2020年7月 6日

4つの短い夢                                                                                                                                    

 

 

 棒グラフを眺めて若い女が画面の向こうから僕に意見を述べた(何のグラフ)。

 

 

 クレーン車のクレーンの部分が故障した(修理しない)。

 

 

 倉庫に刑事がやってきて天井から垂れてくる透明な液体に気づいた(なのに行ってしまった)。

 

 

 その平行世界では大滝詠一の曲の歌詞がすべて別のものに書き換えられていた(大きな違和感)。

 

 

 

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エースと4番                                                                  

 

 9人のチーム相手にどうやって戦えばいいんですか? 頭を使え。エースと4番、2人だけの野球チームが何組か。

 

 総監督は練習のやり方は自由だと言い残し、どこかへ行ってしまった。

 

 

 

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木の成長                                                                  

 

 巨木の根元に、男がまた別の木を植えた。植え終わると、すぐ日本に帰った。

 

 木はすぐ大きくなったが、それに合わせて僕も巨大になったので、相対的には、木は小さなままだった。

 

 ときどき、僕は小さな木の葉を食べた。

 

 木が成長する様子を、僕は撮影しておいた。10年分を1時間に編集した動画を、日本に送った。

 

 

 

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ストップモーション

 

 飛び込み台から、体をひねってジャンプ。連続写真を意識して、1/10秒ごとに、格好つけたポーズを決めた。

 

 

 

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2020年7月 5日

音楽の時間                                                                  

 

 音楽の時間に、君は1曲だけ弾いた、懐かしの童謡みたいなメロディ。鍵盤に手が届く位置にいた、僕は聴くというより見ていた、君が指先で音を解放していくのを。自由になった音は心から楽しそうに、僕たちの周りを飛び跳ねていた。そしてみんなを笑顔にした。

 

 

 

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2020年7月 4日

豚                                                                  

 

 怒って衝動的にバスを停車させた。何の関係もない運転手に豚の悪口を言った。僕がそこまでするのは珍しい。豚のせいだと噂が広まり、豚が飛んできた。

 

 予想に反して、豚は謝罪した。豚と喧嘩になるかと思っていた。僕も反省した。運転手には悪いことをしてしまった。

 

 僕はその太った人を豚と呼び、豚を人として扱っていた。豚は事前に情報を与えてくれなかった。それで僕は何の準備もできなかったのだ。

 

 

 

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カルピスの原液                                                                  

 

 四角くカットしたチーズの上に、カルピスの原液をかけたデザートが人気だ。そのカルピス原液を注ぐ係だった。そこはおしゃれなカフェで、僕はそれ専門の給仕だった。

 

 

 

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ジャミロクワイの帽子の中身                                                                  

 

 頭を入れる穴が3つある、電球のソケットのような巨大な帽子の中に入り、くるくる回転しながらジャミロクワイを歌っている、3人組のボーカルグループがいた。見ていた50代のプロデューサーは、大爆笑だ。

 

 レコードレーベル主催の、バンドのオーディションだったが、集まってきたのは、全員、楽器もろくに弾けない、お笑い芸人としてデビューした方が成功するだろうと思われる、そんな連中ばかりだった。

 

 

 

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傘                                                                  

 

 折りたたみの傘は、ちゃんと開いてくれなかった。雨に濡れながら、僕たちは祈った。

 

 一緒に、笑いながら、屋根の下まで走った。以来、傘は持ってない。

 

 

 

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2020年7月 3日

饒舌                                                                  

 

 本棚に、本が逆さまになって入っている。向きを直そうと、僕はその本を手に取った。タイトルを見た。何度も読んだ、大好きなSF小説だった。でもその内容は、どうしても思い出せなかった。

 

 大きな、日本のお屋敷。僕たちは夕食ができるのを待っていた。屋根裏に上がる階段が、部屋の真ん中にあった。僕はその階段に腰掛け、セリフの多い少女マンガを読んでいた。

 

 お屋敷には、僕の他にもゲストがいた。というかメインのゲストはそちらだったので、僕と連れがいくらお腹を減らし、退屈していようと、関係ないのだ。夕食にはまだ当分、ありつけそうになかった。

 

 

 

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夢見る稼業                                                                  

 

 僕が書いたちょっとした文章が、雑誌に掲載されることになったのだけど、僕はそのことを、何も知らされてなかった。発売になった雑誌を手に取り、自分の書いたものが掲載されているのを見つけた。

 

 そこで初めて知ったのだ。こんな驚くべき話を。

 

 ☆

 

 ほとんどの時間を、僕は夢の中で過ごしている。昼寝も含めると、僕はだいたい、1日に15時間眠る。たくさんの夢を見るのが、僕の仕事だ。より正確に「稼業」と言った方がいいかも知れない。

 

 起きているのは9時間ほどだが、そのうち4時間を、見た夢の記録に充てている。文字通り、夢の中で生きている。

 

 最初は、ただの遊びだった。見た夢を、現実にする遊びだ。簡単なことだった。バスに乗る夢を見たなら、バスに乗ればいい。それだけのことだ。

 

 宇宙人と戦うような、実現不可能な夢でも、僕は現実にすることができた。宇宙人と戦った場所に行き、星空を見上げ、そのときの気持ちを思い出してみる。これはそういう、「遊び」なのだから、それでいいのだ。

 

 そのうち、僕の見る夢は、すべてが正夢になった。起きてから、努力して、夢を現実にする必要はなくなった。すべてが正夢になる夢を見る男として、僕は現実を生きていた。

 

 僕の現実というのは僕が見た正夢に過ぎない。夢に生きる。夢見て生きる。誰もが不可能だと口を揃えるそんな生き方を、寝てる間に僕は実現してしまっていた。

 

 

 

 

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机の上の数字                                                                                                                                    

 

 明かりの落ちた倉庫のように広い部屋は、扉でコンビニと繋がっていた。コンビニを抜けて細い通路を行くと、おじいさんのいる事務室があった。僕はその老人に何か言われて、コンビニを抜け、もういちど広い部屋に戻るはめになった。

 

 机があり、数字が置いてあった。いかにも計算されるのを待っているような数字だ。僕が足し算を始めると、誰かが缶ビールを持ってきた。

 

 

 

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704                                                                  

 

 どうしても胸に目が行ってしまう、女の人は巨乳だった。グレーのスーツを着ていた。

 

 エレベーターに乗り込んだのは、その女の人と僕だけだった。夜の遅い時間で、僕が行きたいのは7階だった。でも女の人が7階のボタンを押すのを見て、何となく気まずくなって、僕は11階を押してしまった‥‥

 

 結局11階でも僕は降りず、いちばん上の13階まで上がり、そこから階段を使って、7階に向かった。まるで人気のないビルだった、7階だけ明かりが点いていた。

 

 僕の部屋は、704だった。まだ営業中のレストランを囲むようにして、7階のいくつかの部屋はある。部屋を探して店の中をうろうろしていると、さっきの女の人に出会った。

 

 704はどこなのか訊いてみると、女の人は僕を、レストランのテーブルに案内した。そのテーブルが704だと言った、何か奢ってほしいと僕に頼んで、勝手に何か注文した。

 

 

 

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2020年7月 2日

魂の速度                                                                  

 

 人間の魂から、どれだけのエネルギーが発生しているか、測定する装置が僕たちを見ていた。

 

 測定機器は、寝ぼけ眼でもいちばん多くのエネルギーを出している僕に目をつけた。「走ってみなさい」と声をかけてきた。

 

「記録的数字が出るかも知れない」

 

 後ろにいた人が、僕の背中を押したまま、一緒に走ってくれた。それで僕は、出鱈目なスピードで走ることができた。しかし速さは、魂の速度は、エネルギーとは何の関係もなかったのだ‥‥。

 

 

 

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名前と番号                                                                  

 

 混浴の温泉だった。僕は湯に浸かっていた。湯は腰の下までしかなかった。半身浴というのにも、まだ足りない。

 

 若い女性たちが僕の周りを囲んでいた。みんな僕のことを知っていた。誰も知らないはずの名字で僕のことを呼んだ。その名を名乗ったことはないのに。

 

 僕は彼女たちを誰も知らなかった。

 

 僕は、湯船の縁の方まで行き、持っていたポーチから歯ブラシを取り出した。そして歯を磨きながら、見覚えのない女性たちの胸を眺めた。

 

 僕の持っている歯ブラシには名前が、男性器には番号があった。僕は女性たちの裸を、もういちどよく見てみた。その体に名前か番号を探した。

 

 

 

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444                                                                  

 

 僕は自分で自分の名前を呼んで、愛してると444回繰り返して言った。

 

 ユー・アー・ノット・アローンの声は段々大きくなって、やがて真実になった。

 

 

 

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高いところ                                                                  

 

 その先は行き止まりのように見えたので、車を降りて、確認してみることにした。

 

 でも違った。扉が閉まっていただけで、扉のすぐ前まで行くと、扉はちゃんと開いた。

 

 扉の向こうは、エレベーターだった。上に用事があるわけでもなかったが、僕たちは無限に上昇しつづけた。

 

 上になればなるほど、そもそもどこに行くつもりでここまで来たのか、その記憶は薄れていった。

 

 元いたところには、いつでも下りていけるから、と思っていて、事実そうだったが、ハナから下りる気はなかった。

 

 行ったことがないほど高いところまで行って、何もかも全部忘れてしまうつもりだった。

 

 

 

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2020年7月 1日

ミニ                                                                  

 

 信号待ちの先行車にぶつかりそうになった。舗道に乗り上げて、何とか停車した。

 

 中古のミニに乗っていた。1960年代のロンドンを走っていた車だ。さすがに古い。3人乗ると、いかにも馬力不足だ。ブレーキの利きも悪い。

 

 駅まで2人を送って行くところだった。だが確認すると、ナビからは道が消えていた。その先の道が消えているのだ。僕たちは存在しないはずの、細い道路を走った。

 

 ここはどこなのか。道は立体駐車場につづいていた。満車のようだ。空きスペースを求めて、上へ上へと上がった。ブレーキを踏んで、車を停めたかった。

 

 

 

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2020年6月30日

ひばり                                                                  

 

 その歌手はひばりと名乗った。美空ひばりのひばりだ。こう歌っていた。

 

 未来は、自然の中にある。それは例えば、山に吹く風や、動物たちの心だ。未来は日食の日に咲く花だ。

 

 空飛ぶ車、タイムマシン、そんなものは未来でも何でもない。

 

 私には「未来」のすべてがわかると。

 

 それが本当なら、と僕は言った。明日の天気が知りたい。

 

 

 

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17枚                                                                 

 

 僕たちは、豪華なホテルの部屋にいた。部屋は2階建てだった。2階のバスルームをチェックしている。お金を返してほしい、と女友達は言った。

 

 完全に忘れてた。何年前だろう。たしか4万円ほど借りた。財布の中には珍しく現金があったが、それでも千円札が、17枚あるだけだった。

 

 手持ちはこれしかないんだ、と僕は、そのお札を、彼女に渡した。バスルームのふかふかのタオルに包んで渡した。「次会ったら、そのときに全部払うから」

 

「いつになるか、わからないじゃない」女友達は言って、タオルを開いた。「あなたは、今、どこにいるの? 豪華なホテルの、2階建ての部屋? 本当に何も、気づいてないの?」あの17枚は、どこかへ消えていた。

 

 

 

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2020年6月29日

動物の子供                                                                  

 

 知らぬ間に乗り物は動き出していた。知らぬ間に僕は出発していた。そしてもう僕は1人ではなかった。知らぬ間に動物が膝の上にいる。タヌキかネコのような、毛のある哺乳類だ。垂れた目で僕を見上げているが、表情から、心は読めなかった。何と言っても動物だし、それにまだ子供なのだ。

 

 それで動物に話しかけるふりで、僕はひとりごとを言った。

 

 

 

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2020年6月28日

エレベーターの株                                                                  

 

 その人は僕に言った。エレベーターの会社の株を持っていると危険だ。近いうちに事故が起きて、株価は大きく下げるだろう。そうかと僕は思った。その人の予言は当たるのだ。手持ちの株は売ってしまおう。そして金輪際エレベーターには乗らないことにしよう。階段を使おう。

 

 

 

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1冊                                                                  

 

 詩と物語で構成された僕のお気に入りを探した。夜の公園で女の子が待っている。僕はその子の心の傷を癒すためのただ1冊の本を持って行かなければならなかった。

 

 

 

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アガペー                                                                  

 

 アガペーについて教授が話すのを、必死でノートに書き留めていく。哲学の授業だったが、僕は間違えて地理の教科書を持っていた。ノートも違う。滅茶苦茶だった。酷い雨が降っていて濡れた。授業の開始時間を間違えていて、20分も遅刻してしまった。だが教室の扉は開いていた。教授は僕を心配して待っていてくれたのだ。

 

 

 

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2020年6月27日

オリンピック選手と恩師                                                                  

 

 階段を上がってオリンピック選手がやってきた。恩師は押し入れの奥から出てきた。そして支持政党はどこかと彼らは僕に訊ねた。

 

 自民党以外のどこかの党です。恩師が自民党から立候補したことは知っていたが、正直に答えなければならなかった。

 

 正確に言えば共産党です。そう答えると恩師は苦笑した。どうせ共産党は負けます、僕はつづけた。オリンピック選手の表情は読めなかった。

 

 

 

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いつか老いたピアニストが                                                                  

 

 僕はピアノを弾いているが、鍵盤を押さえても、音の出ないところがある。「無音」という音なのよ。君は教えてくれた。どのピアノにも、そのキーは1つ以上あるという。

 

 我々が年を取るように、音楽も年を取る。そして「無音」は増えていく。無音にも無限の諧調があり、いつか、老いたピアニストが、無音で音楽を奏でる。きっとあなたは、あなただけの世界でそれを聴くわ。

 

 重さのない雪が、音もなく降り積もる音のような、ハーモニーを。

 

 

 

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最大の窮地                                                                  

 

 隠された秘密の名前を、君は僕に明かしてくれる。「窮地」というのが、君の隠された本当の名前だ。ある日ある日、森の中を散歩していたら、熊に出会った。窮地、そういう意味だねと、念のため僕は確認した。それ以外に窮地はない。

 

 

 

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2020年6月26日

コロナ糞ワクチンを拒否する                                                                  

 

 風邪でもないのに1年中マスクなんかしてると、免疫が落ちて、却っていろんな病気にかかり易くなり、怖れられているコロナの「第2波」は、そのようにして起こるのだろうが、馬鹿な政府とマスコミよ、真面目にマスクを拒否して、触れ合い自粛を拒否して免疫を高めようとしている僕のような善良な地球市民の、足を引っ張るようなことはやめてもらいたいもので、

 

 ついで言っておくが、あんたらがつくろうとしている、コロナの糞ワクチン、これも絶対に拒否だ! ワクチンなど打たなくても、僕はインフルエンザにかかったことはいちどもなく、

 

 そう人の免疫システムは、人そのものより優秀なのだから。

 

 

 

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マスク着用を一生涯拒否する                                                                  

 

 電車の中やお店の中で、僕と同じようにマスクの着用を一生涯拒否している人を見かけると、僕は嬉しくなって、応援と連帯の視線を向けるのだが、彼らは僕と目が合うと、恥ずかしそうに顔を伏せ、なぜかアナザーの方向に去ってしまうのだ。

 

 

 

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ヒートテック                                                                  

 

 僕はスーツを着てネクタイを締め、その銀行のオフィスに入って行った。パソコンのある机の前で立ち止まり、一旦上着を脱いだ。それから段ボールでつくられた防寒用のベストを着込み、また上着を着た。そして外へ出た。何人かの銀行員も、僕と一緒に来た。オフィスの外は寒かったが、段ボールを着ているのは僕だけだった。

 

 

 

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ドアーズ札                                                                  

 

 その店は、静かな略奪に遭っていた。僕も、加わった。レーザーガンを持った警官が、向かいのビルから、狙撃の真似事をしているけれど、そんな、SFのような銃で、人を傷つけられるわけがないのだ。

 

 大量のドル紙幣を持った僕たちは、レーザーの光を浴びながら、店の外に出た。警官たちは、追って来ない。しばらく行ったところで、隣を歩いていた男が、僕に言った。「ドアーズのメンバーが印刷されているドル札を持ってないか?」

 

 ドアーズ? ロックバンドのザ・ドアーズ? 「そう、お宝なんだよ」

 

 そんなお札、使えないだろ? 「まぁ普通の店ではね。もし持ってたら、僕にくれないか?」

 

 僕はいいよと答えて、手にした紙幣の中に、ドアーズ札が混じっていないか、探し始めた‥‥

 

 

 

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2020年6月25日

あのゲーム                                                                  

 

 路面電車が、出発しようとしていた。ぎりぎり、間に合わなかった。僕は走って行き、閉じられたドアを叩いた。トントントン、トントントントン、すると、中で声がして‥‥

 

 僕は古い友人と、並んで座った。久しぶりに、あのゲームがやりたい、と友人は言った。双六と、カードゲームを足して、ルールは、2人で考えた。あのゲーム。

 

 路面電車が、出発しようとしていた。ぎりぎり、間に合わなかった‥‥。1両だけの電車は、軌道を外れ、自由に加速し出した。二度と、止まらないだろう。

 

 

 

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交代で寝る                                                                  

 

 僕がリビングに顔を出すと、入れ替わりに女房は寝室に向かった。リビングには、誰か友達が来ていたようだ。もう、帰ったんだろうか。見たことのない、女物の服が散らかっていた。

 

 食べかけのお菓子が、いくつも皿の上に乗っている。一口だけ食べて、やめたのだ。

 

 スニーカーが灰皿の代わりになっていた。これには驚いた。部屋は冷房が効き過ぎていて、寒かった。冷房のスイッチを切って、窓を開けようと思った。

 

 窓には、虹色をした蛾がとまっている。こんな美しい蛾を、僕は見たことがなかった。

 

 窓には、S字に湾曲したガラスが嵌まっている。どうやってスライドさせればいいのだろう。

 

 

 

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2020年6月24日

芭蕉の句                                                                  

 

 冷凍庫で保存しておいた食品を取り出した。なぜか知らないが温かかった。何もしなくてもそのまま食べることができた。それを食べながら僕はテレビを眺めた。

 

 テレビでは君のインタビューを放送していた。いつ撮影したものだろう。君は茶色いジャケットを着て、黒ぶちの眼鏡をかけている。場所は大きな図書館か。古い文献を前に、昔の作曲家や、その音楽について語っている。

 

 

 

 

 場面は変わって、君は床に寝転んだまま、ラジコンの玩具を走らせて遊んでいる。手には薄いペーパーバック。カメラが寄ると、その本は松尾芭蕉の『奥の細道』の仏語訳だとわかる。

 

 

 

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2020年6月23日

月の家                                                                  

 

「月に帰ろう」とその男は誘った。「シャワーを浴びたい」

 

 僕たちは夜道を歩いていた。誰もいない。空を見上げたが、月は出ていなかった。

 

「シャワーの前に、掃除をしなきゃならない」と僕は答えた。

 

「掃除なら、先に帰った女が、2人でやってくれただろう」などと男は、希望的観測を述べた。「料理をつくって、待っていてくれるかも知れない」

 

 君と、君の友達のことだ。絶対に絶対にありえないと思ったが、何も言わずにおいた。そして今君は、どこで何をしているのだろうと考えた。

 

 

 

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2020年6月22日

幻の視線                                                                  

 

 本を開かずにその内容を知ることのできる男(女?)が書店にいた。羨ましいと言うと彼は僕に、目の前にある本を映像化して見せてくれた。僕が視線を移動すると、その先にある本が消え、映像になっていくのだ。あっという間に書店からすべての本が消えた。書店は書店ではなくなり、そして男は消え、見えていた映像も消えてしまった。

 

 

 

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マスク着用を一生涯拒否する                                                                  

 

マスクの着用を一生涯拒否する 

あと新型コロナのワクチン摂取、拒否する

ワクチンの開発自体に反対しておく

子宮頸癌のワクチンで健康被害が出た人たちが、

どうなったか? 思い出せ

コロナの糞ワクチンでどんな被害が出ても、

国は一切の責任を負わない、誰でもわかること

新型コロナは、ただの風邪

人間に普通に備わっている免疫システムで、

充分に対応可能

 

 

 

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2020年6月21日

伝説のロック歌手                                                                  

 

 引退した伝説のロック歌手の家にいた。縁側で、その伝説のレコードを聴いていた。「もう歌わないんですか?」と訊ねた。どんな答えが返ってくるかは知っていたが、いちおう、社交辞令として。

 

「あなたのレコード、擦り切れるまで聴きました」。これは嘘だ。「中学のとき、初めて聴いて衝撃を受けました」。半分くらい嘘だ。当時僕は洋楽ロックにはまっていて、彼のバンドはそのパクリだとしか思ってなかった。

 

 

 

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煙草の具                                                                  

 

 床も、壁も、天井も、全部真っ白の部屋にいた。窓から差し込んでくる光も白い。広い部屋だったが、家具は何ひとつなかったので、僕は床に座っている。

 

 手に煙草の箱を持っていた。煙草を分解して、植物油を染み込ませ、中の乾燥した具を食べようとしていた。そこにノックの音がして、君がやってきた。

 

 

 

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2020年6月20日

火薬                                                                  

 

 女が自殺を考えていることは明白だったので、僕たちはその火薬に細工して、爆発しないようにしていた。起爆のスイッチを押したとき、プゥプゥというおならのような音が出るのを聞いて、女は笑った。自殺はもう諦めたと言った。逆に不良品を掴まされたと、元気に僕たちを訴えさえした。

 

 

 

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海辺の町                                                                  

 

 その夜、兄は逮捕された。留置場で拷問を受け、死亡した。僕は新聞社に電話を掛けて、そのことを話した。ペンの力で、真実を明らかにしてほしいと。だが当時、高校生だった僕の言うことなど、信じてくれるものはなかった。兄のことは、事故で処理されていた。

 

 そのとき僕は、夏休みで、兄も海辺の町に帰省していた。どうでもいいような話を何時間もして、そのあと映画を観に行った。それが兄との最後の記憶で、奇妙なことに、最初の記憶でもあった。

 

 僕に兄がいたことを、覚えているものはなかった。僕自身、覚えてない。家族も知らないと言ったし、だいいち、僕たちが海辺の町に住んでいたことなどなかった。

 

 ずっとあとになって、パーティーの会場で知り合った「新聞王」に、僕はこの話をした。意外なことに、彼は真剣に耳を傾けてくれた。35年前に、僕からの電話を受けてくれたのは、彼だったのではないかと思った。何となく思った。ただ僕はそう思ったことを、口に出すことはなかった。

 

 

 

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新しい生活様式は無視しろ                                                                  

 

新しい生活様式は無視しろ

マスクを捨てて

行きたいところに行け

やりたいことをやれ

ウイルス対策を口実に 権力者は我々の富を奪い 行動を制限し 監視しようとしている

人とふれあえ 楽しく生きろ

国と学校の先生とマスコミの言いなりになるな

 

お前もパンクスだろ ロッカーだろ 

現代に生きるベートーベンを自称するなら

ここで反抗しないで いつ反抗するんだ?

ワクチンを待つな 免疫を高めろ

騙されるな

新型コロナは ただの風邪

 

 

 

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2020年6月19日

Remerciement Spécial                                                                  

 

 飲まない僕に用意されたのは、お酒ではなく、炭酸水だった。その飲み物を、グラスからこぼしてしまった。

 

 絨毯が濡れてしまった、と注意喚起する。僕は、靴を履いてなかった。

 

 しかし絨毯が濡れているのは、僕のせいばかりではない。天井から、水が滴り落ちている。

 

 タキシードの男と、君が、赤い絨毯のところで、僕を呼んでいる。一緒に乾杯をしよう、と言う。僕は、そう、特別な貢献をしたのだ。

 

 

Dsa

 

 

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インフレ                                                                  

 

 僕は「親友」ということになっている眼鏡の優男のポケットに、100ユーロ札の束を幾つも突っ込んで、「これで電気代とガス代を払って、食い物を買ってこい」と告げた。「お前を信用している」「しかし戻ってきて釣りが1セントでも合わなかったら、窃盗で警察に突き出す」

 

 ここはアッシュレムを改築した、倉庫のように広いワンルーム・マンション。

 

 僕は自分でも100ユーロのお札を何束か持ち、家賃の支払いに向かった。駅ナカにあるATMは故障しているようだった。仕方なく、ちょっと歩いたところにある銀行の支店に向かったが、そこも閉鎖している。ここのところ、いつもだ。どこもかしこも。

 

 もういちど駅に行った。よく見てみると、駅の機能そのものが停止しているようだった。それでも列車は運行している。どこか別の町に行こう、と思った。家賃と光熱費は踏み倒して。別の国に行くのだ。僕は機能を停止したままの自動券売機の列に並んだ。発券はもうじき再開されるという。

 

 

 

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2020年6月18日

ハッピー奴                                                                  

 

 ハッピー奴(やっこ)、ハッピーハッピー奴と、たこの足を茹でながら、僕はでたらめな歌を歌っている。たこはパスタの具になった。

 

 

 

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ホワイトホールへ                                                                  

 

 星が爆発的に輝く。空に白く穴が開いたようになった。その白い穴の向こうに、穏やかな海が見えた。いるかの大群が泳いでいる。波がきらきらと光った。

 

 その眩しさに目が慣れてくると、僕は雪原を見ていたとわかった。不思議と、温度のない雪だった。

 

 

 

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ミッキーマウスのコイン                                                                  

 

 僕はミッキーマウスが刻印されたヘンな500円玉を持っている。そのスーパーはもう閉店の時間で、照明は落ちていたけれど、僕の手の中だけ光が当たっていた‥‥。ミッキーマウスのコインをどうしようか悩んでいると、警備員が2人こちらに向かって歩いてきて、「まだいるんですか」「閉店ですよ」と口々に言った。

 

 

 

Ft7

 

 

 

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2020年6月17日

18時18分                                                                  

 

 僕たちは地下鉄の駅にいた。その前は赤いレストランにいた。中華の店だろうか。赤い色を見てそう思うのだろうか。

 

 腕時計とスマホで、何度も時刻を確認した。18時18分。君は時計を持っていない。薬を飲む時間だ。1日に2回飲む。何の薬だろうか。飲まないとどうなるのだろう。飲まないと目が覚めるのだ。飲むとどうなるのだろう。

 

 

Cde

 

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集会                                                                  

 

 体育館だ。1階、2階、3階まである。やけに重たいバスケット・ボールを手に、僕たちは集まっていた。1階に。

 

 

 

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走馬灯                                                                  

 

 原っぱ。何十人かで輪になって、手を繋いで、ぐるぐる回った。輪には宇宙飛行士が何人かいた。宇宙服を着ているので、一目でそれとわかるのだ。

 

 中学のとき、同じクラスだった背の高い女のコがいた。濃い緑色の帽子をかぶっていた。髪は短かった。驚くほど変わってなかった。走馬灯のように回りながら、僕たちは積もる話をした。

 

 ただ僕の耳は聞こえなくなっていて、彼女が何を話しているのか、わからない。自分の声さえも聞こえないのだ。僕は心で思ったとおりのことを、ちゃんと声にできていたのか? 

 

 彼女は笑顔だった。ただただ懐かしい、会えて嬉しいと、思ったとおりのことを、きちんと伝えるべき相手であった。

 

 

 

Vrw

 

 

 

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2020年6月14日

カプセル                                                                  

 

 誰もいないレストランで食事した。食べている内に客は増えてきて、結局満席になった。

 

 食事を終えた僕は外に出て、カプセルを開けた。店でもらったおまけだ。中には小さなマンガが入っていた。縦4cm、横3cmくらいのサイズだが、ページは無限にあった。石段に腰掛け、いつまでも読んでいられた。

 

 

Cyi

 

 

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ローアングル                                                                  

 

 殺人者は足首に括りつけたカメラで、自分の犯行を実況中継していた。ローアングルから捉えられた襲撃の様子には、異様な臨場感があった。

 

 弾を撃ち尽くした拳銃を捨て、ナイフを手に迫ってくる。

 

 坂の上にあるデパートの周辺で、人々はモニターに釘づけだ。ピンク色の制服を着た小学生たちは、集団下校の途中だった。

 

 地味なスーツを着た大人たちも、午後の外回りの営業は見合わせるという。

 

 

 

Viw

 

 

 

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3つの選択肢                                                                  

 

 僕の妹は2人いた。そして選択肢は3つあった。家の中に雨が降った。木の床が泥濘になった。

 

 靴を泥だらけにしながら、僕たちは外へ出た。そのころには雨は上がっていた。首に巻こうとしたグレーのマフラーは濡れていた。

 

 残り2つの選択肢について、妹の1人が訊いた。

 

 階段を下りた。妹たちは普通に下りたが、僕は外側の手すりを伝って、段に足が触れないようにした。マフラーを手に持ったまま。

 

 

Gfh

 

 

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雨の日                                                                  

 

 雨が降り、次第に強くなる。「幸運還暦占い」を読んでいる。そうだ‥‥。僕もいつ還暦になってもおかしくはない。

 

 ぽつりぽつり、適当に弾き始めた音と音のつながりが、歌えるようなメロディになるまで。何となく気分が冴えないときには、ピアノの前に座って、いちばんシンプルな、ハ長調の和音を押さえてみるのだ。

 

 

 

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球速                                                                  

 

 まだ喉は乾いていた。積み重ねてあるコップを洗う。蛇口から出てくる水を飲んだ。久しぶりにそんなものを飲んだ。

 

 僕は、野球場にいた。順番に軟式のボールを投げて、球速を測るのだ。僕の番が来た。

 

 後ろ姿の誰かさんは、ユニフォームなど着てスパイクを履いている。元野球部だろう。いつの間にか投げ終わっていた。

 

 

 

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2020年6月13日

そのストーンズ                                                             

 

 ところでそのストーンズのボーカルは、ジャガーではなくローズといった。ミック・ローズ。何かのイベントで、僕はローズと一緒に歌う。たくさんの人がいる。テレビの中継も入る。緊張して喉がカラカラだ。ローズは喉を潤すために、ハチミツ入りのドリンクを飲んでいる。

 

 

Ccb

 

 

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弱音器                                                                  

 

 いつの間にか君はそばにいて、目に見えない、空想の楽譜をめくる。僕は即興で、でたらめに、電子キーボードを弾いているが、ピアノの音が出ない。音量を最大限に上げても、弱音器を使ったときのような、くぐもった、低い音だ。オルガンやストリングスの音色に変えれば、普通に演奏できるが、それは、僕たちのやりたい理想の音楽ではないのだ。

 

 

Nnm

 

 

 

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2020年6月12日

メーテル                                                                  

 

 空港行きのバスを待っている人たちは、みんな僕より頭1つ背が高い。隣には黒髪のメーテルのような女性が立った。その長い睫毛を見つめていると、こちらに気づいて、顔を伏せどこかへ去ってしまった。

 

 

 

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卓球のコート                                                                  

 

 デパートの11階には巨大な卓球のコートがあった。ラケットも、玉も大きい。それならテニスにすれば良かったのではと思うが、プレイヤーは楽しそうにしている。僕は取材のカメラマンと一緒に来ていた。カメラマンは下の階の責任者に、コロナウィルスについての質問をしたがっている。どういう対策を取っているのか等。僕は11階をもっと見てみたかった。

 

 

Wer


 

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2020年6月11日

非常扉                                                                  

 

 君に連れられて、非常階段のところまで行った。重い非常扉を開ける。その向こうは、異空間だった。数式が宙に浮かんでいた。

 

 昼間にまた行った。もういちど扉を開けた。その向こうは、固い土の駐車場だった。車は1台もなかった。

 

 

Dd

 

 

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マネキン                                                                  

 

 拍手の音が、突然消えた。手を叩いているのは、僕1人になったのだ。見回すと、観客は皆、人形になっていた。性別もわからない、無表情のマネキン。

 

 僕は、手を叩きつづけた。世界で、僕だけが生きている。舞台の上には、暗闇のように黒い、ピアノ。何千年も生きた植物のような、漆黒の、グランドピアノ。

 

 僕は、目を覚ます。気づくと、ステージの端にいる。舞台中央まで、君をエスコートしていく。抱き合ってキスをする、僕たちを、じっと見つめる。闇の中のマネキンたちは、瞬きさえしない。

 

 

Bv_20200611232601

 

 

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底なし                                                                  

 

 そんなはずはなかった。コンサートが始まる。拍手で迎えられた君。訪れた一瞬の静寂。観客は100人弱。

 

 誰かが咳払いするだろう、と思っていた。けど何の音もしない。

 

 静寂は、底なしに深くなった。ふと周囲を見渡すと、誰もいない。いつの間にか、僕1人だけだ。ステージの君は、僕にウインクをして、演奏を始める。

 

 

Yyy

 

 

 

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通訳者                                                                  

 

 僕は質問する。先生が質問に答える。だが僕の目当ては通訳をしている君だった。僕は(君に)質問する。

 

 待っていると答えが返ってくるが、それは先生の言葉なのか、君の僕に対する答えなのか、僕は知ることができない。「僕はそれで幸せなのでしょうか?」

 

「自分が既に充分幸せだと知ることがなくても」

「本当は君に愛されているということを知らなくても」

 

 ずいぶんとひねくれた愛の告白だと言い、君は呆れて、少し笑う。

 

 

X

 

 

 

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2020年6月10日

空の大きなペットボトル                                                                  

 

 建物の前では、人々が輪になって、手から手に、大きなビニールを回していた。ビニール袋の中には、中身のない、大きなペットボトルが入っている。何のために、そんなことをするんだろう? 僕は輪の外から、その様子を眺めていた。

 

Wa

 

 

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4のトイレ                                                                  

 

 トイレは4の場所にあるという。4の場所にある4のトイレが使えると。よく意味がわからない。けど行ってみることにした。数字の4が書いてあるところへ。トイレが使いたいわけではなかった。ただ水で手を洗いたかっただけだ。鏡で髪を確認したかった。

 

4444

 

 

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