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2020年5月31日

背中の子                                                                  

 

 僕は背中に女の子をおぶっていると思っていたが、それは思い込みだったのかも知れない。僕がおぶっていたのは、おばあさんだったのかも知れない。そう仮定すると、辻褄が合うことがいくつかある。

 

 小さな女の子が、大人用の自転車に乗って家に帰ろうとしていた。あれではペダルに足が届かず、漕げないだろう。見かねて僕は、女の子をおぶって、家まで送っていくことにした。自転車に跨がり、女の子の指示通りに進んだ。

 

 途中、デパートのような商業施設に入った。女の子は、その施設内の、児童図書館へ行くように言う。図書館の中でも、僕たちは自転車に乗ったままだ。

 

 図書館に入った頃から、背中の子は、突然何も言わなくなった。僕の首にしがみついて、動かなくなった。床で絵本を読んでいた白人の子供たちが、何か言いたげな目で、僕たちを見上げる。でも僕の背中の子を見ると、結局何も言わず、道を空けてくれるのだった。

 

 

 

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