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2020年2月14日

光る花嫁

 

「いい男」の条件、それは何かというと、女友達が最高にいい女であることではないだろうか。「いい女」の女友達がいること。そう思って彼女とは結婚しなかった。恋人にもならず友達としてつき合ってきた。だが夢で僕はその女性と結婚することになったようだ。

 

 結婚式の会場は暑かった。男たちの何人かは額に汗をかいている。僕は窓を開け風を入れた。新婦の到着は遅れると連絡があった。ぎりぎりまで実家のリンゴ農家の収穫を手伝っているらしい。

 

 現れた。新婦はほぼ白に近い水色のドレスを着ている。長い髪はアップにせず下ろしている。あまりに美しかったので女たちは嫉妬して、絶対に整形していると陰口を叩いた。輝くばかりの美しさ。本当に発光しているのではないかと思われた。暗い部屋に置けば光るのではないか。

 

 額に血の滲んだ絆創膏を貼っている。「どうしたの?」「収穫のときにぶつけちゃったの」と答えた。

 

「実家は貧乏で、私は学校にも行かず働いていた。恋愛する暇もなかった。あなたとの間にも恋愛感情なんてなかったわ。昨日まで友達だったのが、でもいきなり今日結婚することになった」

 

「ここはどこ? この綺麗なドレスを着た私は誰? あなたはなんで私と結婚しようとしているの? キスもしたことないのに」。僕はそれには答えなかった。

 

 僕は彼女の額の絆創膏をそっと剥がしてみた。そして、おでこにキスするのは傷の状態を確かめるためだと言った。

 

 

 

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