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2005年5月26日

実はお宝ワイセツ画像?! ドガの踊り子スナップショット(盗撮)

 そのキャリアを彫刻家としてスタートさせたモディリアーニとは逆に、ドガは晩年、視力の衰えを理由に、彫刻や、あるいはパステル画のような「扱いやすい」表現手段を使うようになった。個人的にはパステルが「扱いやすい画材」だとはとても思えないのだが、時間をかけて細部まで描き込む必要がないからだろうか、彫刻なら視力の代わりに触覚が重要な役割を果たすというわけだ。

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 これはドガが生前、公の場で発表した唯一の彫刻(を鋳造したもの)である。お得意の「踊り子」像に本物の服を着せている。オリジナルにはかつらまでかぶせていたということで、現代の「フィギュア」の感覚でつくられたこの彫刻、当時としては画期的なものだったと言えよう。

              ☆
 
 よく知られているように、ドガの絵は写真の「スナップショット」である。彼は時の流れの中にある一瞬を暗示するために、この技法を使った。

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 中心のずれた構図。

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 画面の端でわざと断ち切られた人物。

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 鑑賞者が、情景を、チラっと垣間見たかのような印象をつくりだしているのだ。
 
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 本人たちがどれだけ意識しているかは疑問だが、90年代に一世を風靡した日本の女のコ写真家たち、hiromixに代表される「写真新世紀組」のオリジナル・イメージは、実はこんなところにある。

              ☆

 ドカ‥‥本名イレール・ジェルマン・エドガー・ド・ガス、上流階級の出身である。裕福な家庭に育った彼は、セーヌ右岸の洗練された社会で過ごすことを好み、左岸地区に住む貧乏人を毛嫌いしていた。その左岸に暮らす同時代の多くの画家たちはドガを敬遠していたが、彼は、そんなボヘミアン気取りの連中の誰よりも現代に近い感覚を持ったアーティストであったのだ。
 
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 今では信じられないが、ドガの一連の「スナップショット絵画」は当時、猥褻だとして糾弾されたらしい。「覗き見」を連想させるこれらの絵は、恥ずべきと考えられたのだ。


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コメント

はじめまして。
ブログ新参者の桃組ともうします。
ドガの絵は好きです。
仕事でイラストは描いてきましたが、最近油絵を始めて、アートに興味を持つようになりました。
とても興味深い記事ばかりで為になります。
自作の絵や人形、童話を紹介しています。
ご意見など戴けたら幸いです。

投稿: 桃組工房 | 2005年5月28日 01:06

ここを読んでいて思い出したのは、映画『ローズマリーの赤ちゃん』のワンシーン。
ヒッチコックの狙い通り、映画館のお客さんが皆身体を傾けた、ドアから覗いている場面。
いまではこの程度では猥褻だと騒ぎ立てられたりしませんが、見る人の想像を掻き立てるという点では、かなり真似したい技術です。

投稿: ヤヤー | 2005年6月19日 19:54

 ふむ。

 コメントを受けて改めてこれを読み返してみて今思うのは、このタイトル! 他になんとかならなかったのかなぁ。今更直したりはしませんが。ところでヒッチコックの作品では何が一番好きですか? ぼくはみんながイイと言う「北北西〜」はあまりピンとこなくて。まぁ「鳥」以外だったら全部好きかな(鳥に関してはトラウマがあってシャレにならない(プロフィール参照))。

投稿: ぼく | 2005年6月19日 21:44

う〜ん。何かなあ。
全部観た!とは言えませんが、『サイコ』が最高!とはよく言われてますよね。
でも『裏窓』も好きだし、『ハリーの災難』も・・・。
『北北西〜』は、初めて観たときには「やられた」と思いました。
何よりヒッチコックがいまでも生きているような雰囲気が漂っているところが、
いちばん好きなのかも。
『汚名』も『白い恐怖』も、ああ!『間違えられた男』!

プロフィール見直して『ツインピークス』でまたツボにハマっています。
あの破綻したラストといったら・・・・・。

投稿: ヤヤー | 2005年6月19日 22:54

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