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2020年6月19日

インフレ                                                                  

 

 僕は「親友」ということになっている眼鏡の優男のポケットに、100ユーロ札の束を幾つも突っ込んで、「これで電気代とガス代を払って、食い物を買ってこい」と告げた。「お前を信用している」「しかし戻ってきて釣りが1セントでも合わなかったら、窃盗で警察に突き出す」

 

 ここはアッシュレムを改築した、倉庫のように広いワンルーム・マンション。

 

 僕は自分でも100ユーロのお札を何束か持ち、家賃の支払いに向かった。駅ナカにあるATMは故障しているようだった。仕方なく、ちょっと歩いたところにある銀行の支店に向かったが、そこも閉鎖している。ここのところ、いつもだ。どこもかしこも。

 

 もういちど駅に行った。よく見てみると、駅の機能そのものが停止しているようだった。それでも列車は運行している。どこか別の町に行こう、と思った。家賃と光熱費は踏み倒して。別の国に行くのだ。僕は機能を停止したままの自動券売機の列に並んだ。発券はもうじき再開されるという。

 

 

 

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コメント

ぼくがもらえることになっているお金を、全額キャッシユで支払いたいという申し出が、弁護士を通じてなされた。そんな大金、盗難の危険もある中、あえて直接会って渡したいとか、怪しすぎる。ちゃんと、口座に振り込んで欲しい。コロナを口実にして断った。コロナも役に立つことはある。

投稿: ぼく | 2020年6月25日 00:56

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