2020年2月27日

惑星の大地

 

 重力の大きな惑星の大地から見上げると、オレンジ色の空には子供の頃テレビで見たような宇宙戦艦が2隻、雲と一緒に浮かんでいるのだった。

 

 

 

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口撃

 

 2人の男が戦闘機で戦っていた。「トップガン」のようだったが、戦闘機はグライダーみたいな軽飛行機だ。ミサイル等の武器も搭載していない。じゃあどうやって戦うのかというと、主に口喧嘩。無線を通じて口撃するのだ。

 

 

 

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2020年2月26日

バジャマ ベランダ

 

 娘が一緒に寝たいと言うので、2人でパジャマに着替えてベランダに出た。家の中からでは、行けないのだ。2階の寝室に行くには、一旦ベランダに出る必要があった。見下ろすと道端では、女の人が2人立ち話をしている。パジャマ姿でベランダを行く僕たち親子を見て、何かヒソヒソと言ったようだ。

 

 トイレに行きたいという娘について、1階に下りた。また2階に引き返すのも大変で、そのまま1階で寝ることにした。和風の衝立がある、真っ白な部屋だ。夏の夜、中庭に面した窓は開けたままだったが、防犯上万が一を考えて閉め切ることにした。

 

 

 

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2020年2月24日

迷子のオラウータン

 

 君と道端でピクニックしていると、5カ国語を話すオラウータンが通りかかった。迷子になったらしい。5カ国語が堪能とはいえまだ子供だ。

 

 一緒に母親を探した。すぐに見つかった。なんと母親は人(ヒト)であった。ずいぶんとまた太った女の人だ。

 

 

 

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2020年2月21日

5階下

 

 キーボードで何か打ち込んでいる。

 

 ポニーテールの女のコはあぐらをかいて床置きのモニターを覗き込む。

 

 突然振り向き、「来た‥‥」

 

 男は窓から飛び出し、5階下の地面まで飛び降り、待機していた車に乗った。

 

 あとから聞いた話では、その男は吉本の芸人なのだという。

 

 

 

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テレビの海

 

 テレビの画面が荒れた海を映している。あれはいったいどこの海だろう、と思った。この海ではない、と思った。窓の外に見えている海ではない、と思った。

 

 船が座礁し、乗客は救命ボートで漕ぎ出す。ボートは転覆しそうで、転覆しない。

 

 

 

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2020年2月20日

上映

 

 ‥‥へ向かう車の中、僕は何度も、その女の人を見た。映画館の前に必ず路面電車の駅があって、その人はそこで、傘をさし、電車を待っているのだ。どれだけ走っても、車はまた、似たような映画館の前に出る。そこには似たような雨が降り、似たような傘をさしたレインコートの女がいて、電車を待っている。

 

 いつか電車が来ればいい、と僕は思った。雨が上がって、映画も終ればいい。でも次の町に入ると、結局僕はまた、頭の中で上映を始めてしまうのだ。

 

 

 

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裁判

 

 木の枝に火をつけた。そうする理由は特になかった。ちょっと焦げ目をつけてやろう、ぐらいの気持ちだった。そうしたら木全体が燃え上がり、近くにいた4人が焼死してしまった。

 

 過失致死、ということになるだろう。でも僕は逮捕されなかった。警察の取り調べはなかった。いつまで待っても(今も待っているのだが)、裁判は始まらない。

 

 僕は毎朝、木の枝を抱えてその大きな木の周りを散歩した。そして誰かが声をかけてくるのを待った。「人殺し」と。警官が僕の肩を叩き職質をかけてくるのを待った。しかし無駄だった。

 

 午後になると木の枝を持って坂道を上り、家に帰った。「殺すつもりはなかったんです」とひとりごとを呟きながら。頭の中で裁判をしながら。

 

 

 

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巨大彗星

 

 大勢の人がエレベーターを待っていたが、僕はまだ着替えておらず裸だった。腰に白いタオルを1枚巻いただけだった。着る服を探している間にみんな下りてしまった。海の見えるスイートに残ったのは数人だった。

 

 TVのニュースが地球滅亡まであと何時間、とやっている。空には3つの巨大な彗星が見える。我々もそろそろ宇宙船に向かった方がいいのではないか、と僕が言った瞬間、予定より早く2つが地表に落ちてきた(ように見えた)。

 

 ‥‥結局自分の服は見つからなかった。誰かが残していったダボダボの洋服を着て、僕は1人エレベーターに乗り込む。そこには若い女のコと、スーツを着た男の人がいて、これが最終便だと告げる。だが誰も急いでいる様子はない。

 

 海は大荒れ、船が揺れている。揺れてひっくり返る。外に出て東の空を見上げる。3つの白いアイスクリームのような火の玉は、さっきから少しも動いていないように見える。

 

 

 

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2020年2月19日

スミス

 

 寝ているとき寒かったが起きてからの方がもっと寒い。ベッドから出ると部屋はマイナス3度で、窓が開け放しになっているに違いないと、僕は家中を確認した。

 

 ベランダに出た。春だった。屋外の方が遥かに暖かい。

 

 ハウ・スーン・イズ・ナウ。スミスの曲のタイトルだけを思い出した。‥‥何の脈絡もなく。

 

 

 

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2020年2月18日

岩石

 

 店でちょっと買い物をして戻ってくると、家の1階部分が岩石に埋もれていた。警察の現場検証がちょうど終ったところだ。バックで引き返そうとするパトカーを呼び止めて、いったい何が起きたのか訊ねた。ほんの5分出ていただけなのに。その間に何があったのだろう。

 

 ドア前の岩石を除けて家に入った。

 

 驚いたことにそこには学校の赤いジャージを着た男子中学生が10人ほどいて、ヒップホップに合わせてダンスの練習をしていた。ダンスの練習を許可した覚えはない、と僕は言った。ここは僕の家だ、出て行けけけけ。

 

 でも僕がどんなに大きな声を出しても、誰もこちらを見ようとしない。それでやっと夢だとわかった。目を開けて枕元の時計を見た。夜中の2時半。窓の外は雪で真っ白だった。

 

 

 

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バンビ

 

 頭部がバンビ、体が人間のおじさんという可哀想な生物が、テレビや新聞のニュースを見て、項垂れ、何かを憂いている。

 

 

 

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2020年2月17日

チラシ配り

 

 家具店のチラシを持って、道行く人々を勧誘していた。チラシ配りは店先で始めたはずだったが、自分でも気づかないうちに、ずいぶん遠くまで来てしまった。いつの間にか僕は、大きなデパートの前にいた。

 

 

 

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2020年2月15日

根元に瘤のある樹

 

 僕は赤い自転車に乗って根元に瘤のある樹を探しに、全然別の場所へ行ってきた。

 

 45年前、千葉の団地に住んでいた子供の頃の僕が、大樹にノコギリで傷をつけようとしている。傷を守るため、樹は樹液を出し、やがてその部分が膨れて瘤になったのだ。今、やっと思い出した。

 

 

 

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 イケメンが自分の顔写真を見せながら謝っている。この顔に免じて許してくれと偉そうな態度で謝罪している。

 

 

 

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2020年2月14日

光る花嫁

 

「いい男」の条件、それは何かというと、女友達が最高にいい女であることではないだろうか。「いい女」の女友達がいること。そう思って彼女とは結婚しなかった。恋人にもならず友達としてつき合ってきた。だが夢で僕はその女性と結婚することになったようだ。

 

 結婚式の会場は暑かった。男たちの何人かは額に汗をかいている。僕は窓を開け風を入れた。新婦の到着は遅れると連絡があった。ぎりぎりまで実家のリンゴ農家の収穫を手伝っているらしい。

 

 現れた。新婦はほぼ白に近い水色のドレスを着ている。長い髪はアップにせず下ろしている。あまりに美しかったので女たちは嫉妬して、絶対に整形していると陰口を叩いた。輝くばかりの美しさ。本当に発光しているのではないかと思われた。暗い部屋に置けば光るのではないか。

 

 額に血の滲んだ絆創膏を貼っている。「どうしたの?」「収穫のときにぶつけちゃったの」と答えた。

 

「実家は貧乏で、私は学校にも行かず働いていた。恋愛する暇もなかった。あなたとの間にも恋愛感情なんてなかったわ。昨日まで友達だったのが、でもいきなり今日結婚することになった」

 

「ここはどこ? この綺麗なドレスを着た私は誰? あなたはなんで私と結婚しようとしているの? キスもしたことないのに」。僕はそれには答えなかった。

 

 僕は彼女の額の絆創膏をそっと剥がしてみた。そして、おでこにキスするのは傷の状態を確かめるためだと言った。

 

 

 

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2020年2月13日

余命20年

 

 僕が占いに興味があってよく見るのは、自分があと何年生きるのか知りたいからだ。なのにそこをはっきりと占ってくれる占い師は今までどこにもいなかった。金運や恋愛運など、どうでもいいのである。やっと知りたかったことを知ることができた。

 

 僕は電車の窓から小型の飛行機を見て、君のことを考えた。君のことだけを考えていた。自分があと何年生きるのか考える必要はなかった。そういうことを抜きにして、純粋に未来のことだけを思った。日本語で変な独り言を言い、少し遅れて笑った。

 

 

 

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2020年2月12日

北朝鮮に行く

 

 電車に乗って、北朝鮮まで行った。僕の他にも、何人か日本人がいた。明るい朝だったが、窓のカーテンは閉められていた。毛布を渡された僕は、眠くなって、少し寝てしまった。

 

 ‥‥30代くらいの若い男が、自分の息子は如何に可愛いか、自慢話を始めた。適当に相槌を打ちながら聞き流していると、電車は北朝鮮国内に入ったようだ。駅に停車する度に、新たに乗客が乗り込んで、車内は込んできた。

 

 着いた。最も旅慣れている僕が先頭で窓口に並んだ。同行していたツアー・コンダクターのお姉さんは、入国審査官は全員英語ができるからと言って、役に立たない手書きの地図を残し、どこかに去ってしまったのだ。

 

 その地図を見た審査官は苦笑して、別の誰かを呼びに奥へ消えた。なかなか戻って来なかった。僕は窓口のブザーを押しつづけた。いつまでも。

 

 

 

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運転

 

 帰宅する時間になると、ヘリが上空にやってきて、パラシュートで車を投下した。その車を運転して家に帰る。車は象の着ぐるみに包まれていた。それで僕は象に乗って帰るのかと勘違いしてしまった。

 

 

 

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2020年2月11日

人間と殺人

 

 ライオンの母子が、究極の選択の遊びをしていた。「人間と殺人、選ぶならどっち?」

 

 子ライオンは少し考えてから「人間」と答えた。そして母ライオンが捕えてきたエサ人間を食べた。

 

 

 

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発表する

 

 授業で毎日、夢を発表する時間があった。僕の見る夢はおもしろいので、先生はいつも僕をトップバッターにしていた。でもその日の夢は、大したことがなかった。道で知らない大人とすれ違う、僕はその人たちを知らないが、その人たちは僕を知っているようで、こんにちはと挨拶してくる、それだけの内容だった。先生が失望するのがわかった。期待していたものとは違ったのだろう。次の日から発表はなくなった。

 

 

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2020年2月10日

PJやセスナ

 

 駅の近くの畑に、飛行機が10機近く駐機していた。小型のプライベート・ジェットや、セスナ機だ。通り過ぎる列車の窓から見えた。何日か前の夢を思い出して、懐かしい気持ちになった。初めて見る景色なのに。

 

 

 

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2つの月

 

 1人で飛行機に乗る夢を見た。出発は数時間遅れた。他の人はみんな違う便に乗り換えて消えた。時間はあったので、僕はそのまま待ちつづけた。

 

 しかし待つにつれ、目的と目的地が曖昧になっていった。やっと乗り込んだときには、自分が何をしにどこに行こうとしているのか、完全にわからなくなってしまった。

 

 あぁ飛行機には本当に僕1人しかいなくて、静かだった。シートを倒し、足を伸ばして横になった。窓から平行に、熱い光が差し込んでくる。

 

 やがて日は暮れた。飛行機は夜の海の上を飛んだ。満月が海上で反射して、空は昼間よりも明るいくらいだった。

 

 ところで機内でWiFiが使えたので、君からのメッセージをチェックしてみた。ユー・アー・ノット・アローンと、3回つづけて同じメッセージがあった。心細いときには、この言葉を思い出せばいい。僕が1人で飛行機に乗っているのを知っているんだな。

 

 

 

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2020年2月 8日

家の入り口

 

 その家の壁は動物の腹のように波打っていた。生きているみたいだ。中に入るには家に食べてもらわなければならないし、出るには排泄してもらわなければならない。口はどちら側についているのだろうと探した。

 

 

 

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ブリジッド・ジョーンズ

 

 1人、カフェでお茶していると、隣にブリジッド・ジョーンズがやって来た。子連れで。

 

 このブリジッドは英語ではなく、フランス語を話すようだ。赤ちゃんは赤いベビー服を着て、可愛かった。ブリジッドも何か赤い飲みものを注文して、飲んだ。

 

 

 

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イゾルデ

 

 駅で君のコンサートがあった。駅のホームでピアノを。集まった聴衆は、早くもその次の公演について話していた。何と「トリスタンとイゾルデ」を演るのだという。君がイゾルデを。

 

 チケットを予約しなければ。すぐにすぐに。僕は駅のホームから劇場に電話をかけた。電話の向こうで誰かが何かを話しているけど、ホームが余りにも騒がしくて、聞き取れなかった。

 

 

 

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2020年2月 7日

槍投げの才能

 

 僕には槍投げの才能があることがわかった。試しに投げてみると、日本記録を更新してしまった。投げたのは槍ではなくボールペンだが、記録更新自体は間違いない。

 

 オリンピックに出るのだ。昼休みにみんなに報告した。僕は図書館で、カンシーカッスル、またはキョンシーキャッスルについて調べている途中だった。それは

 

 

 

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駐車場の双子

 

 雷が鳴って落ちて、夜空が真っ白になった。一瞬だけ停電したようだけど、すぐに明かりは元通り点いた。僕は買い物袋を抱えて、店を出た。歩道には雪がまだ溶けずに残っている。

 

 少し離れたところにある駐車場に行くと、停めておいた車がなくなっていた。驚いた。自転車で遊んでいた双子の女の子に訊いてみた。さっきからここで遊んでたよね? 僕の車知らない? 

 

 知らない、と双子は言った。知らないよ。そして駐車場のど真ん中に建てられた家に逃げていってしまう。そして気づいたのだが、僕は気づいたのだが、僕が車を停めたと思い込んでいたそこは、駐車場ではなかった。

 

 

 

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ユー・アー・ノット・アローン

 

 メールで君に、ユー・アー・ノット・アローンのお礼を言った。今まで言われた中で、いちばん嬉しい言葉だと。

 

 君は半日後に、まぁオフコース、ユー・アー・ノット・アローンだよね、もちろん、と英語で答えた。「だって私がいるもの」

 

 熱量に差があるのだった。それより女しか入れない修道院に例外的特殊特別許可を取って入れてやったのに、そこに感動と感謝はないのか。

 

 シスターたちには2人の関係をしつこく訊かれた。フランス語がまったく話せないふりをして逃げていたが、英語のできるシスターもいた。女の人に追いかけ回されるのは初めてだった。

 

 イケメンの人生を垣間見た、あれはつかの間のモテキであった。

 

 

 

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2020年2月 6日

バゲット バナナ

 

 もう、ずっと会ってない女友達と、その父親と、その夫と、僕、この4人で飲むことになった。彼女は電話をかけて、まだ男を呼ぼうとしている。なぜそんな羽目になってしまったのかわからない。

 

 

 

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大統領のスピーチ

 

 ちょうどお腹が空いていた。食べるものを買おうと思う。会場の近くには大きな駐車場のある、大きな店があった。主に靴や服を売っている店だったが、食品もあった。

 

 いろいろ見て回っているうちに、大統領のスピーチは終わり、会場からスーツ姿の同僚たちが一斉に出て来た。

 

 と思ったら違った。全部夢だった。いつまで待ってもスピーチが始まらない。僕はうたた寝をしていた。上着を着て来なかった。デニムのシャツを着て、ネクタイも締めてなかった。それで会場を追い出されてしまったのだ。

 

 

 

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急降下爆撃機のパイロット

 

 滑走路のように長い駅のホームに、飛行機が何機か展示してあった。大昔のプロペラ機だ。

 

 その飛行機を眺めていると、おじいさんが隣に来て話を始めた。彼は第2次大戦中、戦闘機のパイロットだった。急降下爆撃を得意としていて、戦艦を何隻も海に沈めた。

 

 その話を信じるなら、おじいさんはギネス級の高齢である。だが見た目は、70か80くらいにしか見えない。背が高く、足腰もしっかりしている。

 

 ただのプロペラ機に詳しいおじいさん、なのだと思う。でも感じのいい人だ。そのうちにおじいさんの乗る列車がやってきた。僕と握手してから乗り込む。いつかまた戦闘機の話を聞かせてください、と言って別れた。

 

 

 

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葡萄畑

 

 不動産屋が運転する車に乗って、住む家を探しに行く。葡萄畑の中を行く。ポツンポツンと建つコンクリートの箱を通り過ぎる。葡萄農家の家だ。あんな家に1人で住むのも悪くない。

 

 バルコニーに、カラフルな女ものの下着が干してあるのを見て、いったいどんな女性が住んでいるのだろうと想像した。するといつの間にか不動産屋はキャトリ(ン)になって、僕たちは今、まるで噛み合ない会話をしている。

 

 

 

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背景

 

 レストランは満席だった。僕は知らないおじさんたちと相席になってしまった。注文した料理がなかなか来なかったので、おじさんたちの絵を描いて暇を潰した。

 

 おじさんたちの背景には、想像で山や木々や動物たちを描いた。そうするとその背景が、現実に取って代わった。僕はいつの間にか町中のレストランを離れ、木や動物やおじさんたちに周りを囲まれていた。

 

 

 

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2020年2月 5日

ラテン男

 

「昨日はありがとう。父の代わりにお礼を」とキャトリ(ン)が言った。

 

 何のことかわからない。もしかしたら、あの床で寝ていた酔っ払いのじいさん、あれがキャトリ(ン)のお父さんなのか。

 

 それでキャトリ(ン)は僕を駅まで送ってくれた。

 

 駅のホームには日焼けしたラテン系のハンサムがいて、「後のことは全部彼に任せるといいわ」

 

 ラテン男はイスタンブールから帰ってきたばかりだ。イタリア語とフランス語とドイツ語と英語が話せる。

 

「さて、どれがいい?」と訊く。

 

「英語でお願いします」と僕は言う。

 

 

 

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町のあかり

 

 前にこんな夢を見たな、と僕は思ったが、そのことは言わないでおく(もちろん)。

 

「今日のコンサートは、特別にフレンドリーな、内輪だけのコンサートなの」と君は言った。

 

「だからそれで、でもあなたは私の、ほら、特別なアレだから」「は?」「オーケーよね、まぁ行きましょう」。僕たちは君のオーガナイジング・マネージャーの運転する車に乗り込んだ。

 

 そのマネージャー、英語読みにするとキャサリン、フランスふうに読むとカトリーヌ、どっちなんだろう、といつも迷うのだが、中間を取って、僕はキャトリ(ン)、と呼ぶ。

 

 コンサート会場は、女性しか入れない修道院だった。

 

 で、男たちはこういうふうにして、ときどき気づかない間に、人生を損するのだ。素晴らしいコンサートだった。

 

 それがどういうふうに素晴らしかったのかは、書かない方がいいような気がする。書いておいた方がいいと思うことだけを書く。

 

 例えば崖の向こうに見えた、町の灯りのこと。

 

 

 

 2人で夜風に吹かれながら、「友達はたくさんいる?」「そんなにはいない」「人生うまくいってると思う?」「まぁ、まぁ」「1人で生きてきた」「そうだね」「でもときどき寂しくなる?」

 

 それには答えなかった。答え方がわからなかった。君とこういう話をすることはなかった。

 

 そうすると「ユー・アー・ノット・アローン」と英語で君は言った。

 

「見て」と君は言った。世界一美しい町。修道院の建つ崖の向こうには、世界一美しい町の灯り。あまりの美しさに、僕たちは過去も未来も見えなくなり、今手を繋ぐことさえも忘れるのだった。

 

 

 

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ファーマシー

 

 プレゼントにマフラーをもらったが、まだ礼を言っていない。

 

 自分には絶対に似合わないと思い込んでいた色だったが、その肌と髪の色にはこれが合う、と君は自信たっぷり。そしてでも当たり前のことながら結局、鏡の前で巻いてみると、意外と確かに、しっくりくるのだが。

 

 次の日の待ち合わせに、僕はそのマフラーを巻いていく。ファーマシーのMの字の前で待つ僕に、気づかないふりの僕に、やってきた君は50メートル先から手を振る。

 

「ハウ・アー・ユー、気に入ってくれたそれ?」何も答えずにいると「ファイン? ファインでしょ」と畳み掛けてくる君。まだ礼を言われてないことに、たった今気づいたようなそぶりで。可愛く怒ったようなふりで。

 

 

 

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2020年2月 4日

車道は川

 

 歩道はアスファルト。車道は特殊加工された川だった。水に浮かぶ車が走っていた。ものすごく表面張力が高いようだ。僕は好奇心で路肩を歩いてみた。

 

 

 

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広告貼り

 

 広場の噴水でコンタクトレンズを洗って、右目、左目と入れ直した。ポスターの文字を見て確認してみるも、見え方にはほとんど変化がなかった。結局何のポスターなのかわからなかった。

 

 

 

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2020年2月 3日

キス X 3

 

 君に会った。君にキスをした。1回、2回、3回。みんなに僕は紹介される。私の友達。特別に・親密な・友達。キスが3回の友達。

 

 すると1回や2回の人たちが僕を見る。

 

 

 

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青と赤の模様

 

 その店には、色とりどりのセーターやマントや織物、靴下なども売っていた。中南米ふうの柄だった。青と赤の模様が美しい。靴下はそれほど高くなかったので、1足買うことにした。クレジットカードで払おうとすると、支払いは済んでいる、金はもう受け取ったと。振り向くと君がいた。

 

「ハウ・アー・ユー、気に入ってくれた?」と。いつもの笑顔で。

 

 

 

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車椅子の大統領

 

 パレードが行く。車椅子の大統領がやってくる。警備員も大変だろう。僕は橋の向こうまで、パレードの後をついて行った。そんなわけで橋を渡るのに、何十分もかかってしまった。

 

 

 

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2020年2月 2日

人間の音楽

 

 夢夢夢夢。風が吹き水が流れた。数十年ぶりに再会した友人は、やっぱり音楽のことを訊いてきた。最近はどんなものを聴いているんだ、と。クラシックが多いかな。とにかく、人間の声が入ってないやつを聴く。そうか。でも結局、人間が演奏する、人間の音楽を聴いてるんだろう? あぁ。それでお前はついに、鳥と鈴虫の世界に行ってしまったのか。

 

 

 

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ドル箱

 

 スイスフランを使うと、ドルをお釣りで返してよこすのはなぜだろう。この町でも、ドルは余っている。国中の人々が、ドルを嫌って、処分したがっている。

 

 アメリカは、僕の憧れの国であることをやめてしまった。今、財布の中が、持っていても使えないドル紙幣で一杯になってしまった。

 

 

 

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2020年2月 1日

女の顔

 

 僕は女の顔をして通りを歩いた。誰もこの女の顔を見なかった。それが心地よかった。ありふれた女の顔だった。

 

 日本だとそういうわけにはいかない。日本で僕が女の顔をして道を歩くと、みんなが僕の顔をじろじろと見るのだ。なんで女の顔をしているんだ? と言って、女の顔ではなく、僕の顔を見るのだ。

 

 

 

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ライド・オン・タイム

 

 ビッグウェイブのテーマが流れてくる、はずだった。だが聴こえて来たのはライド・オン・タイムだった。達郎のその曲を録音した覚えはなかった。

 

 だから最後まで聴かなかったが、そのままそこにいた。

 

 友達がやって来た。僕はまだ家にいた。僕が録音した山下達郎を聴きたいと彼が言うので、テープを選んで、デッキに入れた。

 

 

 

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校歌斉唱

 

 時計の針が夜の12時を回った。僕はもう学生ではない。今日で卒業だった。ここに来ることはもうない、と感傷に浸った。

 

 最後に教室の窓を綺麗に拭いた。教室というよりは、洒落た通りに面したショールームかカフェのようなところであった。

 

 ソファには僕の友達が座っていた。いつからそこにいたのだろう? グランドピアノが置いてあった。いつから置いてあったのだろう? で、ピアノの前のスツールには、君が座っていた。

 

 断言してもいいが、さっきまでは、いなかった。

 

 君はピアノで作曲をしている。僕と僕の友達は、曲が出来上がるのを静かに待っている。卒業式に、君の伴奏で歌うのだ。

 

 

 

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2020年1月31日

OSAKA 旅の道連れ

 

 羽田からずっと日本人の団体客と一緒だった。同じ旅行者階級の仲間たち。エコノミーの狭い座席で英会話のテキストを広げている彼ら。共に旅をしている気分でいた。でも乗継ぎのどこかの空港でバラバラになってしまった。どの国へ行ったのだろう。

 

 そこから先は日本人を見てない。旅は道連れ。飛行機の中が少し寂しくなった。

 

 次に隣に座った長髪の男は、そこそこ有名な俳優らしい。驚いたスチュワーデスたちが、集団で「ビシネスにアップグレードします」と言うのを断っている。

 

 そうだここから先は、僕を女と間違えて、ミスなんとか、マダムなんとかと呼びかけてくるヨーロッパの連中のテリトリーだ。

 

 空港から乗った電車で、窓から見えた壁の落書き、OSAKA の文字、それが最後に見た日本語だった。遠く遠く遠くアルプスの山々。暗い空から、暗い雨が落ちてくる。

 

 

 

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2020年1月28日

 

 何かがいるみたいだ。ライトを、庭の奥の方に当てた。その光の中を、水着姿の若い女性が歩いて行く。彼女の手首には、銀色の蛇が巻きついていた。奥に潜んでいた誰かが、その蛇を見て何か言うのだが、蛇を殺すことを禁じます、とその女性はきっぱりと答えた。

 

 

 

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2020年1月27日

 

 頭上に、梁が組まれている。大きなドームができるみたいだ。夢で、いや現実でも、僕はこの場所を訪れたことがあった。

 

 目を閉じると、自分の体が、こことは全然違う場所にあるのがわかって、怖くなった。僕は「今ここ」にはいないのだ。本当は。

 

 

 

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2020年1月26日

赤い彗星

 

 流れ星を見た。願い事を掛けるんだった。でもとっさに僕が思いついたのは「愛してる、愛してる、愛してる‥‥」 10回続けて言うと、最後には星は少し赤くなった。

 

 

 

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花火を待つ

 

 いつもの白いエレベーターに乗り込み、屋上を目指したが、その日にエレベーターが停まったのは、いつもの屋上ではなかった。僕が着いたのは、海か大きな湖か、もっと大きな川のほとりで、そこではたくさんの人々が花火を待っているのだった。

 

 

 

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絹国1日5食の時代

 

 休暇が取れた、海外旅行だ、と言う君に、僕は絹国滞在を提案した。キヌの首都には以前行ったことがあるのだ。温暖で、物価も安く、何より食べ物が美味しい。あれは僕がまだ、1日5食食べていたころだ。僕は同じレストランを1日5回訪れ、ランチを2回、ディナーを3回食べた。最後には店はデザートとコーヒーを奢ってくれ、礼を言う僕を拝んでいた。あのレストランはまだあるだろうか?

 

 

 

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2020年1月25日

180万円

 

 その人は僕にお金をくれるという。「いくら? 2千円?」

 

 すると、やっぱりあんたは頭がおかしい、と言う。その人は1万円札の束を僕に渡して、数えてみなさい、と言う。180万円あった。

 

 

 

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メニュー

 

 口を大きく開けて歯科医の治療を受けている。その先生とは友達だった。彼は終ったらインド料理のレストランに行こう、と誘ってくる。その店のメニューを僕に渡し、どれにするか今の内に決めておけ、と言う。わけがわからない。 「なんで歯医者にインド料理のメニューがあるんだ?」「いいじゃないか、好きなんだから」

 

 

 

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2020年1月23日

マウスピース

 

 睡眠中激しく咳き込んだ僕は、明日のジョーのように口からマウスピースを吐き出した。綺麗に洗ってからまた装着しようと1階の洗面台に行ったところ、知らない女のコ2人がそこで歯を磨いていた。日本語で「あ、すみません」と言ってから、英語で「ハロ、ハワユー?」と挨拶したが、彼女たちは無言だった。

 

 

 

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菓子パンカルテット

 

 その太った有名人は菓子パンを食べながら質問に答えている。隣に座ったマネージャーが嗜めるが、言うことを聞かない。その様子を見て、僕たちは取材への興味を失った。会見場を出ようとする。すると後ろからベートーベンの弦楽四重奏曲の演奏が聞こえて来た。アーティストとそのマネージャーたちで結成したカルテットだ。

 

 

 

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2020年1月22日

居候

 

 マダムの家に居候させてもらっている。あえて「寄生」とは言わない。あくまで居候だ。

 

 家にはマダムと、マダムのハンサムな息子がいる。彼は口がきけない。僕は手話ができない。それで僕たちは、意思疎通をするのに紙に絵を描く。

 

 僕は「こんなところで何をやっているんだろう?」という絵を描いて彼に見せた。「いつまでもマダムの好意に甘えているわけにはいかない」。そのメッセージが正しく伝わったかどうかはわからない。

 

 すると返答として彼は「僕たちは友達だよ」という絵を描いて僕に見せた。「それに母も君を気に入っているんだ」

 

 彼は驚くほど絵がうまかった。どうしてそんなにうまいんだろうと思っていたら、建築家なのだという。

 

 

 

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空き部屋の幽霊

 

 僕は幽霊になって、空き部屋に住んでいる。部屋の前は大通りで、大勢の人が行き交っている。その全員が、僕の部屋の鍵を持っていて、中に入って来ようとする。

 

「出て行ってくれ、ここは僕の部屋だ」と僕は訴える。だがその声は届かない。幽霊の僕は声を持たない。

 

 ドアチェーンを掛けておけばいいだろう、と僕は気づく。しかしチェーンは簡単に引き千切られてしまう。

 

 大通りには交通整理の婦警さんが出ている。警察に訴えてみよう、と僕は決意する。声は届くかも知れないし、届かないかも知れないが。

 

 

 

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流れ星

 

 真昼の空にも星は流れている、と君は言うけど。周囲が明るすぎて、見えないだけで。確かにそうだろう。でも僕は僕に見えるものを見る。何が見えたか覚えておいて、君には僕が見たかったものを見せる。

 

 流れ星を見た。僕は生まれて初めて見たのだ。

 

 

 

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2020年1月21日

付き人 子供たち

 

 マダムの事務所で働くことになった。といっても大した仕事があるわけではない。事務所のスタッフというわけでもない。僕はマダムの個人的な付き人だった。仕事といっても、マダムのおでかけに付いていって、タクシーを呼び止めるくらいしかやることがない。

 

 それ以外の時間、僕はマダムが保護している難民の子供たちと一緒に、フランス語の絵本を読んで過ごすのだ。子供たちの1人が、僕の滅茶苦茶な発音を聞いて、お姉ちゃん、どうしてそんなにフランス語が下手なの? と訊いてきた。フランス語はともかくとして、僕は男なのだが。

 

 

 

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2020年1月20日

駐車禁止

 

 起きてみるといい天気だった。洗濯物を干そうと僕たちはベランダに出た。しかし物干しには既に大量の下着や靴下やタオルが干されていた。ものすごく大きな下着や靴下やタオルが。人間の使用するサイズとは思えなかった。

 

 しかしそれよりも驚いたのは、ベランダに車が駐車していたことだ。白のワンボックスが2台。どこからどうやって入ったのだろう。「たまに停まってることあるけど、謎よね」と君も言った(驚かないようだった)。

 

 

 

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How are you

 

 またいつもの挨拶「ハワユー」

 

 何も答えずにいると「ファイン? ファインでしょ」と畳み掛けてくる君を愛している。

 

 

 

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パニック

 

 出来心でテーブルの上にあったポカリスエット系飲料を一口飲んでしまった。水でも足しておけばわからないだろうと思っていたが、それは甘すぎる見通し。飲料と水が完全に分離してしまい、バレバレである。パニックになって水を捨て飲むヨーグルトを足したら、今度は色が違う。味もおかしくなってしまった。

 

 

 

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2020年1月18日

町を見下ろし笑う

 

 以前「殺人者」の夢で見た玉座がどこにあるのかわかった。夢で見たのと同じ階段を50段上った。

 

 町を見下ろすコンサートホール、女王の服を着た君、肩にダウンジャケットを羽織って、高齢の母親とその友人たちに囲まれている。

 

 駐車場の車で帰るという。あなたはどうするの? ホテルまで送っていこうか? タクシーを呼ぶ? いや、ホテルはすぐ近くだから、歩いて帰るよ。わかった。

 

 目で「またね」と言って、階段を下りようとすると、君は駆け寄って来て、僕の手を取った。母親の年配の友人たちを振り返り、韓国語で何か話した‥‥

 

「何て言ったの? 僕のこと?」

 

 それには答えず、「じゃまたね」と耳打ちして、君は玉座に戻った。僕も「またね(アビアントゥ)」とみんなに手を振った。

 

 すると驚いたことに、全員がフランス語でまたねと応えるのだ。これは実話だ。僕は目を丸くした‥‥君は笑う。

 

 

 

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