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2020年1月31日

OSAKA 旅の道連れ

 

 羽田からずっと日本人の団体客と一緒だった。同じ旅行者階級の仲間たち。エコノミーの狭い座席で英会話のテキストを広げている彼ら。共に旅をしている気分でいた。でも乗継ぎのどこかの空港でバラバラになってしまった。どの国へ行ったのだろう。

 

 そこから先は日本人を見てない。旅は道連れ。飛行機の中が少し寂しくなった。

 

 次に隣に座った長髪の男は、そこそこ有名な俳優らしい。驚いたスチュワーデスたちが、集団で「ビシネスにアップグレードします」と言うのを断っている。

 

 そうだここから先は、僕を女と間違えて、ミスなんとか、マダムなんとかと呼びかけてくるヨーロッパの連中のテリトリーだ。

 

 空港から乗った電車で、窓から見えた壁の落書き、OSAKA の文字、それが最後に見た日本語だった。遠く遠く遠くアルプスの山々。暗い空から、暗い雨が落ちてくる。

 

 

 

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2020年1月28日

 

 何かがいるみたいだ。ライトを、庭の奥の方に当てた。その光の中を、水着姿の若い女性が歩いて行く。彼女の手首には、銀色の蛇が巻きついていた。奥に潜んでいた誰かが、その蛇を見て何か言うのだが、蛇を殺すことを禁じます、とその女性はきっぱりと答えた。

 

 

 

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2020年1月27日

 

 頭上に、梁が組まれている。大きなドームができるみたいだ。夢で、いや現実でも、僕はこの場所を訪れたことがあった。

 

 目を閉じると、自分の体が、こことは全然違う場所にあるのがわかって、怖くなった。僕は「今ここ」にはいないのだ。本当は。

 

 

 

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2020年1月26日

赤い彗星

 

 流れ星を見た。願い事を掛けるんだった。でもとっさに僕が思いついたのは「愛してる、愛してる、愛してる‥‥」 10回続けて言うと、最後には星は少し赤くなった。

 

 

 

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花火を待つ

 

 いつもの白いエレベーターに乗り込み、屋上を目指したが、その日にエレベーターが停まったのは、いつもの屋上ではなかった。僕が着いたのは、海か大きな湖か、もっと大きな川のほとりで、そこではたくさんの人々が花火を待っているのだった。

 

 

 

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絹国1日5食の時代

 

 休暇が取れた、海外旅行だ、と言う君に、僕は絹国滞在を提案した。キヌの首都には以前行ったことがあるのだ。温暖で、物価も安く、何より食べ物が美味しい。あれは僕がまだ、1日5食食べていたころだ。僕は同じレストランを1日5回訪れ、ランチを2回、ディナーを3回食べた。最後には店はデザートとコーヒーを奢ってくれ、礼を言う僕を拝んでいた。あのレストランはまだあるだろうか?

 

 

 

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2020年1月25日

180万円

 

 その人は僕にお金をくれるという。「いくら? 2千円?」

 

 すると、やっぱりあんたは頭がおかしい、と言う。その人は1万円札の束を僕に渡して、数えてみなさい、と言う。180万円あった。

 

 

 

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メニュー

 

 口を大きく開けて歯科医の治療を受けている。その先生とは友達だった。彼は終ったらインド料理のレストランに行こう、と誘ってくる。その店のメニューを僕に渡し、どれにするか今の内に決めておけ、と言う。わけがわからない。 「なんで歯医者にインド料理のメニューがあるんだ?」「いいじゃないか、好きなんだから」

 

 

 

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2020年1月23日

マウスピース

 

 睡眠中激しく咳き込んだ僕は、明日のジョーのように口からマウスピースを吐き出した。綺麗に洗ってからまた装着しようと1階の洗面台に行ったところ、知らない女のコ2人がそこで歯を磨いていた。日本語で「あ、すみません」と言ってから、英語で「ハロ、ハワユー?」と挨拶したが、彼女たちは無言だった。

 

 

 

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菓子パンカルテット

 

 その太った有名人は菓子パンを食べながら質問に答えている。隣に座ったマネージャーが嗜めるが、言うことを聞かない。その様子を見て、僕たちは取材への興味を失った。会見場を出ようとする。すると後ろからベートーベンの弦楽四重奏曲の演奏が聞こえて来た。アーティストとそのマネージャーたちで結成したカルテットだ。

 

 

 

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2020年1月22日

居候

 

 マダムの家に居候させてもらっている。あえて「寄生」とは言わない。あくまで居候だ。

 

 家にはマダムと、マダムのハンサムな息子がいる。彼は口がきけない。僕は手話ができない。それで僕たちは、意思疎通をするのに紙に絵を描く。

 

 僕は「こんなところで何をやっているんだろう?」という絵を描いて彼に見せた。「いつまでもマダムの好意に甘えているわけにはいかない」。そのメッセージが正しく伝わったかどうかはわからない。

 

 すると返答として彼は「僕たちは友達だよ」という絵を描いて僕に見せた。「それに母も君を気に入っているんだ」

 

 彼は驚くほど絵がうまかった。どうしてそんなにうまいんだろうと思っていたら、建築家なのだという。

 

 

 

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空き部屋の幽霊

 

 僕は幽霊になって、空き部屋に住んでいる。部屋の前は大通りで、大勢の人が行き交っている。その全員が、僕の部屋の鍵を持っていて、中に入って来ようとする。

 

「出て行ってくれ、ここは僕の部屋だ」と僕は訴える。だがその声は届かない。幽霊の僕は声を持たない。

 

 ドアチェーンを掛けておけばいいだろう、と僕は気づく。しかしチェーンは簡単に引き千切られてしまう。

 

 大通りには交通整理の婦警さんが出ている。警察に訴えてみよう、と僕は決意する。声は届くかも知れないし、届かないかも知れないが。

 

 

 

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流れ星

 

 真昼の空にも星は流れている、と君は言うけど。周囲が明るすぎて、見えないだけで。確かにそうだろう。でも僕は僕に見えるものを見る。何が見えたか覚えておいて、君には僕が見たかったものを見せる。

 

 流れ星を見た。僕は生まれて初めて見たのだ。

 

 

 

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2020年1月21日

付き人 子供たち

 

 マダムの事務所で働くことになった。といっても大した仕事があるわけではない。事務所のスタッフというわけでもない。僕はマダムの個人的な付き人だった。仕事といっても、マダムのおでかけに付いていって、タクシーを呼び止めるくらいしかやることがない。

 

 それ以外の時間、僕はマダムが保護している難民の子供たちと一緒に、フランス語の絵本を読んで過ごすのだ。子供たちの1人が、僕の滅茶苦茶な発音を聞いて、お姉ちゃん、どうしてそんなにフランス語が下手なの? と訊いてきた。フランス語はともかくとして、僕は男なのだが。

 

 

 

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2020年1月20日

駐車禁止

 

 起きてみるといい天気だった。洗濯物を干そうと僕たちはベランダに出た。しかし物干しには既に大量の下着や靴下やタオルが干されていた。ものすごく大きな下着や靴下やタオルが。人間の使用するサイズとは思えなかった。

 

 しかしそれよりも驚いたのは、ベランダに車が駐車していたことだ。白のワンボックスが2台。どこからどうやって入ったのだろう。「たまに停まってることあるけど、謎よね」と君も言った(驚かないようだった)。

 

 

 

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How are you

 

 またいつもの挨拶「ハワユー」

 

 何も答えずにいると「ファイン? ファインでしょ」と畳み掛けてくる君を愛している。

 

 

 

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パニック

 

 出来心でテーブルの上にあったポカリスエット系飲料を一口飲んでしまった。水でも足しておけばわからないだろうと思っていたが、それは甘すぎる見通し。飲料と水が完全に分離してしまい、バレバレである。パニックになって水を捨て飲むヨーグルトを足したら、今度は色が違う。味もおかしくなってしまった。

 

 

 

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2020年1月18日

町を見下ろし笑う

 

 以前「殺人者」の夢で見た玉座がどこにあるのかわかった。夢で見たのと同じ階段を50段上った。

 

 町を見下ろすコンサートホール、女王の服を着た君、肩にダウンジャケットを羽織って、高齢の母親とその友人たちに囲まれている。

 

 駐車場の車で帰るという。あなたはどうするの? ホテルまで送っていこうか? タクシーを呼ぶ? いや、ホテルはすぐ近くだから、歩いて帰るよ。わかった。

 

 目で「またね」と言って、階段を下りようとすると、君は駆け寄って来て、僕の手を取った。母親の年配の友人たちを振り返り、韓国語で何か話した‥‥

 

「何て言ったの? 僕のこと?」

 

 それには答えず、「じゃまたね」と耳打ちして、君は玉座に戻った。僕も「またね(アビアントゥ)」とみんなに手を振った。

 

 すると驚いたことに、全員がフランス語でまたねと応えるのだ。これは実話だ。僕は目を丸くした‥‥君は笑う。

 

 

 

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2020年1月16日

ジャズ・フェスティバル

 

 広い庭の奥に僕の家はあった。庭は数日前の夢で見た児童公園のようだった。異国風の滑り台とブランコがライトアップされている。もう何日も家には帰っていない。その日もライトアップされた庭を横目で見ながら僕は自分の家を通り過ぎた。ピアノの練習をしにスタジオに行かなければならなかったのだ。

 

 それから何日か過ぎ久しぶりに帰ってみると、僕の家と庭はジャズ・フェスティバルの会場になっていた。ステージの周りに、すり鉢状に客席が積み上げられていて、ほぼ満席である。テレビカメラの中継まで入っていた。カメラを覗いてみると、そこに映っていたのは、ステージでジャズを弾く自分の姿。あんな曲を練習したことはいちどもなく、どうして弾けるのか謎だった。

 

 

 

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ゴミ回収

 

 ブルドックと人間が合体したような生物が、空のペットボトルと空き缶を使った斬新な嫌がらせを僕にしてくる。僕も空のペットボトルと空き缶を集めて仕返しをしようとするのだが、難しくてなかなか上手くいかない。それをどうやっても嫌がらせにはならないのだ。ホームレスかゴミ収集人のように、ただペットボトルと缶を回収しているだけになってしまう。嫌がらせとは真逆の社会貢献になってしまうのだ。

 

 

 

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2020年1月14日

政治家

 

 政治家の付き人をしていた。していたというか、その日に始めたばかりで、具体的に何をすればいいのかわからず戸惑っていた。政治家の後に付いて事務所に戻ってきたのは真夜中の五分前だったが、そこではたくさんの人が忙しそうに残業をしている。政治家先生は奥の部屋に直行して寛いでいるご様子。事務所内にはまだ僕の席というものはなかった。

 

 

 

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公園

 

 住宅団地の、同じ街区に住む3人の女子大生と知り合った。

 

 髪が長い。それ以外の特徴はない。極めて普通っぽい。

 

 休日はどう過ごすの? と訊いてみた。「1人で 公園に行く」

 

 公園って、近所の? あの狭い公園に? 1人で?「そう」

 

 3人とも、近所の児童公園が大好きだと口を揃えた。

 

 

 

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2020年1月13日

障害者

 

 ボランティアの人と一緒に、障害者手帳を貰いに行く。気づいてないが、僕には障害があるらしかった。たぶん頭がおかしくなったのだろう。ぼんやりして、喋ったり考えたりすることが難しい。それともそれは、薬の影響だろうか。僕は寝ぼけているみたいだ。

 

 ボランティアの人が、障害者手帳の使い方を説明してくれる。「満席のカフェでも、手帳を見せれば席を譲ってもらえるの」。僕が書いたという作文を、誰かが持って来た。「ボランティアのみなさん、いつもありがとう」という内容だが、そんな文章を書いた覚えはない。

 

 僕は少し腹が立ってきた。悔しい。怒りたい。でも怒れない。薬のせいで、強い感情を持つことができない。

 

 

 

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共演

 

 僕の子たち、正妻が産んだ息子と、愛人に産ませた娘が、成長して俳優になり、映画で共演する頃には、僕はもう死んでいた。

 

 笑えない話だったが、笑うやつもいた。

 

 

 

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2020年1月12日

酔っ払い

 

 本当に楽しいときは、コカコーラで酔ったりする。

 

 もっと楽しいときには、息を吸って吐いてるだけで、‥‥空気に酔ってしまう。

 

 コンサートが終わり、楽屋の扉のすぐ外で、ステージ衣装のままの君と、話をしていたら、そんなふうになってしまった。

 

 いつものように、フランス語と、英語と、韓国語をごっちゃにして話をしていたら、自分が何を聞いて、何を答えているのか、全然わからなくなってしまった。

 

 まったくいつものことなのだが、ただその夜に関しては、僕がいつも以上に唐突に使用言語を切り替えるので、君まで混乱してしまったようだ。

 

 何が可笑しかったのか、お互い、何も可笑しなことは言ってないのに、すべてが可笑しくてたまらなくなり、笑いが止まらなくなった。

 

「ヤバい、もう戻らなきゃ」と2人同時に言う、笑いを堪えながら、僕たちはキスをする、

 

 そのことが可笑しくて、さらに大きな声で笑った。

 

 

 

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オリビアをききながら

 

 引きこもっていたはずの友人が僕をカラオケに誘った。引きこもるのはもうやめたのだろうか。車で迎えに来るというが、いつの間に免許を取ったのだろう。カラオケも苦手なはずだったが?

 

 オリビア・ニュートン・ジョンが「アイ・キャント・ストップ」と歌っている歌が聴きたくて、その歌を伴奏に流しながら、飲み物を飲んで、話をする。彼は「それはオリビアの曲ではない」と言い張った。「こんなのは聴いたことがない」と。

 

 別に誰でもいい。オリビアじゃなくてもいい。特に歌いたい歌があるわけでもない。だからどうでも良かったし、それで良かったのだが。

 

 

 

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2020年1月10日

催眠術

 

 僕と目が合うと、人は寝てしまう。小さな子供だと、数秒かからない。大人でも、1分、目を合わせたままだと、だめなようだ。迷惑になるので、人と話すとき、僕は俯いて、自分の靴を見ていた。磨いた革靴に、自分の顔が映っていた。

 

 

 

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マーラーの5番

 

 開店前の居酒屋で、マーラーを聴く集まりがあった。クラシック同好会の企画だ。僕は同好会のメンバーではないのだが、そのマーラーの回だけ参加していた。会員である友人に招待され、特別に参加資格をもらったのだ。

 

 約束の時間の5分前に着いたのに、メンバーはまだ誰も来ていないようで、僕は勝手に席に着く。すると居酒屋のマスターから、注意を受けた。そこは誰々さんの席だよ、と。

 

 

 

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掃除機

 

 象の鼻の先にプロペラが付いたような機械。それはトイレ専用の掃除機だというが、掃除機には見えない。使い方もよくわからない。たぶん業務用だろう。下水管の奥まで掃除するのだろう。

 

 

 

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2020年1月 9日

名言愛好会

 

 メンバーの1人が持ち寄った「愛しているから、放っておけない。放っておけないから、愛している」という名言を皆で鑑賞している。男女7人の弁護士で構成された、名言愛好会だった。温室の中の丸いテーブルを囲んでお茶している。

 

 

 

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松本たち

 

 トニー松本のような小男が、ダンプ松本のような大女たちと、船で旅をしている。凶暴な松本たちは、貧相な松本を嫌っていて、ある日彼を海に投げ捨てる。彼は泳げない。

 

 溺れ死んでしまうだろう。

 

 僕は航海士の男と一緒にいた。彼はものすごく目がいい。それで遥か後方、波間で浮き沈みしているトニーを見つけた。助けに行こう! 僕たちは救命ボートで漕ぎ出した。

 

 緑色の海には油が浮いていて、その上を歩くことができた。表面張力が高い。ボートなんか要らない。僕たちは歩いてトニーのところまで行った。トニーも元気にしていて、助けに来た僕たちに、もう凶暴な松本たちの元には戻りたくない、と訴えた。

 

 視力のいい航海士と僕とトニーは、そのまま海の上を歩いて行き、辿り着いた島で野人と暮らすことにした。

 

 

 

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2020年1月 8日

朝日

 

 なぜか黒い革靴が初日の出的な朝日を浴びて光り輝いている。朝日なんかないのに。靴なんかないのに。

 

 

 

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小冊子 ロビー トイレ 生意気な口をきく子供

 

 コンサートの前に変な催しがあった。君に小冊子を3冊渡された。読んで意見を紙に書くのだそうだ。仏語や英語で書くのは無理だと答えた。日本語でも構わない? 構わない。あとで余裕のあるときに訳してくれればいい。

 

 それで細かい字で紙をびっしりと埋めたのだが、他の人の回答を見ると、おもしろかった、とても興味深い、くらいの感想しか書いていないのはどういうわけだ?

 

 まぁいい。感想文の提出を終えて、僕はロビーに出た。トイレに行きたかった。ロビーには信じられないことに日本人がいて、日本語で化粧室の案内をしてくれた‥‥

 

 トイレの鏡に自分が映った。鏡の中の僕は、パーカーのフードを目深に被っている。そんなテロリストみたいな格好でここに来た覚えはないのに。

 

 トイレから出たところで、カートに乗った子供とぶつかった。カートの前輪部分が曲がってしまった、とその子は僕に文句を言う。

 

 

 

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2020年1月 7日

ドラミング

 

 みんなで机を手のひらでリズミカルにバンバン叩いて演奏する、そういう集まりだった。どういう仕掛けがあるのか知らないが、そのまま叩きつづけると、机自体もボールのように上下に跳ね始めた。

 

 

 

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最後の買い物

 

 空港のテレビジョンで、僕は世界大戦の開始と終了を知った。中東を経由して日本へ向かう帰りの飛行機が、30分遅延し、1時間遅延し、5時間遅延した末に、結局欠航になった。その5時間の間に、日本という国はなくなってしまったらしい。寝て起きたら、国が消えていた、という人もいるのだろう。

 

 電車に乗って、君の住む町へ引き返す。クレジットカードが使える内に、急いで行った方がいいだろう。お腹は減ってなかったけど、チーズとパンを買って、君のためには、チョコと花を買った。一瞬にして世界の半分が消えた、終わりの日、この最後の買い物が、君に贈る花束だったことは、声を大に自慢していいことのように思えた。

 

 

 

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柄杓で水汲み

 

 トイレには大きな窓があった。その窓の向こうは夏草の生い茂る平野だった。窓を大きく開けても通る人はいないと思っていた。思ってはいたけど最悪のタイミングで人は来た。柄杓を持ったおばさんが水を汲みにやって来たのである。

 

 

 

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野球放送

 

 僕は野球の実況を聞きながら食器を洗い、今日は何をするつもりだったのか、必死に思い出そうとしている。また寝過ごしてしまった。また1日を無駄にしてしまった。いったい何度目の「再度」なのか。すでに寝起きから投げやりな気持ちでいっぱいで。

 

 ノロノロと布団から這い出し、居間に顔を出してみる。友達が勝手に上がり込んでテレビで野球を見ていた。台所には洗いものが溜まっていた。勝手に何か料理して食べたのだろう。

 

 

 

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2020年1月 6日

私がまだ男だった頃

 

 私は女になっていて、背の高い男と結婚していた。ある日その夫が浮気している現場を押さえたのだが、私にはまだ男だったときの記憶も残っていたので、気分は複雑だった。

 

 夫の浮気相手は、ぽっちゃり系の若い女性で、私に見られているのに、裸の胸を隠そうともせず、余裕の笑みを浮かべていた。男だった頃の、私好みの身体だった。

 

 

 

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約束の地

 

 自転車で旅をしている内に、僕たちはローマに辿り着いた。実際のローマではなく、自らローマを名乗っている、ローマということになっている町で、それはいわば我らの、お約束のローマだ。

 

 そのローマ風の壁が、ローマ風の広場が、苔生した約束の地が、すべて水没しかかっているのを、僕たちは目にした。

 

 

 

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「企業」「家庭」「ななみ」

 

 どうしてもJRがいいなら、隣の2番ホームで待つといい。「企業」「家庭」「ななみ」といった奇妙な駅名が並ぶ路線図を見せながら、僕は巨人のような駅員さんに、動物園へ行くには何番ホームで乗り換えればいいか質問していたのだが、意外にもその巨人は、都電で行くことを薦めた。間違って空港シャトルに乗らないようにね。

 

 お礼を言って僕は、階段を上がった。

 

 

 

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2020年1月 5日

働きアリ

 

 アリの着ぐるみを着てプラカードを持った集団が、向こう岸を行進していた。デモ行進なのだろう。本物の働きアリに似せるために(?)全員ガニマタで歩いているのが面白かった。大人も、子供も、若い女性もみんな。

 

 

 

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2020年1月 4日

蒸発

 

 朝食にフライパンで卵を焼いていたのだが、加熱しすぎて蒸発してしまった。ほんのちょっと目を離しただけなのに、その間に卵は蒸気となって消えてしまった。信じられない気持ちでいっぱいだ。

 

 しかたなく代わりにパスタを茹で始めた。少しくらい蒸発してもいいように多めに茹でたのだが、蒸発などするわけない。結果1人では食べ切れない量になってしまった。

 

 

 

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ネタ切れ

 

 見たことのないお笑い芸人が炊飯器をネタにしたギャグをやっているが全然おもしろくない。

 

 

 

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2020年1月 2日

2020年初夢(その6、コンクール編)

 

 ピアノのコンクールだった。1日かけて予選が終った。夜も遅いので、全員が会場に泊まり込む。

 

 食堂のテーブルの上や、床に直接布団を敷いて寝ろ、ということらしい。寝具を探してあちこちの部屋のドアを開けてまわった。

 

 そのときに入った部屋で、僕は偶然、採点を見てしまった。本選に残ったのは8人。やはり、あの中国人の女のコが本命だ。

 

 

 

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2020年初夢(その5、家庭教師の男編)

 

 部屋の木のドアが壊れ、枠から外れてしまった。プライバシーが保てなくなるのは、困る。自分で修理しようとしたが、無理だった。入り口はとりあえずボール紙で目隠しして、人を呼んだ。だがやって来たのは、家庭教師の男だった。

 

 

 

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2020年初夢(その4、ボールペン追跡編)

 

 胸ポケットから、ボールペンを落とした。ペンは、跳ねながら転がっていった。僕はそれを、どこまでも追いかけた。結局掴まえることはできず、見失ってしまった。そして顔を上げると、夢から醒めた。辺りを見て、

 

 驚いた。僕が目覚めたのは、全然知らない場所だった。手にボールペンを持ち、今見たばかりの夢をメモしている。その字を読み返そうとすると、すべて消えてしまった。文字以外のものまで、全部。

 

 

 

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2020年初夢(その3、イマジン編)

 

 目を閉じてイマジンすると、その人は現実になった。僕のイマジンはずいぶんと雑なイマジンだったので、その女の人も何だか雑だった。大柄で、表情に乏しかった。床に座ったまま、立ち上がろうともしなかった。こんなことなら、もっと丁寧にイマジンすれば良かった。抱いてみても、少し乱暴な言葉をかけても、彼女はその投げやりな表情を変えなかった。

 

 

 

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2020年初夢(その2、順番待ち編)

 

 僕は小さな男の子だった。とすると目の前にいる若い女性は母親だろうか。女性は2人いた。髪が長い方と短い方、どちらが僕の母親なのだろうか。2人は女同士でキスをしていた。僕はおとなしく順番を待っていた。キスの順番を待っていた。次に僕にキスしてくれる女性が、きっと僕の母親だろう。

 

 

 

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2020年初夢(その1、広場編)

 

 広場観は人それぞれだろう。「広場」と聞いて、どのくらいの広さの場所を思い浮かべるのかは、人によって違うと思う。そして僕のいう「広場」は、世界の誰の広場よりも広い。カルロス・ゴーンの広場より広い。トランプ大統領の広場よりも広い。絶対の自信がある。そんな広場で女房と娘と一緒だった。娘はまだ、小さく、僕たちの側を離れようとしない。女の子って、こんなものなのだろうか。好きなだけ走り回って、ときに転んだりすればいいのに。

 

 

 

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