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2019年8月12日

蜘蛛の糸

 

 浩宮天皇と一緒に、秘境の寺にやって来た。ピラミッドのような石段があり、それを登って天辺まで行く。ヘトヘトになっている宮内庁職員や僕を余所に、山登りで鍛えている天皇は涼しい顔をしている。

 

 その先は、高所恐怖症の僕にとっては悪夢だった。神殿のある向こう側のピラミッドまで、細い鉄骨の上を歩いて行かなければならないのだ。バランスを崩して落ちれば死んでしまうだろう。

 

 天から何本か、「蜘蛛の糸」的なロープが垂れている。それに掴まって歩けばいい。しかし昔話によるあるパターンだと、悪人が掴んだロープは切れてしまうのだ。浩宮天皇クラスの善人なら余裕だろうが、お付きの者は全滅に違いない。

 

 要は、バランスを崩さなければいい。ロープに頼り過ぎてはだめだ‥‥。下を見ないようにしよう、と思ってもついつい見てしまう。下にはいつの間にか天皇がいた。

 

 さっきまで僕たちといたのは影武者だった。浩宮天皇は安全な地上でグラス片手に女性陣と談笑していた。

 

 

 

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