« 2019年9月 | トップページ | 2019年11月 »

2019年10月31日

シロ

 

 11階の僕の部屋に来ていた女優が出て行った。寝室にいた若いカップルに何か言われたらしい。僕は慌てて後を追った。上着を着る暇もなかった。階段の手すりを滑って下りた。11階もあるこの建物にはエレベーターがない。そのおかげであっという間に追いつくことができた。

 

 女優は腕に濡れた黒い犬を抱いていた。どこのドブに落ちたのだろう。シロという名の黒犬だ。何日か前にいなくなってしまったのが、名前を呼んだら帰って来たという。今。突然。こんなところで。こんな夜中に。

 

「クロ、よかったね、クロ」「クロって呼ぶと噛まれるよ」「だって黒いじゃん」「おしっこかけられても知らないよ」

 

 女優は僕に「車の鍵をあげる」と言った。僕が家まで運転して行くことになった。彼女は免許を持ってないのだ。

 

 

 

| | コメント (0)

オレンジの皮

 

 女房と娘が食べ終わるのを待って、僕はテーブルとイスを庭に運び出した。デザートのケーキを、どうしても太陽の下で食べたかったのだ。

 

 そこでは名前も顔もない誰かが、僕にオレンジの皮の素晴らしい効用を説明してくれる。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月30日

アフリカの大猫

 

 新幹線は速度を落として走行していた。そして停車駅ではない駅に停車した。「靴を濡らさないように注意してください」と車内放送があった。するとゴーッという音がして大量の水が床上を流れて来た。

 

 水は一瞬で引いたが、足はびしょ濡れになってしまった。何が起きたのか、僕は説明を待った。しかし、騒ぎ出す乗客もいた。訴えてやるとか何とか、前の方に座った女性グループが息巻いていた。

 

 スーツを着た弁護士の男が、集団で訴訟を準備する、と言って乗客の名前と連絡先を訊いて回る。その様子を冷めた目で見ていた若い女が、僕の隣にやって来て言った。「そんなこと、どうでもいいと思わない?」

 

 僕が顎の下を撫でてやると、その女性は大猫のようにゴロゴロ喉を鳴らした。外は、いつの間にかアフリカの大地だった。確かに裁判など、どうでもよかった。

 

「ハウ・アー・ユー?」と女は言った。「アイム・ファイン・サンキュー!」と僕は答えた。僕たちはそこで列車を降り、一緒に旅をつづけることにした。

 

 

 

| | コメント (0)

老人と少年

 

「親孝行をしなさい」と言う、そのおじいさんの目には、僕は10代の若者と映るらしかった。最初何を言われているのかまったく理解できなかったが、テキトーに話を合わせている内に、そのおじいさんが僕を10代の少年だと思い込んでいるらしいことに気づき始めた。

 

「わしがあんたくらいの歳のころは、バイクやクルマに夢中だった」と言う。「今どきの若者は、ゲームなんだよな?」僕は若者ではないし、ゲームにもまったく興味はないのだが、「そうなんですよ」と答えて、おじいさんを安心させた。本当は50を過ぎていると言うわけにはいかなかった。

 

 

 

| | コメント (0)

食事の時間

 

 クラシックのピアノを聴きに来たつもりだったが、ステージに現れたのはギタリストだった。常に痰がからんでいるような喋り方をするおじさんだ。1曲弾いたあとで、「じゃあ、とりあえず食事にしようか」と言う。困ったことに食事代込みのチケットを買わなかったのは僕だけのようだ。まさか演奏の途中で食事の時間になるとは思わなかった。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月28日

白と赤のソース

 

 どっかの国の、大きなホテルの中の、広いレストランに君といた。僕たちが頼んだのはコース料理だったが、ウェイターはビュッフェのフルーツやデザートの大皿を持って来て、前菜として自由に取っていいと言った。

 

 ビュッフェの会場に来た。皿を持ってうろついていた。背の高い白人の女性が、白いソースと赤いソースを味見している。夫らしき男性に、白の方がおいしいと言うのだが、男性は赤を取った。肝心の料理はもう何も残ってなかった。

 

 

 

| | コメント (0)

白いドレス

 

 私は男から女になったばかりだった。結婚するわけではなかったが、白いドレスを着ていた。全裸の男を連れていた。彼は逆に女から男になったばかりで、男子トイレの小便器の使い方がわからないという。仕方ないのでトイレまでついて行って、やり方を教えた。そうしながらこの全裸の男がベッドに私を押し倒す場面を想像した。

 

 

 

| | コメント (0)

24 Portes の夢

 

 目の前に24の扉があった。1つを選んで開けると、中は異常に広いエレベーターのような空間で、そこにもまた3つ扉があった。その内の1つを開けた。そうすると猛吹雪だった。強風で僕は尻餅をついた。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月26日

小さな旅券の夢

 

 パスポートが半分くらいの大きさになっていた。表紙は赤ではなく白い。開いてみると、行ったことのない国のスタンプがたくさん押してある。世界地図が印刷してあるページもあり、それを指差しながら君は、次はスウェーデンに行くのよね、などと話をしている。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月25日

宇宙飛行士と待ち合わせの夢

 

 待ち合わせの時間に少し遅れて現れたのは、髪の長い男性だった。僕は彼のことを、ずっと女性だと思っていた。そう僕たちは一言も話したことがなかった。宇宙飛行士として、同じ宇宙船に乗り込む。なのにそれではいけないだろう、ということになった。

 

 宇宙船に乗り込む前に、煙草を買っておきたい、と彼は言った。出発まであと10分しかないのに。ターミナルの建物の中を、仕方なく一緒に探して歩いた。エスカレーターはすべて停止し、照明も落ちていた。

 

「あと10分で打ち上げですよ、何をやってるんですか?」警備のおじさんが僕たちに怒鳴る。

 

「実はこの人が鞄をなくしてしまったので‥‥」と髪の長い宇宙飛行士は僕を指差し言い訳した。

 

 煙草、鞄、間近に迫った宇宙船打ち上げ‥‥。もうどうでも良かった。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月24日

なんでの夢

 

 オリオン座。去年より大きなオリオン座の夢。それから小さな子供に会った。それは子供の頃の君だとすぐに気づいて、僕は君の名で呼びかけた。「なんで私の名前を知ってるの?」とその子は言った。「でも君も僕の名前を知ってるでしょ?」と僕は質問に質問で返した。

 

 

 

| | コメント (0)

いい席の夢

 

 坂を上がったところに電車が来ていたが、ホームではない普通の道端に電車は停まっていて、乗り込むのに苦労した(僕の顔の高さに車両の床はあって、ステップはない)。車内は込んではいたが、所々に空席もある。前の車両はもっと空いているのではないかと思って、僕はどんどん歩いていった。もっといい席がないか、もっともっといい席は、と探して前に前に歩いた。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月22日

膝枕の夢

 

 健康診断を受ける。耳の検査。なぜか靴を脱ぐように言われる。そして僕は女の先生の膝枕で、先生の声を聞く。

 

「耳に問題があるようね」「ありません。音楽家の友達にも褒められるくらいの耳です」「私の話も理解できないようだし」「いえ、先生はガムを噛みながらお話しされているんで、聞き取り辛いんです。それだけです」

 

 

 

| | コメント (0)

意外な才能の夢

 

 避難して来た大勢の人々。気晴らしにカラオケ大会が催される。地下の核シェルター。誰も歌う人はおらず、主にピアニストのCさん(実際に面識はない)が歌い、「大会」はCさんのカラオケ・リサイタルになってしまう。僕は1曲だけ英語の歌をデュエットしたのだが、その歌の作詞が、実はトム・クルーズと知って驚いてしまった。いろんな才能のある人だ。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月21日

放課後の絵の夢

 

 放課後の教室で絵を描くことになり、縦1m、横10mほどの白い紙を広げた。僕と、仲の良い友人と2人で描く。その友人は推薦で大学入学を決めていて暇だった。卒業までこれで間が持つだろう、と言う。一方で僕は未だに進路を決めておらず、ただぼんやりと毎日を過ごしていた。

 

 

 

| | コメント (0)

掃除機の夢

 

 2階の僕の部屋には誰か人が来ていてソファに寝転がっていた。掃除機を借りようと僕は階段で1階に下りた。ちょうど朝食の時間だったが、テーブルには誰もおらず、みんな庭に出て楽しそうにしている。白い服を着た背の高い若い女の人が、業務用の掃除機の場所を僕に教えてくれた。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月20日

野茂の夢

 

 どこかの企業の野球部のピッチング・コーチに、野茂が就任することになって、野球部の人たちはユニフォームを着て待っていたのだが、野茂がやって来たのは、19時すぎだった。

 

 野茂はグランドに出て、ちょっと手をひらひらさせただけで、帰ってしまった。

 

 

 

 そのすぐ後で連絡があった。野茂はどこかの銀行の地下の、巨大な金庫の中に閉じ込められてしまったらしい。

 

「今から扉を破壊しますから、野茂さんはできるだけ後ろに下がっていてください!」

 

 野茂救出のために、警官が2名出動した。

 

 

 

| | コメント (0)

建築家の見た夢

 

 その5階建てのビルを設計したのは、ジャズ・ミュージシャン兼建築家の男だった。そのビルには既に年老いた彼と、彼の50代の息子夫婦が暮らしていた。商業施設ではなく、プライベートな住宅である。たった3人で暮らすには、大きすぎるし広すぎる。 

 

 取材に応じていたその息子によるとそれは、「巨大デパートの中に1人で住んでいる」という夢を見た建築家が、夢を現実にしようと建てたビルなのだ。中はどうなっているのだろう?

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月19日

刀とドローンの夢

 

 ナウシカに出てくるような谷間の村で、決闘が始まった。日本の刀を持った2人の男が、戦った。

 

 勝った男は、ドローンのような1人乗りの小さなヘリコプターに乗って、谷間の空を曲芸飛行する権利を得た(実際にそうした)。

 

 

 

| | コメント (0)

遭難者の夢

 

 君と僕とで、アウトドアに来ていたが、遭難してしまった。岩場を彷徨っていると、いかにもキャンプ上級者な感じの、女性2人組と遭遇した。

 

 初心者・上級者とはいっても、お互い遭難したことには変わりないわけだが、それでもまぁ、心強いことは心強い。

 

 救助隊は余裕で明日呼ぶことにして、4人でキャンプ・ファイヤーを囲んだ。

 

 

 

 

「それでこちらの彼氏は」と僕のことを指して女は言う。「彼女以外のすべての女性が、気になってしかたないのね」

 

「そうみたい」「浮気者ね」

 

 女3人で話が盛り上がっている。ついて行けない。先に寝ることにした。

 

 

 

 朝、ヘリの音で目を覚ました。救助のヘリは、2台やって来て、女性陣と僕とで、分かれて乗ることになった。

 

 並んで飛ぶ2機。向こう側のヘリの中、アウトドア上級者の女性2人が、僕を嫉妬させようとして、君の唇にキスをするふりをした。

 

 君は笑って、僕に手を振る。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月17日

ローラースケートの夢

 

 歩いていた僕を、左後方から猛スピードで追い越して行った白いバンは、角を曲がり切れず塀に衝突して止まった。すると車内からローラースケートを履いたおじさんが、叫びながら飛び出してきて、どこかへ向かおうとするのだが、カーブを曲がり切れず、また壁にぶつかり、派手にコケる。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月16日

似た人の夢

 

 1人で電車に乗っていると放送があり、次の駅でしばらく停車するとか。その駅は日本でいちばんのマンモス大学校の近くにあって、学生の乗り降りに時間がかかるらしい。僕はその次の次で降りる。杖をついた盲人が乗り込んできたのを見て、僕と隣に座っていた若者も席を立った。盲人は結局別の人が譲った席に座ったが、僕はそのまま反対側のドアの側に立ちつづけて、外の景色を見ていた。

 

 すると突然、セーラー服の高校生が、僕の頭や体を叩いて挨拶する。「何でこんなところにいるの??」驚いて振り向いた僕の顔をじろじろ見て、彼氏と似ていたので間違えた、というのだが、謝りはしない。そのまま僕を相手に、昨夜見たテレビのバラエティ番組の話を始めた。僕はその番組に出ているタレントにも似ているのだという。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月15日

夕食の時間の夢

 

 君に連れられて入った部屋には、年配の女性が3人いた。1人はベッドで寝ていた(病気とは思えないけど)。もう2人は椅子に座っていた。挨拶もなしに入っていくのは失礼ではないかと思ったが、誰も僕たちに注意を向けなかった。 

 

 ここはフランスだと思っていたけど、女性たちが話しているのは、フランス語ではなかった。すぐに夕食の時間になった。台所に行っていた君が、みんなに料理を運んで来た。餅米でつくられたお粥のようなものと、それから野菜料理の皿だ。広い部屋のあちこちのテーブルには、サラダの皿もあった。自由に取っていいのだ。

 

 気づくとその部屋には、たくさんの人が集まってきていた。ほぼ全員が女性で、男性は僕の他に1人だけ。誰かのボーイフレンドだろう。原則男性は入れないのだ。シャワールームから出て来た女性が、裸のまま部屋を横切って行く。君は僕のテーブルにやってきて、ミニトマトをつまみながら、しばらくここに滞在しましょうと言った。

 

 

 

| | コメント (0)

そのときの気分の夢

 

 ビルの1階の管理人室のような部屋で、君は観客を集めてギターを弾いていた。満員で入れなかったので、僕は部屋の外のソファに子供と寝転び、開けられたままのドアの向こうから聞こえてくる、ギター演奏に耳を澄ませていた。

 

 壁にはポスターが貼ってあった。「ギターも弾けるんだね」と子供。「そう、何でもできるんだよ」と僕。

 

 ライブはすぐに終わった。僕たちは3人で辺りを散歩しながら話をした。

 

「気分が悪くなってきちゃった」と子供が言った。僕たちはベンチに腰掛けた。「良くなるまでここで休んでいればいいよ」と僕は言った‥‥

 

「気分が悪くなったと思ったけど違った」と子供は言った。「それは『気分が良くなった』って意味かな?」「そうかも。わかんないけど」

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月14日

Y

 

 赤いドレスの女が紹介した、ハチマキをした男は、偽物だった。ハチマキにNの文字がプリントされている、本物ならYのはずだ。僕がそう指摘すると、女は開き直って笑った。「よく気づいたわね‥‥」

 

 僕たちは逃げようとした。しかし他の参加者たちは、バタバタとその場に倒れた。「飲み物に毒を盛っておいたのよ」と女は言った。僕はアルコールが苦手で、飲まなくて助かった。

 

 毒が回ったふりをして、よろけながらその場を離れた。

 

 そして充分に距離ができたところで、僕は全速力で駆け出した。黒服の男たちが追ってくるが、もう遅い。僕は円柱形のビルの中に逃げ込み、匿ってもらうことにした。

 

 

 

| | コメント (0)

殺人者

 

 上で「今からお前を殺す」という声がした。「ここでお前を殺す」と。僕は慌てて階段を駆け上がり、君のところへ向かおうとした。

 

 しかしその白い石でできた階段を1つ上がると、僕は1つ歳を取ってしまうのだ。段は50近くあった。生きて君の元に辿り着くのは、不可能に思えた。

 

 半分上がったところで、足腰が立たなくなったが、僕は這いつくばって、何とか残りの段を上がりきった。

 

 そうすると、景色はすっかり変わっていた。僕の体の外側でも、実際に50年が流れたみたいだった。建物は柱だけになっていた。天井は崩れていた。空からは小雨が降っていた。

 

 君は玉座で、僕を見ていた。50年前の殺人者がどうなったのかは知らない。杖を頼りに僕は近くまで歩いて行った。

 

「ここはどこなんだろう?」と僕は英語で訊いた。「今はいつなんだろう?」

 

 それには答えず君は僕の腕を取った。そして僕を雨の夜の中へ導いた。君と僕にはまだどこか行くところがあるみたいだった。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月13日

クラブの水色のクッション

 

 水色のフェルト地のクッションがスピーカーになっていて、そこから流れてくる音楽は、90年代のUKロックだった。野球帽をかぶったDJが、次々と曲を繋いでいった。僕は全部の曲を知っていて、そのことを誰かに話したくなった。1つひとつの曲に、どれだけ夢中になったかを。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月12日

5/8

 

 オーケストラの指揮をすることになった。曲はベートーベン、交響曲第7番。5/8拍子を意識して、もっとリズム感上げていこう、などと団員に声をかける。僕は公演が終る前から、既に大成功した気分で、次は第5番をやりたい、などと言っている。気づくとベッドの上には、買った覚えのないクラシックのCDが何枚も投げてある。

 

 

 

| | コメント (0)

陸橋の上の満月

 

 鉄道の陸橋の上の満月、という題材で絵を描いていた。実際には月は、空のかなり低い位置に出ていたのだが。絵は現実の光景を写生したものではなかった。別の作家の作品をトレースしただけだった。僕はその陸橋を渡る列車の中で、実際の風景を見ずに描いていた。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月11日

引き金

 

 人類とアリの間で勃発した、最終戦争だった。アリはほとんど抵抗できず、敗戦に敗戦を重ねて、残り2匹になった。その最後の2匹を、皆で地下室に追いつめた。僕が抹殺しに行くことになった。

 

 その2匹は、寄り添って立ち、僕に背を向けていた。ずっと、壁の方を向いて、武器を持った僕を振り返ろうとしなかった。一言も発しなかった。地下室の中で、僕は、下がれるだけ後ろに下がろうとした。その2匹から、できる限り遠く離れて、引き金を引きたかった。

 

 

 

| | コメント (0)

カエル姫

 

 授業で当てられて、英文和訳をするのだった。1センテンスだけかと思ったら、テキスト全文やれと言われる。そこまで予習してないし、無理だと抗議したが、大体でいいと言うので、仕方なく訳し始めた。こんな話だ。

 

 

 

 トラックの助手席に座っていた。トラックは峠道を上っていく。そこに猛スピードで走って来た赤いスポーツカーが衝突した。車は大破して止まり、僕も衝撃で助手席から外に投げ出された。

 

 道端で仰向けになって目を剥いている僕を、赤い車の運転手が、心配そうに覗き込んでいる。目と目の間が、妙に広く離れた若い女だった。

 

 彼女の目と目の間は、柔らかかった。骨がないみたいに。「カエルのお姫様だ‥‥」心の中で僕は思った。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月10日

お笑い芸人 箱詰め 湖面

 

 家にお笑い芸人が招待されていて、テーブルの僕の席で夕食を食べていた。興味がないので誰だかわからないが、2人組の漫才コンビだ。僕の部屋には、彼らの大きなスーツケースが、2つ置いてあった。夕食だけではなく、泊まっていくつもりなのかも知れない。しかもかなり長く。

 

 

 長期滞在していたホテルを、チェックアウトすることになった。僕は地下の駐車場で、滞在中に自分で買った、羽毛の布団や、洋服や椅子を、明らかに小さすぎる箱に詰めようとしていた。新しい滞在先に送ってくれるよう、係の人に頼んだ。部屋にはまだ私物があるけど、全部詰めるのは無理だった。

 

 

 僕は眩しく光る湖を見ていた。月光は太陽のように明るく、湖面に降り注いでいた。僕が到着したのは、そんな夜だった。部屋からは湖が見えた。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月 9日

みるもの

 

 僕は僕に見えるものを見る。何が見えたか覚えておいて、君には僕が見たかったものを見せる。

 

 

 

| | コメント (0)

タマネギ

 

 坂道を上っていくと、駅に出るはずだった。さほど広くない道を、たくさんの人が歩いていた。

 

 飼い主と散歩中の犬がいた。飼い主の男性がちょっと立ち止まると、犬は玉葱に変身して、ピクリとも動かなくなった。

 

 僕はその玉葱の頭を撫でながら、犬だということはもちろんわかっているんで、はい、大丈夫ですよと言った。

 

 頭がおかしくなったわけではない。

 

 

 

| | コメント (0)

平野

 

 主に平野を、車で走った。というか飛んだ。そのミサイルのような白い車には翼がついていて、タイヤはなかった。前席に誰か1人、後席に君と僕で乗った。

 

 運転席は後席にあり、ほとんど自動運転のようなものなのだが、とりあえず運転手は君だ。どこに向かっているのかは知らない。どこを走っているのかも知らない。ずっとどこまでも平野だった。

 

 

 

| | コメント (0)

36万枚撮り

 

 36万枚撮りのフィルムを、やっと撮り終えた。25年間、一眼レフに入れっぱなしだったフィルム。ちゃんと写っているか心配だが、とにかく撮り終えた。年間1万枚以上撮影した計算になる。何を撮ったのか、もう覚えていない。巻き取ったフィルムを早く現像して見てみたい。

 

 それで早速「8階」のセブンイレブンにフィルムを持って行ったのだが、そこでは現像もプリントもやっていないという。ローソンかファミマに行けばいいのか。けどせっかく「8階」まで来たのだからと、僕は展望テラスに出てみた。

 

 展望テラスでは父親に連れられた男の子が、まさに目を丸くしていた。相変わらずの絶景だった。周囲には何もなく、緑の草原が地平線まで広がっているのが見えた。ここに来ると、地球は円いのだということが実感できる。そこが好きなのだ。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月 8日

ベッド3台

 

 僕と、女房と、娘の3人で、暗くした寝室に、手を繋いで入った。娘への、サプライズのプレゼントを、ベッドの上に用意しておいたのだ。その広い寝室には、ダブルのベッドが3台入れてあった。キャーキャー言いながら手探りで、ベッドの上のプレゼントを探した。

 

 

 

 脱ぎ散らかした僕の靴下に穴が開いているのを見つけた女房が、これはもう捨てなさいと呆れ顔で言う。

 

 

 

| | コメント (0)

占い師

 

 朝、2階の隣の部屋で、ギリシャ神話の女神をイメージした(と思われる)衣装のおばさんの占い師が5人ほど、輪になって手を繋いでいるのを見た。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月 7日

 

 川に対して、ずいぶん大袈裟な橋だった。小川にSFのゴールデンゲート・ブリッジが架かっている感じ。川岸を散歩するのも良かったが、向こう岸に何があるのか、見てみたくて僕はその大仰な橋を渡った。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月 6日

ミルクティー

 

 机の上に詩集があった。毎日少しずつ読んでいた。文字が大きい。机にはクソ甘いミルクティーもあって、それも毎日少しずつ飲んでいた(今日で飲みきれるだろう)。

 

 部屋に君がやって来て、夕食の時間だと告げた。僕のミルクティーを見て、食事前にそんなものを飲んでいると太ると言った。そのとおりだ。だから何日かに分けて少しずつ飲んでいたのだが、それは黙っていた。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月 5日

6月の花嫁

 

 30歳くらい若返って僕は夏のアザラシのように太った。玄関の前の床でアザラシのように寝そべり、アザラシの君と将来の話をしている。君を喜ばせようとして6月に結婚しようと言うのだが、君はジューンブライドを知らない。

 

 すると少し離れたところに寝そべっていたもう1頭の若いアザラシが、「6月の花嫁は特別に幸せになれるって言い伝えられてるのさ」と僕たちに教えてくれた。

 

 

 

| | コメント (0)

白メダル

 

 スタジアムでサッカーの試合を観戦していた。ドイツ対イタリア。ドイツのチームには日本人が1人、そしてイタリアチームには日本人が2人もいた。試合中日本人選手たちは観客席の僕のところに、次々と割れたメダルを見せにやって来た。割れた白いプラスチックのメダルを。僕がそれを持っているべきなのだと言う。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月 4日

望遠レンズ

 

 小学生の頃、友達に一眼レフを持ってる子がいた。その子は(女の子だ)そのカメラに望遠レンズを付けて、僕の家を覗いていた。林に隠れて、僕の家をずっと。

 

 僕たちは暗くなるまで待ったが、家人は帰って来なかった。 その子はグレーの短いスカートを穿いて体育座りをしている。スカートの中が見えそうで見えない。その子は僕に言った。あんたの家の人、帰って来ないね。それで僕はその子の家に行って、夕食をごちそうになった。

 

 

 

| | コメント (0)

午前4時

 

 明日朝は6時に起きなければならないのに、時計を見ると午前4時を回っていて焦った。僕は8階の資料庫で調べものをしていたのだが、取り組んでいた問題は、結局解決しなかった。けどいい。帰って少しでも寝ようと思う。エレベーターは動いていなかったので、コンクリートの階段を下りて1階まで行った。1階のコンビニのレジの人に声をかけて(お疲れさま、まだいたんですか)、僕はそのビルを出た。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月 3日

脱色 ダブルで

 

 店で美容師の友人の仕事が終るのを待っていたら、閉店間際になって予定外の客が入って来た。生意気そうなガキで、金髪にしてくれと言う。態度が悪い。僕が脱色してやることにした。

 

 シングルかダブルかと訊くと、ダブルと答えるので、強烈な匂いの薬品で洗面台を満たして、そこにその客の頭を突っ込み、20分ほどそのままでいるように告げた。

 

 

 

| | コメント (0)

観覧車

 

 地方の、小さな空港だった。ほとんど人はおらず、着陸から僅か20分で入国ゲートを抜けた。その足で遊園地に行き、観覧車で夜景を眺めよう、と僕たちは計画していたのだが、まだ明るい。先にホテルにチェック・インした方がいいだろう。三日月型の階段を下りて行った。僕の靴は左足だけ踵が高く、フワフワとしていて歩き辛かった。

 

 

 

| | コメント (0)

2019年10月 2日

靴 反省 ここはどこ 風呂

 

 便器と間違えて、靴の中に用を足してしまった。なぜ間違えたんだろう、まだ新品のコンバースだ。

 

 捨てるのはもったいないので、風呂場で洗うことにした。

 

 すると男性2人が通りがかって、ガラス戸の向こうから、「ここにお1人でお住まいですか‥‥?」

 

「いえ、2人で暮らしてます」と答えたけど、誰と住んでいるのか、僕は思い出せない。そもそも僕は、ここに住んでいるのか?

 

 やっと洗い終えた靴を手に持ち、僕は湯に浸かる。老婆とその孫娘が、バスタブのすぐ脇に立ち、そんな僕の様子を眺めていた。何か言いたげだ。

 

 

 

| | コメント (0)

« 2019年9月 | トップページ | 2019年11月 »