2019年9月23日

宣誓

 

 戸惑い顔の僕を指し、 3つの異なる言語で君は、「あなたは私の大切な人」「ちょう大切」「マジ大切」などと宣言した。

 

 そして両手で僕の手を取り、瞳をギラギラ輝かせて、「ディナーに行きましょう」「ディネに行くよね」「一緒に夕食」とか誘う。

 

 その様子を見た僕の友人が、「あなたたち2人は結婚しているんですよね?」と小声で訊く。

 

「いえ結婚してません」僕はさらにさらに小さな声で答える。

 

 

 

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2019年9月21日

デートの約束

 

 2人っきりになるのに、「今ここ」を抜け出す必要はない。パーティー会場で、外国で、ここではきっと、誰も理解できないフランス語。僕と君は大勢の人たちに囲まれて、2人だけの国にいるのだから。

 

 デートの最中に、デートの約束をした。また明日。また来週。また来月。また来年。これはこれから起きる、本当の話。

 

 

 

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2019年9月20日

世界の果て

 

 というわけで世界の果てには、空以外には何もない。

 

 だだっ広い駐車場。空の写真を撮っていると、地平線の向こうから、学生が次々と登校してきた。停められた白い車のミラーに、僕の姿が一瞬だけ映る。僕はイレイザーヘッドみたいな髪型をしていた。

 

 教室に入ると、ほとんどの学生が既に着席していた。みんなビニールのレインコートを着て、フードを被っている。スプリンクラーが故障中なのだ。天井から霧雨が降っているのだ。僕は前の方まで行き、デブの隣の席に座った。

 

 授業では演劇部の学生が、シナリオの朗読を始めた。コロラドの砂漠から、世界の果てにやって来た人々の物語だ。人々はコロラドの空を切り取って運んで来た。世界の果てには何もない。きっと空もないと思っていたから。

 

 

 

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2019年9月19日

勝訴

 

 明るいのではなく、ただ白い。白い光が差し込んでくる。部屋もその光に染められて白くなった。同じように白い紙切れが目の前にあり、そこには一言「勝訴」と書かれていた。

 

 

 

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2019年9月18日

月の光

 

 月の光が、奇妙な圧迫感を持って降り注いでいた。身体全体に、柔らかく重みのあるものが覆い被さってくるようなのだ。

 

 掛け布団にはある程度の重さが必要だ。軽すぎる羽毛布団では眠れない。そう考えている僕にとっては、理想の、眠るような月の光だった。

 

 

 

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2019年9月17日

ウィル・スミス

 

 君が「人類の歴史を変えた偉大な10人の女性」を挙げていくのを聞いている。外国の政治家だろうか、知らない名前も多い。つづいて男性。君がウィル・スミスの名前を筆頭で挙げるのを聞いて、僕は驚いてしまう。

 

 

 

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2019年9月15日

ベートーベン

 

 老人からかかってきた電話を、君が受ける。老人は君のファンだ。老人の声はデカい。重い病から回復したことを、君に感謝している。その声が僕にも聞こえる。後になって君は、その老人はベートーベンだったのだと言い出す。

 

 

 

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左手

 

 部屋でピアノを弾いている君を、背後から眺めている。ドアのところに立ったまま、じっと見とれていた。

 

 扉を閉めて、もっと近くに来るように、君は促す。

 

 君はまず左手のパートを弾き、次に右手を弾き、合わせて1つの曲にする。必ず左手からだ。

 

 

 

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ノアの箱船

 

 外は、激しい雨。君は、箱船に乗り遅れた人たちに傘を配るボランティアをしている。傘? そんなことをして何になるんだ、と僕は腹を立て、家に帰ろうとする。もうすぐ世界は終るのに。しかしずぶ濡れになりながらも人々に傘を渡している君の姿を見て、自分が恥ずかしくなり、すぐに引き返す。

 

 

 

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1年3組

 

 放送で、1年3組の岡村くんを呼び出す。ナイナイの岡村と同姓同名だな、と思う。僕は教室で、先生の机のところにいる。プリン似のデザートをもらった。窓際の、自分の席で食べようとするが、そこには、誰か他の人の荷物が置いてあった。

 

 

 

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2019年9月13日

読書する

 

 机に向かって、分厚い本を読むことになった。すぐ隣にも1台机があって、そこには日本人の男のコがいた。

 

 僕たちが読んでいたのは、『失われた時を求めて』の第3部と4部。

 

 男のコは大学生。見ると「愛について」とか何とか、メモを取りながら真面目に読んでいる。

 

 僕たちの背後には、君と、それから他に何人か、知らない人がいた。椅子に座り、僕たちの読書の様子を眺めているのだ。

 

 1日8時間ずつ、毎日僕たちは読んだ。1日が終ると、君は席を立ち近くまで来て、ご苦労様、というふうに、両手で僕の肩に触れた。

 

 

 

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2019年9月12日

円形

 

 コンセルヴァトワールのような、円い部屋を、円く囲む廊下を、奥に奥に進む。天井がやけに低く、すれ違う人々は、みんな身を屈めていた。

 

 

 

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2019年9月10日

土曜日の時間割

 

 新学期が始まり、僕は時間割を見ながら、教科書を鞄に詰めている。いったい何の授業なのか、副読本はメンズノンノの特大号だ。肩を脱臼してしまいそうなほど、鞄が重い。明日は土曜日だ。

 

 

 

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基地のある町

 

 航空写真を基に再現された「町」のブラモデルだった。中心部に軍用の滑走路が見える。部品はすべてつや消しの黒で、色をつける必要はなかったのだが、僕は白い塗料で彩色した。白黒写真のようになって、きっと格好いいだろう。そう思ったのだ。

 

 でも、それが失敗だった。夏の暑さで塗料が溶け出し、泥岩流のようになって、町を襲った。大災害のあとのようになってしまった建物や、掻き集められた白い泥に覆われた滑走路を見て、僕は村上龍のデビュー作の、主人公の空想の中の町を連想した。

 

 

 

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2019年9月 9日

合唱

 

 僕はオーケストラの指揮をしている。客席にグランドピアノが置いてあり、君はそこから僕の背中を見上げている。

 

「指揮なんてね、堂々とやればいいのよ、自分を三千歳の大ベテランだと思って」君はそう言う。そのとおりだ。

 

 僕は指揮棒を宙に放り投げ、大声で歌い出す。オーケストラのみんなも、観客も、僕に合わせて大合唱を始める。

 

 

 

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海の夢2つ

 

1、海の中を服を着た女の人が歩いている。ときどき波の上に顔を出して、何か話しかけてくるが、何を言っているのか、波の音でよく聞き取れない。

 

 

2、スーツ姿の政治家たちが、海中から続々と港に上がってくる。スーツはびしょ濡れ。選挙の必勝祈願のために、海で身を清めてきたと言う。浜の神社に、これから皆でお参りするのだ。

 

 

 

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2019年9月 8日

アイゴー

 

「アイゴー」と君は横から入ってきて笑う。それが挨拶なのだ。夢は夢で見たとおりになったが、僕は「アイゴー」と返していいのか迷う。

 

 

 

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2019年9月 7日

フェイク回文

 

 回文のようで回文ではない、フェイク回文を声に出して読んで、やっぱり回文ではないことを確認した。

 

 

 

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ポスター

 

 高校の夏の制服を着た女子。でも彼女は僕なのだという。まぁ悪くはない。「もう1人の自分」は女子高生だったのか。彼女は薄い和紙のポスターを手に持ち、陽の光に透かして見ている。

 

 ポスターを掲げ「このコンサートに行くの?」と彼女(=僕)は僕に訊く。そうだ僕は「この人が好きなの?」と。自分で自分に問いかけているのだ。

 

 

 

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2019年9月 6日

 

 起き出してくると、家には誰もいなくて、食卓に炊いた白米と、おにぎりが用意してあるのだった。おにぎりを分解して、ご飯にかけて食べているとき、隣のリビングの電話に着信があった。園口蛍という名前の人からだ。園口蛍という名前が明滅している。そんな知り合いはいないので無視していると、しばらくして家中の明かりが消え、窓の外には蛍のような光。そのときになって初めて、世界から音が消えていることに僕は気づいた。

 

 

 

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2019年9月 4日

休憩

 

 道端に腰掛けて、行き交う人々を眺めていた。そうすると、母親と手を繋いで歩く、子供たちと目の高さが同じになった。たくさんの子が、僕に手を振ったり、笑いかけたりしていく。

 

 母親たちがどんな顔をしているのかは知らないが。

 

 おじいさんが隣に来て「休憩かい?」と訊いた。そうです。おじいさんは「ならワシも休憩するかの」と言ってビールを飲み始めた。

 

 おじいさんはずいぶん遠いところからやって来たようだ。何しに来たんですか?「休憩しに来たんじゃよ」休んでから帰るんですね?「そうそう」

 

 ビールを飲み終えると、おじいさんはスマホでタクシーを呼んだ。

 

 

 

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2019年9月 3日

悲劇のヒロインごっこ

 

 娘が、入院中の母親の面会に来る。母親は無菌室の、回転する円筒の中で寝ている。娘は「ガラス越しのキスなんて、馬鹿なことはやめて下さいね、親子なんだから」と医者に注意されるが、気にする様子もない。また何か、新しい遊びを考えてきたのだ。

 

 

 

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2019年9月 2日

大の字

 

 べッドで寝ていた。すると人がやってきて、僕の上に布団を敷いて、その上に寝た。どうやら僕は間違ってその人のベッドで寝ていたようだ。しかたなく幽体離脱して、ベッドの上に出た。見てみると、僕の上で大の字になって寝ているのは、やけに腕の長い男女だった。

 

 

 

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2019年8月31日

着替え

 

 そのお店では、客にも清潔感が求められる。先ず買い物の前に、更衣室に用意された白い服に着替えなければならなかった。下着まで替えるのだ、まったく。とにかく着替えて、売り場に向かったが、何が欲しかったのか忘れてしまった。

 

 

 

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2019年8月30日

木 雲

 

 僕は部屋にいた。床に寝転んでいた。たしかに部屋の中だった。でもそこには木が生えていた。床から発生した上昇気流に乗って、白い雲が空に上っていく。雲は木の枝に引っかかって千切れた。起き上がるまでそれが夢だと気づかなかった。

 

 

 

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開店セール

 

 11時、開店と同時に入店した。店はたくさんの人で賑わっていたが、そのほとんどは客ではなく、スタッフだったのかも知れない。僕は棚のいちばん上のガラスの板を、何枚も買い物カゴに入れた。重かったのでレジまで台車で運んだ。

 

 隣には若い夫婦がいた。見たことがある顔だった。さっきまでオープンカーで通りをパレードしていた夫婦だ。あれは随分と派手な結婚式だった。

 

 

 

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2019年8月29日

太宰と女

 

 太宰治の夢を見た。太宰が愛人のナントカさんと一緒に土手で寝転がっている夢だ。女には腕が3本も4本もあったが、太宰の腕は1本しかなかった。腕枕をしてやれればいいんだが、と太宰はすまなそうに言う。気にしないで、と女は答える。

 

 

 

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サイン入りの布団

 

 布団が古くなった。捨てようと思う。面倒くさいのでトイレに流してしまおう。しかし流れなかった。流れなくて当然である。

 

 それによく見ると布団は山口百恵のサイン入りだった。捨てるよりオークションに出した方がいい。きっと高く売れるだろう。

 

 

 

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2019年8月28日

近所の子供

 

 朝遅く起きて一階に下りていくと、リビングには知らない子供が何人かいた。いやそうだった忘れてた、今日は娘が近所の子供たちの勉強を見てやる日だ。娘も子供たちも、だらしない格好で現れた僕を完全に無視している。

 

 食卓のテーブルには朝食が出ていた。僕の分だろう。温めなおして食べようとしていると、どこからか子供たちの父親がやってきて言った、おいしそうですね。

 

 

 

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手すりにひらがな

 

 何かのイベントの帰り、長い渡り廊下を歩いた。ロシアから来たという背の高い女性が、隣にいた。廊下の手摺には日本のひらがなが書いてあって、それを口に出して読みながら、僕は歩いた。

 

「それ、何て書いてあるの?」ロシア女性が英語で訊いた。いや、何か意味のある文ではないんだ。

 

「意味がわからないの?」意味も内容もないんだ。

 

 そうすると黒髪を金色に染めたアジア人女性が、振り向いて僕たちを見た。

 

 

 

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2019年8月25日

1万6千円

 

 大きな机のある部屋。窓から駐車場に出ることができる。駐車場には車が何台か停まっていた。僕は靴を履いたままベッドに寝転がり、黒いスーツの男が机の引き出しを調べるのを眺めていた。

 

 引き出しにはあちこちの銀行の通帳が入っていた。僕の預金の残高を見ると、男は満足したようだ。ベッドまでやってきて、僕に7千円を渡した。

 

 千円札が7枚、と思ったら違った。1万円札が1枚混ざっていた。部屋には医者のような白衣を着た男がいる。スーツ男は彼と金の話をした。

 

 

 

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ラジオの収録

 

 基地の中にまで敵兵が侵入していた。民間人の女のコの目の前で、その敵を撃たなければならなかった。本当に目の前だった。彼女にはショックだったはずだ。

 

 どこかで大きな地震があった。あるいは爆発なのか。数時間後にラジオ番組の収録があり、顔を出すと、そのコが来ていた。私たちのために戦ってくれている皆さん、ありがとう、などと話している。どんな犠牲を払ってもこの戦いには勝利しなければなりません。本心ではないのは明らかだ。何人かの友達と一緒に、用意された台本を読み上げているだけだった。

 

 

 

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2019年8月24日

アフリカ

 

 芝生。晴れた日。ランチタイム。屋外に設けられたフードコード。ほぼ満席。何か食べたい。友人と2人。緑色のカレー。アフリカ料理。

 

 

 

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バレエ バスタオル

 

 放課後にバレエのレッスンを受けることになった。ただ身体が柔らかいという理由で選ばれた。他にも候補はいたのだが、みんなテキトーな理由をつけて断ったため、僕が1人やることになった。

 

 自分に才能があるとはとても思えなかったけど、先生は熱心だった。若いころバレリーナを目指していたというその先生が一緒に踊ってくれた。バレエなど絶対に無理だと思っていたが、先生と一緒だとできてしまうのだった。

 

 と思っていたら違った。僕は何かの暗示をかけられていたようだ。催眠術が解けると、一緒に踊ってくれていたのは、大きな青いバスタオルだとわかった。広げると駄目なのよ、と先生は言った。畳みなさい。

 

 僕は踊りながらバスタオルを畳もうとした。もう踊れなかったし、バスタオルも綺麗には畳めなかった。それでも先生は、満足したように何度も頷いて笑顔だった。

 

 

 

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2019年8月23日

アンコール

 

 スタンディング・オベーションだ。コンサートは大成功だった。客席にもグランドピアノがあり、僕はショパンの練習曲の速いパッセージを弾いて、ステージの上のピアニストに気持ちを伝える。そうすると僕にまでアンコールがかかった。

 

 

 

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ナイフ

 

 激しい戦闘は終った。敵も味方もほぼ全滅した。僕の部隊で生き残ったのは、僕ともう1人だけだった。砂に足を取られながら撤退した。死んでしまったやつらに、なぜか僕は腹を立てていた。意味もなく車に火をつけて燃やす。その火は暖かかった。

 

 俺は南に行く、ともう1人の生き残りが言った。戦争ももう忘れる。それで頼みがあるんだが、と生き残りの男は言った。ナイフを貰えないか? もちろん構わなかった。ただ気になるジンクスがあって、刃物を贈った相手とは、縁が切れてしまうという。気にせず盗んでいけよ、と僕は言った。ナイフなら2本持っている。

 

 

 

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インスタ映え

 

 駅のホームには、丸刈りの男が何人もいた。運送会社の青い制服を着ていた。電車でどこへ行くのだろう。僕もデート相手と電車を待っていた。デート相手は若い女性で、一緒に「インスタ映えするカフェ」へ行くのだ。ビルの階段を上がって、2階。その白い階段が、先ず最高にインスタ映えするのだった。

 

 そのビルの別のフロアには、動物園と昆虫館が入っていた。本当は昆虫を見たいんでしょ、とデート相手は笑って僕に言った。図星である。「後で行きましょ」

 

 

 

 僕たちは階段で、さらに上の階を目指した。彼女は茶の革の鞄を2つ持っていた。1つは父親のもので、勤務先に届けるのだという。彼女の父親のオフィスも、やはりそのビルに入っていた。彼女は受付で鞄を渡し、代わりに大きな紙袋を受け取った。中に何が入っているのだろう。

 

 

 

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2019年8月22日

兵隊さん

 

 英語のわからない兵隊さんに、ピアニストが英語の歌を教えた。サンタがやってくるの替え歌で、司令官を侮辱する内容だった。私が伴奏をするから、大きな声で歌うのよ。

 

 酒場で開かれた、クリスマスのパーティだった。兵隊さんが歌い出すと、司令官がやってきて英語で何か言った。ピアニストは演奏を止めなかった。兵隊さんも最後まで歌いつづけた。そして司令官の若い愛人は彼と別れると言ったのだ。

 

 

 

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金色のピアノ

 

 カーテンの向こうに、金色のグランドピアノがあった。僕は近づき、立ったまま即興で弾いた。すると持ち主の女性がやってきて、いい曲ね、と僕に声をかけた。ピアニストなの? 僕はそうだととも違うとも答えず、カーテンの影に隠れて待った。その女性の指が鍵盤に触れる、決定的瞬間を。

 

 

 

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占いの本

 

 迎えに行くとそのコは占いの本を読んでいた。読んでみて、と本を僕に渡す。本には紙幣と硬貨が挟まっていて重かった。硬貨を落とさないように持ちながら、僕たちは部屋に向かった。

 

 今日はそのコの誕生日だ。コの字に並んだソファに何人かの人が座っていた。進行するパーティーの様子を、僕は少し離れたソファから眺めていた。綺麗なコなのに、パーティーは盛り上がりに欠けている。音楽がないせいだ。僕が即興でピアノを弾くしかないようだった。

 

 

 

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2019年8月20日

Bマイナーのソナタ

 

 君が日本語を話している夢を見た。ネイティブのように、自然な日本語を。いつ勉強したんだろう、と僕は不思議に思う。

 

 朝、君は先に起きて、ロビーでピアノを弾いていた。曲は月光ソナタで、それをわざと、変ロ短調か何か、別の調に移調して演っている。髪はボサボサで、パジャマのまま。

 

 僕は近くの椅子に腰掛け、曲の終わりまで聴いていた。気づくと、いつの間にか演奏は終っていた。そこで君に声をかけてきたホテルのスタッフがいる。一言か二言、話した後で、君は振り向いて、

 

「ほら、クリーニング、仕上がってるよ」とハンガーに掛けられたスーツを僕に渡した。

 

 

 

 

 僕は大きな腕時計をしていた。誰かが時間を訊くけど、文字盤も数字も針も全部黒いので、今何時なのかさっぱりわからない。

 

 

 

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2019年8月19日

黒い下着

 

 黒い下着の女がやって来て、アンダーヘアの処理を僕に頼む。下着からはみ出しているのを、抜いてくれないかしら、と言う。僕は1本1本、手で毛を抜く。女はその場に立ったまま、痛がる様子もない。16歳、と僕は女の年齢の見当をつける。

 

 

 

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髭男

 

 見上げるような長身の男の人が僕に話しかけている。僕は男の人の顎の下に丸く生えた黒い髭が気になってしかたがない。そればかりを凝視している。話の内容はほとんど耳に入って来ない。

 

 

 

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2019年8月17日

電話をかけている場所

 

 僕が女友達と電話していると、娘が文句を言ってくる。

 

「私が男のコと電話するのはだめなのに、お父さんが女の人と電話するのはいいの?」

 

「古い友達なんだよ」と僕は説明する。「彼氏と別れて、今大変らしいんだ」

 

「馬鹿じゃないのその人、いい歳こいて」 

 

 そこで時間が逆転して、僕は娘がまだ小さかったころに戻っている。あれは娘がいなくなった日のことだ。ちょっと目を離した隙に、迷子になってしまった。僕は真っ青になって、あちこち探し回った。そこに電話がかかってきたのだ。

 

 

 

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赤煉瓦の町

 

 部屋に木が生えている。伸びた枝の先を追っていくと屋上に出た。赤いレンガが敷き詰められている。

 

 広い。どこまでがうちの屋上なんだろう。あまりにも広い。四辺が霞んで見えない。街路樹があり、道があり信号があって、通行人がいて、そこは1つの、小さな町になっているようだ。

 

 写真を撮っておこう、と思った。僕のスマホは赤いノートに挟まっていた。ノートにはたくさんのプリントされた写真と、さらにたくさんの領収証が挟んであった。あとで整理しなければ。領収は要らないな、と思った。

 

 

 

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2019年8月16日

途中下車

 

 出国の手荷物検査で何十分も待たされた。荷物に問題があったわけではない。職員が僕のキャリーケースの取っ手を誤って破損してしまったのだ。その隠蔽工作をしていたらしい。なんということだ! しかし文句を言っている時間はない。僕は空港の滑走路を走って、離陸直前の飛行機に乗り込んだ。

 

 僕と一緒に走ってくれたのは空港の職員だと思っていたが、違った。スーツ姿のその女性も乗客だった。どちらまで行かれるんですか? ビジネスシートに座った彼女に訊ねた。私は途中の沖縄で降りるのよ、とスーツの女性は言った。

 

 

 

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2019年8月15日

白衣を着る

 

 研究所の白い建物が見える。僕は白衣を着て、何人かの研究員と共にその建物の前にいた。

 

 

 

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2019年8月14日

笑う月

 

 信号機の上に丸い月が出ていた。信号が変わる度に赤くなったり、緑色になったりしている。ふざけて遊んでいるのだ。僕もちょっと可笑しくなって笑った。

 

 

 

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2019年8月12日

蜘蛛の糸

 

 浩宮天皇と一緒に、秘境の寺にやって来た。ピラミッドのような石段があり、それを登って天辺まで行く。ヘトヘトになっている宮内庁職員や僕を余所に、山登りで鍛えている天皇は涼しい顔をしている。

 

 その先は、高所恐怖症の僕にとっては悪夢だった。神殿のある向こう側のピラミッドまで、細い鉄骨の上を歩いて行かなければならないのだ。バランスを崩して落ちれば死んでしまうだろう。

 

 天から何本か、「蜘蛛の糸」的なロープが垂れている。それに掴まって歩けばいい。しかし昔話によるあるパターンだと、悪人が掴んだロープは切れてしまうのだ。浩宮天皇クラスの善人なら余裕だろうが、お付きの者は全滅に違いない。

 

 要は、バランスを崩さなければいい。ロープに頼り過ぎてはだめだ‥‥。下を見ないようにしよう、と思ってもついつい見てしまう。下にはいつの間にか天皇がいた。

 

 さっきまで僕たちといたのは影武者だった。浩宮天皇は安全な地上でグラス片手に女性陣と談笑していた。

 

 

 

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2019年8月11日

ラード

 

 牛の着ぐるみを着た男が、ラードを分けて欲しいと僕に言った。

 

 牛肉をフライパンで焼くんだよ。そのときにラードを使うの? そうだよ。

 

 男は目を伏せてじっと僕の足を見ながら話した。

 

 

 

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2019年8月10日

映画

 

 君とデートで、映画を観に来ている。小さな映画館、客はあまりいない。映画は悪くなかった(と思う)。でも外国語のセリフがよく聞き取れず、睡眠不足ということもあって、僕は途中でぐっすりと眠ってしまった。

 

 腕をつつかれて目を覚ますと、映画は終っていた。というかそこは、映画館ではなかった。夜の半球を行く飛行機の中、僕はシートで寝ていたらしい。「いつから寝てたの?」君は訊いた。僕はいつから眠っていたのだろう。

 

「映画、良かったよ」

 

 それで集中して、僕は最初からその映画を観ている。狭い飛行機のシート、白い毛布に包まり隣で君は寝ている。通路を通りかかった、スッチーの足が僕の肘に触れる。

 

 

 

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2019年8月 9日

猫踏んじゃった

 

 列車の座席には擬人化された巨大な猫がいて、鼾をかいて眠っていた。すぐ隣ではピアノが「上を向いて歩こう」を演っている。その音で僕だけが目を覚ました。毎朝この時間に弾いているのだろう。そのせいでこの前「上を向いて歩こう」を歌う夢を見たのだ。

 

 大猫は列車に置き去りに。

 

 

 

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2019年8月 8日

Killing me なんとか

 

 女友達の部屋に行った。彼女が出してくれた飲みものを飲んだ。すると急に眠くなり、僕は意識を失った。

 

 目を覚ますと病院のベッドの上だった。僕は殺されかけたのだという。「あの女が」と君は話した。「睡眠薬を盛ったの」僕と心中するつもりだったらしい。でも最後の最後で気が変わり、彼女は1人で飛び降りて死んだ。

 

 遺書があった。「キリング・ミー・ソフトリー」と書いて僕の背中に貼付けてあった紙は、遺書なんだろう。まったく信じられない。

 

 夢なのかも知れない、と僕は思った。そうに違いない。僕は目を覚ましていないのだ。そしてここは病院ではない。僕は今まだ女友達の部屋にいる。クラシックのコンサートの帰り、部屋まで送ったのだ。

 

 そこでお酒を出されたが、僕は飲めないと言って断った。「アルコールは発癌性物質だから」すると彼女はちょっと嫌な顔をした。その顔をずっと覚えている。忘れようがない。彼女は本当に癌になってそのあとすぐに死んだのだから。

 

 

 

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ブラックジャック

 

 川が増水して、車が水没しかかっていた。普段はこの川に水はなく、好きなところを渡って向こう岸に行けるのに。僕は水に浮いた板の上を歩いた。反対側からワイシャツ姿の太った男が歩いてきた。あのメタボは金を持っている‥‥、何の脈絡もなく僕はそう思った。

 

 書店に入ると『ブラックジャック』の豪華本が目立つ場所に山積みしてある。

 

 

 

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オレンジ

 

 僕は巨大なオレンジを手に、何人かの仲間と草野球のグランドにいた。オレンジはスイカのような大きさと重さで、へたの部分から1本毛が生えていた。僕はその毛を掴んでハンマー投げの要領で振り回し、仲間の方へ放り投げた。

 

 友達とベンチでその様子を見ていた君は、「見て、男のコたちがバカな遊びをしてる」と楽しそうに笑った。

 

 

 

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2019年8月 7日

中庭 警察の聞き込み

 

 2階に上がる階段は2つあった。僕はあまり使わない方の階段で2階に行き、あまり使わない方の寝室から、中庭を挟んで向かいの、よく使う方の寝室を眺めていた。

 

 よく使う方の寝室には、聞き込みに来た刑事がいた。何かを探しているようだった。2年前に起きた女性失踪事件に、僕が関わっていると疑っているのだ。

 

 

 

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2019年8月 6日

師走

 

 空港にやってきたアイドルの女のコがテレビの取材を受けている。前日には野球チームとグランドにいたあのコだ。僕はそのコの桐箪笥サイズのスーツケーツを運んであげる。中には何も入っていないので意外と軽い。

 

 そんなことをしていたので、約束の時間に遅れそうになってしまう。見ると向こうからも僧侶の格好をした師が走ってこちらに向かって来る。まさに「師走」だなぁ、と僕はぼんやり思う。

 

 

 

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屋根裏部屋

 

 僕はレストランの屋根裏部屋に住んでいる。白い壁、グレーの床、部屋の真ん中に洗濯機が置いてある他は何もない部屋だ。

 

 梯子で下の階に降りながら、この部屋と洗濯機の写真を撮って君に送ろう、と僕は考えている。

 

 フォトジェニックだ。まるで前衛芸術家のアトリエのようだ。

 

 レストランでは僕のために特別メニューが用意されている。忘れていたけど、今日は僕の誕生日なのだ。僕は用意された奥の席につく。

 

 長さ50センチもある銀のスプーンとフォークを渡された。それで食べろということだろうが‥‥料理が何であれ、それは難しそうだ。

 

 

 

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赤いガンダム

 

 戦争が終わり、赤いガンダムに乗った兵士が、隠していた南京袋を探して、山の中にやって来る。南京袋には保存食が入っている。

 

 数週間は食べていけるはず。

 

 ガンダムを乗り捨てて、兵士は民家の2階に住み着く。1階には耳の聞こえない老婆が住んでいる。電話のベルが鳴りっ放しだが、老婆は気づかない。

 

 誰かが老婆に何かを知らせようとしているのに。たぶん2階の兵士の正体を。彼の本当の目的を。

 

 

 

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変化球

 

 部屋には大勢の人がいて、一緒に食事をしている。僕の右隣には君がいる。ハンバーグを手に取り投げてくる。僕もフライドポテトのバットを構える。鋭い変化球だが、僕は曲がり鼻を上手く捉えて、ホームランにしてしまう。ははは。

 

 

 

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2019年8月 5日

ケーキ

 

 僕は家で見知らぬ若い女性と朝食を食べている。冷蔵庫の中にはケーキがある。それを意識してか、僕たちは無言だ。

 

 その女性が、さりげなく冷蔵庫を開け、ケーキを一切れ皿に取る。僕もつづけて二切れ手に入れた。

 

 女性はスマホをいじりながら「どうでもいいわ」というふりをしているが、その手は怒りと焦りで震えている。

 

 

 

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2019年8月 4日

白黒コピー

 

 アニメのオタクふうの中年男性が、免許証の自分の顔写真を、何百倍にも拡大して白黒コピーしている。目的は不明。僕もコピーを取りたくて、その後ろに並んでいる。

 

 男の用事はなかなか終らず、僕は雑誌コーナーに移動して女性ファッション誌を読み始める。5分後、コピー機のところに戻って来ると、男は拡大された自分の顔をまだ見つめている。

 

 女性誌を手に持ち、店内で僕はサングラスをかけたままでいる。足元を見ると、クラッチとブレーキとアクセルのペダルがある。いつの間にか運転席だ。

 

 僕はクラッチを踏んで、ギアをゆっくりとローに入れる。

 

 

 

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WTC book2

 

「バッハ」と「ベートーベン」に分かれて戦った。僕はベートーベンの側についたが、明らかに劣勢だった。箱の中に潜んでアニメみたいなビーム砲を撃つのだが、敵はWTCのbook2のリズムに乗って、それをひらりひらりとかわしてしまう。

 

 ナイフを持った「バッハ」が僕の部隊の箱に襲いかかり、次々と開封していく。もうだめだ、と観念した瞬間、WTCの演奏が終わり、敵は停止した。

 

 

 

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2019年8月 2日

パフィ

 

 濃いサングラスをかけた僕を、パフィみたいな格好をした2人組の女のコがジロジロ見ている。と思ったら違った。僕ではなく、サングラスに映ったパフィを見ていたのだ。何でこんなところにパフィがいるんだろう、と。不思議でしかたがないのだ。

 

 

 

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上を向いて歩こう、

 

 ギターを持った2人組が、僕に歌えと言う。もっと歌えと。小さなライブハウスに、観客は誰もいなくて、僕は天井を見上げて歌った。上を向いて歩こう、上を向いて歩こう。涙がこぼれないように。ギターの2人は、伴奏をつけるのも忘れ、言葉もなく僕を見つめていた。

 

 

 

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