2019年5月26日

団地の脇

 

 40年以上昔、子供の頃住んでいた団地の脇の芝生だった。樹が倒れている。根があるはずの部分は、金属とコンクリートでできた「部品」で、5月から6月まで修理、と書かれた札が掛けてあった。

 

 

 

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耳 草原 黒人の歴史 ストーン

 

 外国の友人たちと美術館にいた。僕の耳を見て「ゴミが溜まっている」と言った友人が、ヘラのようなものを使って、歩きながら僕の耳を掃除してくれた。日本語の間違いではなくて、本当にゴミが溜まっているのだった。美術館の床にゴミを撒き散らしながら展示を見て歩いた。

 

 それはドローンで撮影した緑の草原の3D映像だった。墓がある。所々に木のベンチがあり、リンカーン大統領やキング牧師やマルコムXが腰掛けている。それだけの映像なのだが、それはアメリカの黒人の苦難の歴史と、明るい未来を暗示しているのだ。僕は何度も見たいと思った。

 

 だが出発の時間だ。2階建てバスに乗り見下ろすと、すぐ隣を女優のシャロン・ストーンの乗った車が走っていて、気づいた僕たちが手を振ると、向こうも手を振って応えてくれた。

 

 

 

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2019年5月25日

エニシング

 

 異常に背の高い男女が、身を屈めて、僕に話しかけてくる。と思ったら違った。僕が小さくなっていたのだ。僕は子供で、話しかけてくるのは両親なのだろうか。僕は英語で、エアウェイだかエアプレンだかエニシングだかの単語を言おうとしている。大事なことなのだ。けどまったく伝わらない。何かおかしなことを言っている、と背の高い男女は顔を見合わせて笑う。

 

 

 

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1240

 

 僕は19歳の大学生だった。数秒から数十秒、記憶が飛んでしまうことがあった。でもそのときは特別だった。いきなり数年分の記憶が飛んでいて、僕は恋人らしき歳上の女性と、電車を盗んで逃走しようとしていた。

 

 電車の中には医務室があり、僕は中年の男性の診察をしていた。「何も問題ありませんよ。さぁ、早く電車から降りて下さい」。数年の間に、僕は医者になっていたようだ。

 

 さて僕もその車両から降り、運転台に乗り込み、パスワードを入力して、コンソールのロックを解除しようとする。パスワードは四桁の数字だった。1240、その数字はわかっているのだが、二桁の数を掛け合わせて、1240にしなければならなかった。20 x 62 だろうか。だがそう入力しても、ロックは解除されない。僕たちは紙と鉛筆で、何度も計算を繰り返した。

 

 

 

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2019年5月24日

50

 

 運動会のような白いテントの下に並び、大きく50と書かれた紙を渡された僕は、その数字を見て大喜びで、また別の列に並ぶ。

 

 

 

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2019年5月23日

PRの動画

 

 日本のどこだかの観光地をPRする動画だった。女のコ2人が、水着になったり、浴衣に着替えたりして、何やら喋っているのだが、よく見てみると、知り合いのコだったので、夜になって、お座敷で食事をする最後の場面まで、結局見てしまった。

 

 

 

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駅の放送

 

 ドイツの駅に着いた。駅前には路面電車の乗り場があった。待ち合わせのホテルまで乗って行こうと思い、路線図を眺めてみたが、複雑すぎて、どの路線に乗ればいいのかわからない。ちょうど朝の通勤時間帯で、混雑していた。諦めて歩くことにした。

 

 駅の放送を使って、日本人の男のコが、恋人に呼びかけていた。「おれの言ったこと、冷静に考えてみてくれ」。全文日本語だった。

 

 駅前の商業地区を、歩いて抜けて行く。店はまだ開店していない。道端にビニールシートを広げて、母親と金髪の子供たちが、ママゴトをして遊んでいる。

 

 美術館やコンサートホールの建ち並ぶ地区まで来ていた。あちこちにある地図で確認してみると、僕は目指すホテルを、いつの間にか通り過ぎてしまったようだ。

 

 

 

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キャピキャピ

 

 1年間高校に通わなければならなくなった。遅刻ぎりぎりで登校したら、いきなり職員室に呼び出された。服装が、いろいろ校則に違反しているらしい。まぁ初日ですからと、気の弱そうな教頭が取りなしてくれて、無事教室へ向かった。

 

 担任は眼鏡をかけた若い女の先生だった。「イジメられちゃうかも知れないって、心配してたの、でも良かった、カッコイイー」とキャピキャピ歓迎してくれた。男子は全員下を向いていたが、女子は教科書を見せてくれたり、ノートを貸してくれたりと、みんな親切にしてくれた。

 

 

 

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2019年5月22日

キッチンの向こう側

 

 キッチンで、君が料理をしている。その向こう側は、カフェになっている。そのカフェと僕たちの住む家は、キッチンを共有しているのだった。台所には多くの人が出入りして、ずいぶんと騒がしい。「私は気にしない」と君は言う。「ここなら夜中にピアノを弾いても、誰の迷惑にもならないから」

 

 僕の返す言葉に、君は笑った。でも僕は自分が何と返答したのか、覚えていない。

 

 

 

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より軽い死体

 

 そのマラソン大会の、参加者は2人だけだった。人間の死体を担いで山道を走る、肉体的にも精神的にも過酷なレースだ。より軽い死体を巡って、参加者同士で争いが始まった。道端に放り投げられた重い方の死体は、そのショックで目を覚まして言う。おれはまだ生きているぞ、と。

 

 

 

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餞別

 

 時計店に、泥棒が入った。高級腕時計と、売上金が盗まれてしまった。店主は気落ちして、廃業すると言う。店の専属の時計スタイリストも解雇された。若くハンサムな男で、人気があったのだが。

 

 盗まれずに残った時計を、店主が投げ売りし始めたのはチャンスだった。転売する目的で、僕たちは大量に買い付けに行った。店の外には、スタイリストの男がいた。バイクに跨がって、どこか遠くに行くと言う。大丈夫、きっとまた上手くやれるはず。僕たちは買い付けた時計を、彼の腕に何本か巻いてやった。

 

 

 

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大吉夢を見る

 

 9階のエレベーター前に、大便専用トイレがあった。箱型のテントが2つあって、その中に便器が設置してある。自分の部屋のトイレでウンコをしたくない住人が、そこで排便するのだ。なぜか知らないが、誰も流さない。僕は見かねて、ときどきテントの中を覗き、ウンコを流している。その日も見ていると、子供を連れた母親がやってきた。子供は右に、母親は左のテントに入って、やはり流さなかった。

 

 

 昔読んだ夢占いの本によると、ウンコが残ったままのトイレの夢は「大吉夢」なのだそうだ。さて。

 

 

 

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滝の音

 

 坂道を上り切ったところで見上げると、滝だった。高層ビルの屋上から、大量の水が落ちて跳ねていた。それは真夏の都につくられた、涼しげな人工の滝なのだ。本物の滝と違って、音がまったくしないのが、不思議だった。音がどこに行ったのか、探して歩いている内に、目が覚めた。

 

 

 

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2019年5月21日

子供向け

 

 細長く延びる廊下、胸に子供を抱きかかえて歩いた。たくさんの部屋があり、扉は開いていた。清掃中のホテルか、マンションのようだった、がよくわからない。そのまままっすぐ行くと、子供向けの絵本や、玩具を売っている店があった。そこは空港か駅ナカのような雰囲気なのだ。僕と同じように子供を抱きかかえた若い男性が、絵本を選んでいた。とくに理由はないが、何となく彼と目を合わせないようにして、僕も店を見て回った。ただそれほどゆっくりはできない。乗るべき飛行機があるような気がした‥‥。

 

 

 

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佐伯祐三の妻

 

 実際のパリを歩いて、佐伯祐三の絵を思い浮かべることはまずない。が記憶の中のパリを思い出そうとするとき、僕の頭の中には米子夫人がいて、その現実の風景に加筆して、「佐伯祐三のパリ」にしてしまう。

 

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 濡れて黒ずんだ、暗い冬の町。僕の記憶の中には、そうじゃないパリもいっぱいあるはずなのに、彼女はそのパリに黒い絵の具で加筆して、町の全体をそういう思い出に変えてしまうのだ。

 

 

 

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ドリブル

 

 たまたまだけど、小学生のときの同級生の1人と会った。初恋の人? 本当に? 本当に私のこと覚えてる? 彼女は訊いた。本当はよく覚えてなかった。

 

「お父さんと一緒に、よく家の前でバスケットボールで遊んでたよね、ドリブルしたりして」「そこに偶然、自転車で通りかかったんだ」「楽しそうだな、いいお父さんだなって思った」「お父さん、今もお元気?」

 

 そう話すと、あのころよくやったように、彼女は僕の背中を何度も、力いっぱい殴りつけた。「何知らないふりしてるの? 父はあのあとすぐに死んだんだよ」

 

 40年という時間も、懐かしくはなかった。彼女の拳と涙で、思い出したかったことも、思い出したくなかったことも、全部いっぺんに思い出して、結局僕は悲しくなったのだ。

 

 

 

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2019年5月20日

トライアスロン

 

 トライアスロンに挑戦する、という女性が、川岸に立っている。穴だらけのミニの青いワンピースは、どうやら水着らしい。そのままの格好で、川に飛び込んだ。取材のTVスタッフが、ボートで追いかけて行く。

 

 女性は無事に、向こう岸に辿り着き走り始めた。見ている僕の足下に、大型犬の死骸が2体流れ着いた。異常に歯並びのいい、健康的なマッコウクジラの死骸も、岸に打ち上げられた。女性が飼っていたクジラだ。

 

 

 

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ゴング

 

 ボクシングの試合をすることになった。対戦相手は普段着姿の女性だ。開始時間を過ぎても、なかなかリングに上がってこない。ちょっと用事があるから、と言って、リングの周りをうろうろしている。レフリーも呆れて、構わず開始のゴングを鳴らす。3分後に終了のゴングが鳴れば、僕は不戦勝ということになるだろう。

 

 

 

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トランシーバー

 

 何人かでどこかの国に観光旅行に来ていた。歩き回って疲れたので、その日は早く眠った。朝目を覚ますと、僕のスイートに、旅のメンバーが全員集合していた。ここのリビングに集まって、朝食を取るらしい。まだ寝てるのかと声が掛けられる。僕は慌ててベッドから身を起こし、そのままの格好でテーブルに着いた。

 

 隣に座った女性がスホマを取り出し、僕の連絡先を知りたいと言う。僕も自分のスマホを探した。が見つからない。僕が持っていたのは、前世紀のトランシーバーのような携帯電話だった。恥ずかしくなって隠そうとすると、大きな音と光が出て、却って目立ってしまった。

 

 

 

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2019年5月18日

冬の村

 

 卵をもらった。冷蔵庫で保管しようと思った。扉を開けると冷蔵庫の中は冬の村だった。雪が降っていた。キツネがやって来て、保管してある卵を食べようと狙う。片手で追い払った。

 

 

 

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トンネル

 

 駅にいるといろんな会話が聞こえてくる。平日は建設現場で働いているという男女のグループは、今日は水遊びも兼ねて川底のゴミを掬うボランティアに参加するらしい。

 

 駅は切り立った崖の上にあり、ホームから見える景色は絶景だった。僕は羽根の生えた女性に背中から抱きかかえてもらって、その崖の麓までジャンプした。空を飛ぶのはひさしぶりだった。

 

 舗装された道路に、片足で着地した。空は晴れていたが、目の前のトンネルの中は土砂降りの雨だった。着地のときの勢いで、一気に走り抜ける。そのトンネルを抜けると、町の中心部だった。

 

 丁度やって来た白い路面電車に飛び乗り、空いた席に腰掛けた。車内でスマホを見ている人がいないのが不思議だった。男の人たちは新聞を広げて読んでいるのだ。嫌な予感がした。僕は過去にタイムスリップしてしまったらしい。あの雨のトンネルを抜けたときだ。

 

 

 

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2019年5月17日

マト

 

「ひもパンでマトにボールを投げる夢を見た」と小学生の男の子が話していた。マトではなくマドの聞き間違いかも知れないが、どちらにしろすごいなと思った、最近の小学生は。

 

 

 

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口紅

 

 ショーウインドーの中で、僕はマネキンのまねごとをしていた。気取ったポーズで、格好つけた服を着て、動かずじっとしていた。すると30代くらいの夫婦がやって来た。僕の顔を至近距離で眺めて、口紅をつけているのかいないのか、と2人で議論し始めた。

 

 

 

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2019年5月16日

 

 飛行機が日本に到着した。入国審査の列に並んでいた。僕は箱を1つ抱えていた。荷物はそれだけだった。ところが書類に不備があるのか、列の並び方が悪いのか、僕は最後尾に何度も並び直しになってしまった。

 

 そのうちになぜこんな箱を抱えているのか、そもそも箱を日本語で何と言えばいいのか、それさえも僕は忘れてしまう。ボックス(英語)や、ボワット(仏語)も出て来なくなってしまう。

 

「あなたが抱えているのは何ですか?」と係の人が訊く。「ええっとすみませんが、何て言うんでしたっけ、これ?」僕は逆に質問するが、係の人もハコという単語を知らない。

 

 

 

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2019年5月15日

白 黒

 

 夜道を歩いていると、白い服を着た女の幽霊がいて、目を合わさないようにしたのだが、一瞬だけ目を見てしまった。すると白い幽霊は、黒い服に着替えて僕の後をつけてきたのだ。

 

 

 

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2019年5月14日

バーキンの娘

 

 デパートの、誰も使わない階段をひとりで降りて行く。赤い壁。無駄に真っ赤な壁。あちこちに全身を映す大きな鏡があった。それは思いがけない場所にあった鏡のせいなのだ。

 

 折れそうなくらいに華奢な四肢を、逆に強調するようなごついバッグと靴。乱れた黒髪に、顔の半分を隠すサングラス。ゲンズブールとバーキンの娘のような女性が、鏡に映っているのを見た。決して納得したわけではないが、なぜ僕が女と間違われるのか、その理由がわかったとは思う。

 

 

 

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2019年5月13日

 

 朝起きると、枕元に血(のようなもの)が付いていた。何千年も前の血の跡のような汚れだった。指でちょっと擦ると、塵化して空中に消えた。やはり血ではなかったのかも知れない。もう11時だ。キース・リチャーズのように12時から血液を全部新しいものへ交換しに行く。

 

 

 

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2019年5月12日

 

 僕が右の耳にしていた蓋を、誰かが外したので、目を覚ましてしまった。僕の耳には、穴が開いている。その穴から、体の中に水が注ぎ込まれた。ゆっくりと、自然な流れで。水がいっぱいになると、僕はまた眠くなって眠ったが、その注いでいた誰かさんは、ずっと側にいた。

 

 

 

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ポリフォニー

 

 子供の頃の僕に、知らない女の人が会いに来て、「あなたはいい耳をしている」と言ったが、何のことなのか、さっぱりわからなかった。

 

 それから何十年も経って、君が僕に同じセリフを言うまで、そのことを忘れていた。僕は耳がいいのだ。

 

 何年も昔のことを音で記憶していて、過去を聴くことができる僕の、頭の中は音楽で満ちている。「そうでしょ?」と君は言った。

 

 実際には、今僕の耳に聴こえてきて、将来に渡って僕の頭の中を満たすのは、過去に感じていた予感のようなものだ。

 

 それは夢が正夢になっていくときに出る音だ。

 

 

 

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2019年5月11日

靴を履いた人

 

 靴を履いたまま寝てしまったときでさえ、そんなことはなかった。その夢の中で僕は、靴を履いていることをしっかりと意識していたが、それは、とても珍しいことだ。それ以外のことは、すべて曖昧だった。どこで誰といて、何をしているのか、そもそも自分は何者なのか。僕はただの、誰でもない「靴を履いた人」だった。

 

 

 

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おもちゃみたいな

 

 隣人たちがうちの庭を横切って行く。庭の土は柔らかくて、土地は少し傾斜していた。君は車寄せに停めた玩具みたいな小型車の、屋根やドアを外して、違う色のものと付け替えたりしている。

 

 自転車が何台もあり、試しに僕は銀色の1台に乗って、家の前を行ったり来たりした。ツールドフランスに使うような目立つ黄色い自転車がある。それが本当は僕のだ。

 

 

 

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2019年5月 9日

間違われる

 

「ねぇ、男? 女?」小さな女の子が訊いてきた。無視していると、30秒後にまた訊いてくる。「男だよ」と答えたが、女の子はまったく納得していない様子。(じゃあ訊くなよ‥‥)。日本で女に間違われたのは、初めて。

 

「すみません、すみません」と母親らしき女が5秒後に飛んできて、僕に謝ったが、そんなに謝らなくてもいい、フランスではよくあること。ほぼ日常茶飯事。

 

 

 

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素晴らしい

 

 僕たちの家には素晴らしい冷蔵庫があった。冷蔵庫の中は素晴らしい食べ物でいっぱいになっていた。僕たちはその素晴らしい食べ物を見るために、その素晴らしい冷蔵庫の扉を何度も何度も開けたり閉めたりしたものだ。

 

 

 

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納豆

 

 小さな男の子が僕に、世界でいちばん美味しい納豆はどれかと訊いた。突然何を言い出すのか、と思う。男の子の話によると、彼に世界でいちばん美味しい納豆を買って来いと命じてお使いに出したのは父親だった。男の子は困ってしまい僕に助けを求めたのだった。

 

 しかしどうして僕が納豆について知っていると思ったのだろう。僕が日本人だからか? 僕は納豆の匂いが大嫌いで食べたこともないが、彼に手を引かれて小さな食料品店へ行き、値段を見て美味しそうなやつを選んであげた。たぶん高ければ高いほど美味いんだろう。

 

 

 

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2019年5月 8日

mince

 

 何もすることがなかったので、自分の足を見て時間を潰していた。暇だと僕は自分の膝から下の足を見て過ごすことが多いようだ。「また足を見てるの?」と君が声をかけてくる。「うん、そう」

 

「なんて細い足、ホントに男の足なのこれ?」「じっと見てると足はどんどん細くなるんだよ」「マジ?」「うん」「ウソでしょ」「ウソじゃないさ」

 

 

 

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ベルエポック

 

 夏の制服を着て教室の自分の席で、同級生たちと話しているところに君が来て言った。「話があるんだけど?」

 

 君も高校の制服を着ていて、髪は運動部の女の子のように短い。

 

 そこから一気に数十年の時が流れて、僕は日本の電車に乗っている。駅でたくさんの人が降りて、そうなのだ車内より駅のホームの方が混雑している。男同士でキスをしているカップルが見えて、日本も変わったな、と思う。僕はその次の駅で降りた。車で自宅に向かった。

 

 夕空は青とグレーとオレンジに染まっていた。道の左側にシャガールの絵のような細長い男の人が紫色の花束を持って、道の向こう側の女の人に話しかけている。道を渡りたいのだろうと思い、僕はブレーキを踏んだ。するともうそこは日本ではなかった。あの時代のフランスだった。

 

 そこにもういちど君はやって来て、話があると今度はフランス語で言った。その顔が、モリディアーニの描く女の人のように、縦に細長く伸びていった。

 

 

 

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2019年5月 7日

離島のグラウンド

 

 テレビの中継でプロ野球の試合を見ている。オキナワの離島のグラウンドで試合は行われている。島に活用できる平地は少なく、ファールグラウンドにも住宅が建っている。なのでバッターが打ち損じたボールも、住宅の壁に当たって跳ね返り、全部フェアになってしまう。

 

 

 

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豆腐と箱のパスタ

 

 僕はスパゲティをつくろうとしている。1つの鍋でパスタを、もう1つの鍋で豆腐を茹でている。豆腐を具にするつもりだ。豆腐とパスタが茹で上がり、僕はつくり置きしておいたソースを冷蔵庫から取り出そうとする。だがなかなか見つからず、焦って取り出したソースを僕はティッシュの箱にかけてしまう。もったいないので箱も一緒に食べてしまえばいい、と僕は考える。

 

 

 

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カフカ

 

 夢の中で僕は他人の私的なメッセージを読んでいる。なぜかアクセスできるようになった。しかしくだらない。くだらないので斜め読みしていくと、退社や退行という単語が目に留まる。その退社して退行した人物は、今自宅でカフカを読んでいる。

 

 

 

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2019年5月 6日

11月26日

 

 僕は高校生だった。転校してきたばかり。席は学校でいちばんの美少女の隣。登校すると、その美少女の机に、プレゼントが山と積まれていた。誕生日なのだ。

 

 偶然だが、僕と同じだった。僕の誕生日も今日だ。それを彼女に言うと、プレゼントを1つ分けてくれた。

 

 開けてみると、それはアナログのレコードだった。曲はベートーベンのバイオリン・ソナタ。ターンテーブルに載せると、聴こえてくる、斬新な演奏。電子楽器のようなバイオリン。金管のようなピアノ。

 

 

 

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2019年5月 5日

禁書

 

 知り合いのところの男の子を映画に連れて行った。『ミルク』というキワドい大人のジョーク満載の映画だったので、少し心配だった。絵が可愛いと小さな子供にも人気なのだ。映画館の前でホームレスにもらったチラシには、NY在住のさんま(驚き、NY在住だったのか)も英語で推薦のコメントを書いている。

 

 そのホームレスの話では、児童図書館に『ミルク』の子供向けの絵本があるという。「読みたい」と言うので映画の後で連れて行った。アインシュタインのペットだった猫と、オードリー・ヘップバーンのペットの猫を掛け合わせた、伝説の名猫を巡る冒険、というのが話の大まかな概要だが、正直ストーリーはあってないようなものだった。ちなみにタイトルの元になっているのは、登場する擬人化された乳牛なのだろう。

 

 男の子に絵本を読んであげている途中で、アナウンスが流れた。カウンターにその絵本を書いた映画の監督が来ていて、即席のサイン会が行われているらしい。サインは30分待ちだとか。僕たちは列の最後尾に並んだ。

 

 監督は、アップルの創始者のような中年の白人だった。「映画を見た子供たちの中には、女の人は妊娠すると捨てられちゃうんですか、と訊いてくる子もいてね、親には睨まれるし、大変だったよ」とウインクしてくる。

 

「さて、君はどうだったかな」「うーんとね、牛乳が美味しそうだった」「ははは、そうか、良かった」

 

 図書館の外に出ると、そこは小高い丘の上に建つ中世の城だった。庭に投げ捨てられた『ミルク』の絵本が、山と積まれている。僕たちは1冊拾って帰った。

 

 

 

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2019年5月 4日

スエードの学ラン

 

 僕はスエードの学ランを着ていた。元は黒かったのが日に焼けて茶色っぽく変色している。にしても学ラン、この歳になって似合うだろうか? だが鏡を見てみると、そこには高校生のように見える僕がいたので安心した。

 

 地下1階から2階までがゴミ処理場、3階が図書館、という建物に来ていた。朝の5時半。1人でゴミ処理をしていたおじさんに家のゴミを渡してから、そのまま学校には行かず、図書館をうろついていた。

 

 図書館の洋書のコーナーには僕と同じ茶色く変色した制服を着た高校生が何人かいたが、知らない顔だった。しかし優秀な学生なのだろう。洋書など僕にはとても読めない。彼らから隠れるようにして翻訳物の小説を探していたが、どこにも見つからなかった。

 

 

 

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島の電車

 

 家族でオキナワの小さな島へ夏の旅行に来ている。空港から電車に乗り森の中を走った。「あれっ?」と息子が急に気づいて言う。「なんでこんな島に電車があるの?」「買ったんだ」と僕は答える。「安かったし、ときどき走らせようと思って」

 

 それを聞いて妻が非難するような視線を鋭くこちらに向ける。何か言いたそうだ。妻の母親はにこにこ楽しそうに車窓を眺めている。

 

 

 

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2019年5月 3日

郷ひろみの食卓

 

 ゲームセンター。早朝5時。ポケットには百円玉が1枚。いつものシューティグ・ゲームをやろうか? 開店直後なのか閉店直前なのか、客がいない。店員が僕をちらっと見る。壁に沿って並んだゲーム機を物色してまわる。何となく気分が乗らない。

 

 サッカーのゲームがあった。「郷ひろみの食卓」という見たことのないゲームがあった。郷ひろみが人生で出会った食事を完全再現したゲーム、とある。RPGの一種だろうか。やらずに店を出た。

 

 

 

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2019年5月 2日

カメラ・ボクシング

 

 一眼を構えた女子選手がリングで向かい合い、相手の写真を撮っている。カメラ・ボクシングの試合だった。撮った写真はすぐさま判定に回される。駆け出しの若いカメラマンが、ベテランの女性を圧倒していた。

 

「オートフォーカスを切るんだ!」その女性のセコンドに就いた僕らはリングサイドで叫んでいた。「全部切れ」「絞りとシャッタースピードなんか適当に勘で、大丈夫、それでいける」

 

 

 

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酒屋

 

 パジャマの代わりにしているヨレヨレのブラックジーンズを着替えもせず、真夜中の町を散歩していると、閉店した酒屋のシャッターの向こう側から、拍手と歓声が聞こえてきた。歓声が‥‥。今日は歩いてベッドに戻る前に、この町の外で夢から覚めてしまいそうだ。

 

 

 

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2019年5月 1日

ハートの7

 

 久しぶりに会ったキリスト教伝道師の友人と、バックギャモンで勝負した。僕がサイコロを転がすと、‥‥だが目はトランプの札になっていて、ハートの7やスペードの3など、‥‥ルールも複雑すぎて、ゲームが止まってしまう。

 

 それで僕たちは、というか僕は散歩に出ることにした。風景も建物も言葉もどこか妙にイスラムっぽいところに‥‥

 

 

 

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交差点

 

 信号が変わった。巨大なスクランブル交差点の向こうの蜃気楼の中から、人が歩いてきた。道幅は5キロもあって、反対側は白く霞んでいる。

 

 強い日差し。乾いたブリーズ。歩行者は砂漠を行き来する遊牧民のよう。

 

 

 

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2019年4月30日

白雪姫の小人

 

 白雪姫の小人のようなおじいさんが台所でカレーを煮ている。できたようだ。鍋と白いご飯を盛った皿を手にどこかへ消えた。次は僕の番だった。スパゲティを茹で始めた。食べたら出かける、と僕は君に話した。帰りは零時を回る。すると眠りのこちら側で声がした。

 

 

 

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2019年4月29日

何か

 

 今の若い人はどうやって音楽を聴くのだろう。CDを買って聴く人はいるのだろうか。僕の音楽の聴き方もこの10年で大きく変わった。CDやレコードを買って部屋のステレオで聴くことはもうなくなってしまった。その代わりにライブに行くようになった。若いクラシックのピアニストを知ったことがきっかけだった。

 

 ピアノにグーパンチを喰らわせたり、頭突きをして音を出す(クラシックの)ピアニストは、僕が10代の頃聴いていたどんなバンドよりも、ずっとパンクでロックでグランジでハードでクレイジーでメタリックで歪んでいて、それでいて端正で美しくて水のように透明で本当に夢中になった。

 

 演奏が始まる前の、あのヒリヒリするするような沈黙を破る、爆発音のようなピアノの音。数十分の演奏の中に、自分が生きてきた数十年という時間を凝縮してぶちまける君に。柔らかい背中に。触れてくる指に。

 

 音楽はCDやレコードのような物質ではなく、流れていく時間を感じられるようにしてくれる非物質の何かだった。ギターやキーボードのような楽器でもなく、楽譜でもなく。何でもない一瞬が永遠のように感じられるときもあるし、その逆ももちろんある。日々が退屈に感じられたり、反対にどうでもいいようなその過去の日々が大切な思い出に感じられたりするのも、音楽のせいなんだろうか。全部その「何か」のせいなんだろうか。

 

 

 

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クッキー

 

 部屋の中にコンセントが1つもなかった。床に掃除機をかけたいのに。しかたなく廊下から繋いだ掃除機で部屋を掃除していると、奥の窓のところに知人がいた。旅行から帰って来たばかりだと言って、お土産に済州島のクッキーをくれた。そうするともう1人の知人が現れて、久留米のお土産をくれた。久留米のクッキーだというが、済州島のクッキーと同じだった。僕は一口だけ齧って、美味しいと言った。

 

 

 

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悪徳警官

 

 警官版の人生ゲームで遊んだ。警視総監になって上がりだ。だがその出世の最後の階段を上がるためには、ワイロを使わなければならない。とても警官の給料で払える額ではなかった。腐敗した組織の中で出世できるのは、不正に蓄財してきた者だけ。正義感溢れるホンモノの警官はどんどん片隅に追いやられていく。

 

 高い脚立の上に立ちゲームの大局を見極めようとする僕に、「そこから飛び降りろ」と声がかけられた。

 

 

 

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2019年4月28日

相撲取り

 

 僕は息子と一緒にいた。息子はThe1975みたいな髪型をした相撲取りだった。太っていて上半身裸だからなのか、息子は蚊に刺されやすい。息子の話を聞きながら、僕は彼の腹の血を吸う蚊を叩き潰している。両手だけでは足りず、足も使って蚊を叩いていく。

 

 背中を向けてみろ、と僕は言う。緑色の蚊が背中にもいる。

 

 

 

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chemise préférée

 

 そこは、中東か東南アジアのリゾートのようだ。町中に君のポスターが貼られている。コンサートが開かれるのは何ヶ月も先なのに。

 

 僕はブカブカのシャツを着て町をぶらつき、人々の贅沢な食事の様子を眺めている。注文した料理を、半分以上残して席を立つ観光客たち。

 

 食べ残しを恵んでもらえませんか? 

 

 すると隣のテーブルから、日本語が聞こえてきた。スーツを着た日本のビジネスマンが2人。酒に酔った上司が、ウェイターに部下の自慢をしている。こいつはすごいんだぞ、何ヶ国語も喋れるんだぞ。

 

 

 

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2019年4月27日

車内コンサート

 

 僕は床で眠っていたようだ。目覚めるとそこは、大きな机と本棚のある書斎のような部屋だった。机の上にもたくさんの本が積んである。読んだことがある小説ばかりだったが、そのどれもがオリジナルより面白く書き直してある。移動中に読み直してみようと思い、僕は『1Q84(改)』を手にとった。

 

 高架を走る無蓋の鉄道の車内でコンサートがある。駅はホテルの目の前にあった。鉄道というよりも、これは巨大なジェットコースターと呼んだ方がいい。正方形の車内には数百人の乗客、兼観客。町の中心部とホテルを結ぶ路線だ。

 

 空気に包まれた空気の中に、僕たちを包みこむような、気持ちのよい夏の午後だった。コンサートはなかなか始まらなかったが、気にする者はなかった。左の列に座った乗客たちが、ヨーロッパの民謡を合唱し始めた。車内放送は最初英語で、その後日本語で、その歌の解説をしてくれた。FMのDJみたいに。

 

 同じ列車で、ホテルに戻った。22時になっていた。結局車内でのコンサートはなかった。乗る列車を間違えたのかも知れない。ホテルの前には、インド料理の出店が。夜も遅いし、もっと軽い食事がしたかったのだが、インド料理以外の選択肢はないようだ。白人の宿泊客は気にせずフルコースの注文をして、食べ切れなかった料理は残している。

 

 

 

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2019年4月24日

通り抜け(夢)

 

 傘をさしたさらりーまん風の男性が、自転車に乗ってこちらに向かってくる。僕たちはゼロ距離ですれ違う。

 

 

 

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おお笑い

 

 茶色いサングラスをかけた妖精のような女が、僕の歳を訊く。正直に答えたのに、「とてもそんな高齢には見えません」

 

 証明してください、と言うので、「あと30年ぐらいしたら老いて君の目の前で死んでみせる」それでいいかな。

 

 すると妖精はこちらをじっと見つめて、僕が目を逸らすと、大笑いした。

 

 

 

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2019年4月23日

ステージの端の

 

 飛行機に乗って遠くに。電車に乗って遠くに。そこからさらに歩いて遠くに。声のするところまで来たのに、声はむしろ聞き取り難くなっている。離れていたときの方が、僕の妄想の力で、声は増幅されて、まるで歌のようになっていた。それは僕のために作曲された音楽だった。

 

 今や声は、歌であることをやめた詩だった。元々は英語の歌だった。僕は即興で日本語の歌詞を声に乗せる。いちばん遠いところにいる人に向けて歌うのだ。

 

 

 

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2019年4月22日

配達物

 

 朝起きると右手がなくなっていた。ベッドの周りを探したが見つからなかった。そういえば昨夜、靴を磨くのに使ってそのままにしてたんだっけ? 玄関を見てみると黒光りする革靴の脇に、新しい右手が配達されていた。

 

 

 

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2019年4月21日

QB

 

 輪になってキャンプファイヤーを囲んで、1人ずつ歌って踊った。僕たちはみんな、不思議な響きの外国語を話している。輪の中に大柄な女のコがいた。僕は彼女を誰だろうと思いながら歌った。誰も知らない、日本語の歌を。

 

 それから君と2人、QBという港(どこだろう?)まで電車で行った。駅を出て、大きな街路樹のある通りを少し歩く。交差点の向こうが、お目当ての商業施設だった。

 

 入り口のところで「お金を払って」と君は言う。僕はくちゃくちゃになった1万円札やユーロやスイスフランやドルを見せる。「これ」と君は緑色のお札を1枚抜き取った。

 

 そこでは写真家の君の作品展が開かれていた。作品はモノクロのポートレートだった。母と子。そして子供たち。あちこちに作品展のポスターが貼ってある。君は施設の管理者と何か話している。

 

 僕はエスカレーターで3階に上がり、階段でまた1階に戻り、作品展の会場を出たり入ったり、そうこうしている内に、3時の飛行機に乗る予定があるのを思い出した。

 

 

 

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2019年4月20日

水 ティッシュ

 

 バーとドンキホーテとディスコが合体したような店のカウンターで水を飲んでいた。水は1円だった。隣のカップルもやはり水を飲んでいた。男の方と目が合った。1円玉と1円玉で乾杯して、僕は席を立った。

 

 店のドンキホーテの部分に痩せこけた若い女が入ってきて僕に言った。「何なのこの店は?」

 

「一緒に飲もう」と僕は女を誘った。「ここで買うより、バーで注文した方が安いよ」

 

 僕たちはテーブルの席で水を飲みながら話した。一緒に来た友達を無視して、僕は1人で飲んでいると話した。「どうしてそんな酷いことをするの?」女は泣いてしまった。

 

 女のために、僕は1箱2000円のティッシュを買った。

 

 もう朝になっていた。僕と僕の友達と、女は店を出て僕の車に乗った。店の隣に、落書きだらけのアパートが建っていた。「従業員用の住宅だろう」と僕は言った。「どうしてそう思うの?」と女は言った。

 

 

 

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2019年4月19日

重機のある丘

 

 巨大な重機のある丘の向こうは、数学と物理学の天才少年少女が集う、夏のキャンプだった。

 

 キャンプ地では大人たちが、製造した爆弾を持って姿をくらました少年を探していた。

 

 てくてくロシアの方へ歩いていると、早足のアメリカ人の少女たちが、僕を追い抜いた。

 

 みんな、足が太い。

 

 

 

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現代アート

 

 僕の家が、「ある現代人の暮らし」という題のアート作品になっている。ときどき玄関から知らない男女が入ってきて、本棚の本や、コタツで紅茶を飲みながらネットで遊んでいる僕の姿を鑑賞して、小さな声で、何やら感想を述べ合っている。

 

 誰かが入ってくる度に、僕は最初から、紅茶を入れるところから始めなければならない。

 

 

 

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2019年4月18日

ボウリング

 

 車道を青いボウリングの球が真っすぐに転がっていく。夢なので僕はそれを大した驚きもなく眺めていた。あぁ、ボウリングの球が転がっていくなぁ、というくらいのもの。しばらく歩くと、道端にボウリングの球が。ぼんやり、あぁ、やっぱりガーターだなぁ、と思う。

 

 

 

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2019年4月17日

駅前

 

 女友達が待ち合わせ場所に指定してきたのは、駅前の「下着館」だった。下着専門の巨大デパートらしい。「駅前」とはいっても、そこは駅から10キロほど離れた場所にある。やたらとスケールの大きな町だ。

 

 駅を出てすぐのところにある、本当の駅前広場には、町のあまりのスケールのでかさに圧倒された観光客たちが、途方に暮れた様子で座り込んでいる。僕ももういちど女友達に電話をかけ、下着館までの詳しい道順を確認したのだが、馬鹿じゃないの、「駅前」にあるんだからすぐわかるでしょ、と言わんばかりの口調だ。

 

 

 

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