか、傍から見ると、僕はこういうふうに映るのか、と思う。ピアニストは僕だった。僕は、まだ曲を暗譜できてなくて、楽譜をめくりながら、辿々しく弾くのだった。

 

 

 

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2019年6月20日

en temps réel

 

 夢を録画で見ていた。リアルタイムでは見れなかったので。途中で来客があり、パソコンの前を離れた。録画を誰かに見られてしまったかも知れない。恥ずかしくなったが、それを僕の夢だと思った人は、いなかったようだ。意味不明のくだらない動画だと思ったようで、それなら良かった。

 

 

 

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 そこには、女しかいなかった。町は人混み。全員が女性だった。通り過ぎるタクシーを運転しているのも、工事現場で鉄骨を組んでいるのも、小銃を構えた警官も、みんな女。僕は間違った場所にいるような気がした。

 

 そのうちに人々が、僕を見て、指差し、「女」「女」と言った。今さら「違います、僕は男です」と白状するわけにもゆかず、黙っていた。年嵩の女性に、「女は出歩かない方がいい」と忠告された。そのとおりだった。僕はいちばん近くにあるドアを開けた。そこにいたのも、みんな女。僕を見て、びっくりしたように呟くのだった。「えっ?」「女」「嘘でしょ」「女だ」。僕がそう見えるなら、いったい何が問題で、彼女たちは何を驚いているのだろう?

 

 

 

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