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2020年5月13日

黒い僕                                                                  

 

 そのアイドルのコが、見つめる、瞳に映った僕は、若い黒人だった。小柄で、痩せていて、少し、怯えているようにも見えた。余りにも、若すぎるせいだろうか、そう見えるのは。

 

「帰るの? 待って、家まで送って行く」。そのコは、黒い僕に言った。

 

 そのコの家の玄関先には、花束を抱えた男が群がっている。中でも、ひときわ背が高く、ハンサムな白人が、僕を見た。「約束してるんだ」と僕は言った。

 

 彼は無言だった。しかしその表情は、とても豊かだ。お前のような、貧乏な黒人が、彼女とつき合えるわけがないだろう、という目で、僕を見るのだ。

 

 

 

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