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2005年7月18日

英雄夢語り

「キング」、「クイーン」、そして「ヒーローズ」。使われている言葉が単純なだけに、その解釈も読み取る人の数になるのだろうか。「壁」や「銃」、そして「弾丸」‥‥これらのキーワードから、これは東西に引き裂かれたベルリンの恋人たちの歌だという説は、よく聞く。「たった一日だけ主人公になることができる」と歌われているのは、これはデビッド・ボウイの精神を病んだお兄さんのことだと言う人もいる。


  僕が王で
  君が女王だ
  奴らを打ち負かす 
  たった一日だけ
  僕たちは主人公になる 
  一日だけ

  君は泳ぐ
  イルカのように自由に
  そして時を盗み出す
  自由になる時間を一日だけ
  僕たちは物語の主人公になる
  一日中‥‥


 初めてデビッド・ボウイの名前を知ったのは80年代に入ってから。僕が「発見」したボウイは“レッツ・ダンス”のボウイだった。日和ったダンス・ナンバーを歌う死に体だった。そこから時代を遡った。評価の高かった“ジギー・スターダスト”を先ず聴き、同時代のグラム・ロックに寄り道し、“ヤング・アメリカンズ”、ジョン・レノンとのソウルフルなコラボレーションに酔いしれ‥‥終にはこの感動的なラブソングに辿り着く。僕らは一日だけ主人公になれるのだ、と歌う“ヒーローズ”を以て僕はボウイを「上がった」わけで、曲順こそ多少違え、彼をこんなふうに聴いたという人は他にも多くいるのではないか?

「音楽への情熱を失っていた」。後になって正直に語る本人の言葉を待つまでもない。デビッド・ボウイは“ヒーローズ”の時点で終わっていたのだから。

              ☆
 
 音楽誌は書く。これは第二の黄金期だと。近年のボウイ様の活躍振りを見るに、それもよくある「レコード会社の大袈裟な宣伝文句」、だけではなさそうだ。今、初めて彼の音楽に触れた若い子らが、時代を遡っていつかあの歌に辿り着いたとしても、そこでボウイを「上がる」ということはもうないだろうと思う。けど
 
d

 羨ましくはない。


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コメント

実はボウイは「Tin Machine」が一番好きなオレ。というかボウイ自身にあまり思い入れは無いのです。友人で大好きなやつがいましたが。

投稿: zak | 2005年7月18日 09:34

 吉田戦車のマンガに、こんなのがあった。

男 「久しぶりに今日は弱音でも吐くかな」
女 「みんなーっ、社長さんが弱音を吐くわよ!」
男 「‥‥もう終わりだ」
女たち 「キャー、キャーっ」「素敵ーっ」

        ☆
 
ぼく 「今日は社交辞令でも吐くかな」
Zak 「みんなーっ、ぼくさんが社交辞令を吐くぜ!」
ぼく 「ティン・マシーンはゴミだと思っていましたけど、Zakさんが気に入っているということは、それだけの何かがあるのでしょう‥‥」
みんな 「キャー、キャー、キャーっ」「素敵ーっ」
ぼく 「‥‥改めて聴いてみようと思います」
Zak 「‥‥」

投稿: ぼく | 2005年7月18日 17:35

「キャー、キャー、キャーっ」「素敵ーっ」私も聞いてみます。ところで余り話題に乗らないストーンズはいかがですか?

投稿: 桃組工房 | 2005年7月18日 18:52

「キャー、キャー、キャーっ」「素敵ーっ」
社交辞令です。
そういえば、ボブ・ディランの自伝、出ましたよね。三部作になる予定だとか。
まだ買ってもいないけど、どなたか読みました?

投稿: ヤヤー | 2005年7月18日 20:02

 R&Bって、基本のコード進行は一緒で、その上にどれだけ違うフレーズが乗せられるかですよね、ってストーンズ全く詳しくないです。社交辞令抜きで、Zak氏の守備範囲では? 
 
 ミュージシャンの自伝て、どうしてあんなにおもしろいんでしょう? 昔、マイルズや、ポール・マッカトニーの自伝を読んでそう思いました。ディランは‥‥やはりZak氏?

投稿: ぼく | 2005年7月18日 21:14

ストーンズとかディランとかビートルズとか、実は意外と基本が疎かになっているオレです。

投稿: zak | 2005年7月18日 23:19

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