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2020年7月31日

動く植物                                                                  

 

 心の中に、丸い地平線の向こうから太陽が昇ってくる映像が映し出された。気がつけば真昼の庭で行われたパーティ。着飾った招待客の間を、動物の形に刈り込まれた植え込みが動き回っている。どういう仕掛けなんだろう。でもそれを気にする人は誰もいない。

 

 

 

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桜と雪                                                                  

 

 列車が停まった駅からは町を見下ろすことができた。左手には山があり、山頂まで満開の桜。と思っていたら違った。いつの間にか季節は移り、山は雪で覆われていた。けれど僕は夏の服装をして、駅のホームに立ち町を見下ろしている。わからない。これから町から出るところなのか、町にやってきたところなのか。

 

 いつものように、荷物はとても少ない。

 

 

 

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修学旅行                                                                  

 

 僕は小学生の頃に戻って修学旅行を体験していた。何人かのクラスメートと一緒の部屋に泊まって寝た。

 

 そして朝が来た。ホテルの朝食だけでは足らなかった僕は、持ってきたお菓子を部屋で食べた。バスルームを使う順番を待っていた。

 

 バスルームの鏡の脇に、錠剤の壜が置いてあった。壜にはデスラー総統の絵が描いてある。その薬を飲むと大人になることができるらしい。僕は錠剤を全部飲み込んだ。

 

 すると僕は覚醒した。肉体はまだそのホテルのバスルームにいたが、精神は大人になっていて、クラスの仲間と団体行動する気は完全に失せていた。

 

 これが夢だということにも気づいて、今日は1人で観光するつもりでいた。

 

 

 

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2020年7月30日

食堂を探して                                                                  

 

 僕は今、列車で旅に出るところだ。若い女性が2人一緒だった。2人は友達のようで、僕を知っているようだが、僕は彼女たちが誰だか知らない。途中まで来て、「明日は仕事があるから‥‥」と引き返してしまった。そこからは僕1人になった。

 

 運転手の食事と休憩のため、列車が停まったのは、どこかアジアの、田舎だった。山があって、たぶん川もあるけど、海はない、そんな場所。列車は夜の10時に、また町を出る。その先は、ノンストップだ。僕は駅を出て、食堂を探して町を歩いてみることにした。まだ、日は高い。

 

 

 

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2020年7月29日

正夢になった短い夢                                                                  

 

 地下鉄に乗って隣の駅まで行こうとしたが、線路の上を歩いた方が早いと言われたのでそうした。いや実際には表示に従って地下道を歩いて行った。明るい光の方へ向かった。人々は全員僕と反対の方向に進んだ。

 

 

 

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ドラマみたいに長くてリアルな夢                                                                  

 

 娘に私は本当にパパの娘なのと訊かれたが、それはお前の問題だからお前が決めればいいと答えた。

 

 パパはお前の父親だと思っていて、パパにとって重要なのはそれで、だからパパは自分でそう決めたことを信じる。

 

「パパとママはどうして結婚したの?」

 

「ママが結婚してほしいと言ったから」

 

 それはママの問題だったが、実際に結婚してみた後で、パパもママと結婚したいと思うようになった。

 

「どうして離婚したの? あぁ、いい、わかってる、ママが離婚したいって言ったからでしょ? バカなんじゃないの?」

 

「誰が? ママが?」 

 

 

 

「パパはどうして私を育てることにしたの? ママが私を要らないって言ったから?」

 

 違う。パパはお前の父親だから。

 

 

 

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24の前奏曲                                                                 

 

 リクエストに応えて1曲弾いてくれるという。僕はショパンの24の前奏曲を挙げた。反則だがあれ全部で1曲だ。どの解説にもそう書いてある。僕は頁をめくって、君がショパンについて語っている正にその部分を引用した。

 

 

 

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2020年7月28日

男たちの描いた絵                                                                  

 

 超高層デパートのかなり上の方の階から地上まで、僕とその背の高いガイジンはエスカレーターで下りようとしていた。

 

 エスカレーターは途中で動かなくなっていたが、構わず僕たちは歩いた(停止したエスカレーターを歩いて上り下りするのは、普通に階段を使うより辛い)。

 

 結局そのエスカレーターも途中で階段になってしまった。

 

 階段の脇の壁に数字が書いてある。やっと5階まできた。だが数字は、どこまで下に下りても「5」のままだった。

 

 僕たちは、下りつづけた。ずうっと5階だった。

 

 そのうちに下りる階段もなくなってしまった。

 

 

 

 

「そこより下はないのよ」。金色の雲に乗った女があらわれて告げた。老人と家来の男も一緒だった。

 

「嘘つけ」。ガイジンと僕は言った。

 

「ほんとよ。下に行きたければ‥‥」と女は持っていた土管サイズのクレヨンを何本か僕たちに渡した。「これで階段の絵を描きなさい」

 

「前にエスカレーターの絵を描いた男がいた。絵は下手過ぎて途中で動かなくなってしまったけど」

 

 

 

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2020年7月27日

パール・レイン                                                                  

 

 夜になった。君は車で出かけようと誘った。君のマムが僕たちに何か言ったが、僕には聞き取れなかった。君はもう車に乗り込んでしまっている。僕は2階にウインドブレーカーを取りに行った。それから君の後を追って玄関の扉を開けた。

 

 車はトヨタの86、スポーツカー、ピカピカの新車だ。色はパール・ピンクというらしい。溶けたパールの色だ。雨が降っていた。雨が真珠を溶かすのだ。道もその色に濡れていた。

 

 慎重に、ゆっくり走り出す。気づいたが、その車のブレーキは効かなかった。ブレーキの効かない車。何度同じ夢を見ただろう。助手席の君には訊かなかった。行き先はどこかと。訊くだけ無駄だった。

 

 行き先を行き過ぎても、僕たちは止まらない。何度かブレーキを踏んで、やっぱり減速しないのを確かめた。それから。運転席の窓を開け、手を翼のように突き出した。僕たちは飛ぶだろう。

 

 

 

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虫眼鏡の役割は何                                                                  

 

 娘が夢中になっているロックバンドのファンは、みんな虫眼鏡を持っている。自分たち熱狂的ファンのことを虫眼鏡と呼んでいる。なぜ虫眼鏡なのか訊いてみたが、教えてもらえなかった。

 

 ヒントをあげるから、自分で考えてみてと言う。

 

「虫眼鏡の役割は何? 近くのものを拡大すること。その虫眼鏡で遠くを見ようとするとどうなる?」

 

 ちなみに正解はないのだそうだ。考えてみることが大事だ。娘たちファンも本当のところは知らない。

 

 

 

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茶髪のポニーテール                                                                  

 

 ジョギングする女のコの後ろにくっついて僕も走っているが、僕は別に健康のためにジョギングをしていたわけではない。バスの時間があるのだ。‥‥。

 

 港に停車していたのは、普通の路線バスだった。なんとか間に合ったようだ。‥‥。よくあるリムジンバスではなかった。空港までの料金は500円だという。両替をしてから席についた。

 

 座席にはところどころ、コンビニのビニール袋が置かれている。場所取りがされてあるのだ。しかし混んできた。次々と乗り込んできたお客さんは、場所取りのビニール袋を無視して席に座った。‥‥。

 

 バスが動きだし、僕は目を閉じた。‥‥。すると瞼の裏側で、僕の1.5m前を走っていた、あの茶髪のポニーテールが、また僕の前を走り出すのだ。

 

 

 

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2020年7月26日

ピンクと紫の空港                                                                  

 

 空港に住む、という念願がついに叶った。空港内に建つ一軒家が賃貸に出されているのを見て、その場で契約したのだ。現地にも行かず、ネットで見ただけの物件。すぐにクリックして、カードで支払いを済ませた。

 

 その空港の内装は、ピンクと紫色が基調となっている。早朝で、まだ職員も出勤していない。僕はさっそく、自分の家に向かった。エレベーターを上り下りしていると、リュックの肩にかける部分が破れそうになっているのに気づいた。ポリウレタン製のパットが、劣化してしまったのだ。

 

 手で切り裂いて、ゴミ箱に捨てる。

 

 エレベーター脇のゴミ箱に破れた部分を捨てた、その瞬間に、空港中の照明が点いて、ピンク色の制服を着たCGのバーチャル係員が姿をあらわし、そして控えめなBGMが流れた。

 

 

 

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僕の夢と「それ」について                                                                  

 

 起きている時間より眠っている時間の方がずっと長いので、起きている間に「それ」を探すのは難しい。だから「それ」の大部分を、僕は夢の中で手に入れることにした。

 

 そして(現実に)手に入れた。

 

「それ」は書き方次第で、いくらでも変えられる。

 

「それ」は可能だ。

 

 僕は現実に、そういうふうにして生活している。現実に、僕は自由だ。今日も夢の中でするようにして、「それ」をする。

 

 

 

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2020年7月25日

探しもの                                                                  

 

 トイレの個室に入って鍵を閉め、小便をしていたとき、ドアを開けて入ってきた女の人は誰、もしくは何を探していたのか。

 

 夢の中で深爪をしてしまった僕は、起きてからバンドエイドを探している。

 

 

 

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平面的                                                                  

 

 駅に到着したときには、夜の11時を回っていた。体積のある食事ができる三次元のレストランは閉まっていて、開いているのはお酒を出すバーだけだった。それでも構わないかと思い、君と僕はその店に入った。

 

 店内は広いことは広いが、奥行きがなく、とにかく何もかもが平面的で、その広さを感じさせない。アルコールを飲まない僕たちは、ミネラルウォーターと一緒に、おちろりんという名前の平べったい料理を頼んで、シェアすることにした。

 

 

 

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ぬいぐるみの猫                                                                  

 

 旅行先の空は、いつまでも朝か夕方のようなオレンジ色。町もその色に染まっていた。僕は君と運河に浮かぶ船のようなレストランに入り、昼食なのか夕食なのかよくわからない食事をしている。

 

 大きな白いぬいぐるみの猫。お店で食事をした人限定で、安く買えるというぬいぐるみを、高価なワインのように抱えて、ソムリエが僕たちのテーブルに持ってきた。

 

 

 

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2020年7月23日

人気の店                                                                  

 

 2階は満席で、入店を待つ人々が階段の下に並んでいた。なぜそんな店で食事をしようと思ったのかわからない。1人で訪れた僕は、相席で構わないなら、とすぐにテーブルに案内された。前の客が食べ終えたばかりの席で、食器が下げられず残ったままだった。

 

 ごついアラブ系の男たちと、一緒のテーブルだった。僕は持っていたリュックを、椅子の背に掛けようとするのだが、背は楕円形なので、上手くいかない。ハンサムな白人のウェイターがやって来て、メニューを手渡した。メニューは細長い短冊のような紙1枚、異常に情報量が少なく、想像で補うしかない。僕はいつまでも、注文を決められなかった。

 

 

 

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眠る肉塊                                                                  

 

 肉塊を直接床に置いておいたら、そういうことになるのだろうか。僕はあちこちの部屋の床で寝ていたが、起き上がってみると、僕の寝ていた場所は、ちょうどその形に体液が染み込んで、そこだけカーペットやフローリングの色が変色しているのだった。

 

 

 

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電話の声                                                                  

 

「もちろん」と答える僕の声も変わっていた。僕は自分が誰だかわからなかった。電話の相手は君だった。ボイス・チェンジャーの機能がオンになっていたけれど、声を聞いただけですぐにわかった。

 

「本当に私だってわかるの?」君は訊いた。何を喋っているのかはわからなかった。でも君が喋っていることだけはわかった。

 

 

 

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カミカゼ                                                                  

 

 出航してきたときに500あった戦艦の主砲の残弾は、戦場に到着したときには2にまで減っていた。何があったのかは知らないが、ここに来るまでに使い過ぎた。これでは戦力にならん、引き返した方がいいと告げたが艦長は断った。このまま敵艦隊に突っ込み、体当たりして自爆すると主張した。日本に戻るのは嫌だと言うのだった。

 

 

 

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2020年7月22日

テープを剥がす                                                                  

 

 指からは古いセロハンテープを剥がしたときのような匂いがずっとしていた。

 

 それで僕は最後にセロハンテープを剥がしたのは何年前だろうと思ったのだ。

 

 

 

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配達された男                                                                                                                                    

 

 発音が酷すぎるからだと思うが、レセプションの女性に僕のフランス語は通じなかった。英語に切り替えて部屋を予約してあることを伝えると、客室に上がるエレベーターの前まで彼女は案内してくれた。

 

 ありがとうと礼を言って乗り込もうとすると、僕の目の前でそのエレベーターの扉は閉じてしまったのだが。

 

(気まずい沈黙が流れる‥‥)

 

 ところで1台しかないエレベーターが再び下りてくるのを待っている間、窓の前に置かれた肘掛け椅子の上に、茶色い封筒があるのに気づいた。手紙だ。

 

 椅子も茶色、封筒も茶色で、誰も気づかなかったのか、何日も前から置いてあるみたいにしわくちゃで、表面には少し埃が積もっていた。

 

 僕は後からエレベーターの前にやってきた宿泊客の男性に封筒を見せ、そのことを告げた。

 

 彼が意味不明なゼスチャーをするので、僕は耳に手を当て、わからない、と言った。

 

 すると彼は、その封筒を指さした。消えかかった走り書きの宛名文字。彼は声に出して言った。その住所のところまで、あなたは配達されてきたんだね。

 

「遠くから来たんだね」。なるほど彼の意見によると、僕が手紙を受け取ったのではなく、手紙が僕を受け取ったのだ。

 

 男性と2人乗り込んだエレベーターの中で、僕は手紙に開封され、書いてある中身を読まれていく。その様子を観察していた男性は、また意味不明なゼスチャーをして僕を少し苛つかせた。

 

 

 

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北から北へ                                                                  

 

 寝たときには北を向いていた頭が、時間の経過と共に、東、南、西、と時計回りに回った。

 

 Je suis là.(私はここにいるよ)。君の声がして、頭がもういちど北に戻ると、僕はそこで目を覚ました。何時間も眠ったような気がしていたけれど、実際には2秒も時は過ぎてなかった。

 

 

 

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壊れたラジオ                                                                  

 

 夜の町で、信号機が話しかけてきた。小声で、何を言ってるのかわからなかった。

 

 通り過ぎようとすると、今度は少し大きな声になった。壊れたラジオのように、ガーガーピーピー言う。僕はその歩行者用の、押しボタンのところに耳を近づけ、彼女が何を喋っているのか一所懸命聞こうとした。

 

 

 

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2020年7月20日

スライド                                                                  

 

 僕がいたのは、客席ではなかった。ステージの上でもなく、楽屋でも通路でもなかったが、僕の目には、それらすべてが見えていた。

 

 壁と、天井に、床に、花や木や川や、自然の風景が映写されていた。僕が待っていたのは君とオーケストラの演奏だったが、ステージの上は空で、それが始まる気配はなかった。

 

 そのうちに音楽が始まったが、そのころには僕は、自分が夢で何を待っていたのか、忘れていた。

 

 

 

 

 

 意識が肉体を取り戻し、目が覚めてこのすべてを思い出したとき、音楽があればいい。あのメロディも一緒に覚えていられればいいのに。

 

 

 

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2020年7月19日

拍手の音                                                                  

 

 僕は1人で楽屋に残って、ホールから漏れてくる音を聴いていた。生演奏の前に、先ず紹介の映像を流したようだ。ナレーションの声が響いている。

 

 そして、拍手。漂い、空気を霞ませるほどの拍手。それがいつまでもつづき、ようやく僕は、ホールの観客が待っているのは、この僕だということに気づいた。

 

 

 

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危機                                                                  

 

 僕が男だとわかったら、激怒して何をするかわからないと思い、下半身にだけは触れさせないように、手でガードしているが、しつこい。

 

 別に女装していたわけでも、化粧していたわけでもないのに、そのバツイチの男性は僕を女性だと思い込んでいて、真剣に交際したいと言うのだ。

 

 男性の家で、僕は彼の小学生の娘と一緒にいたのだけれど、気を利かせたつもりなのか、彼女は席を外した。

 

 すると男性は僕をソファに押し倒し、キスを迫ってきたのである。

 

 

 

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2020年7月18日

虐待の加害者                                                                  

 

 その子供は美術作品として育てられた。学校にも行ってないようだった。「作者」はその子の体にペンキで色を塗り、各地のギャラリーで展示した。「作品」を僕もいちど観に行ったことがある。

 

 虐待だ、という批判はある。だが誰が誰を? 作者はもちろん、「展示」を許可したギャラリーも、それを取り上げ報道したメディアも、批評家も、僕たち観客も、そうだ、全員が被害者なのだ。

 

 

 

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蜘蛛の巣                                                                  

 

 万札を小銭に両替しようとして、大きな金属の箱の中に手を突っ込むと、そこには蜘蛛が巣を張っていて、怯えて震える手だけが、タイムスリップして、

 

 指先に触れたコインは、100年以上昔のものだった。

 

 

 

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2020年7月16日

ハト                                                                  

 

 鳩が高い木の枝に止まっているのを見て僕が驚いたのは、彼らはいつも地面を歩き回っているイメージがあるからだ。

 

 

 

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着物                                                                  

 

 すると振り袖を着たまま、髪を高く結ったままで、女の人が布団に入って寝るところだった。

 

 

 

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コイン                                                                  

 

 サッカーチームには、フィールドプレイヤーが1人と、ゴールキーパーが1人しかいなかった。相手チームにはフィールドプレイヤーさえいなかった。きっと退場になったのだろう。

 

 ボールは球ではなく、コインだった。僕は相手ゴールの前に陣取り、味方キーパーからのパスを受けて、そのコインを足で蹴った。相手チームのキーパーへ、それがこの試合のギャラだった。

 

 

 

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アフロの客引き                                                                  

 

 あとで一緒に夕食を食べる約束だった。今日はオーケストラとの共演だったので、ロビーでの君の挨拶やらサイン会やらはない。コンサートが終って、僕は一旦近くのホテルまで戻ることにした。

 

 ホールを出たところで、身長5mの、金髪のアフロの客引きに声をかけられた。美容院の客引きである。デートの前に、髪をアフロにしませんかというわけだ。

 

 その向こうには、同じくらい背の高い客引きがいて、彼は女のように美しい長髪だ。僕は彼の方に歩いて行った。

 

 

 

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空港にて                                                                  

 

 戻ってみるとバッグが1つ消えていた。大きなキャリーケースと小さな手提げ袋は無事だった。でも荷物はもう1つあった。中に何を入れていたのかは思い出せない。

 

 出発ロビーにて、何かを失くしたのは確かなのだが、何を失くしたのかはわからない。

 

 パスポートやサイフ、スマホなどの貴重品は身につけている。失くなって困るようなものはなかったはずだが、いざそれが失くなってしまうと、やっぱり困って、動揺してしまうのだ。

 

 

 

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おはじき                                                                  

 

 風邪で具合が悪くて床に布団を敷き寝ていると、サッカーのコーチがやってきて言った。こういうときにこそ練習をしなければ駄目なんだと。彼は僕の足元におはじきを幾つかばら撒いた。僕はそれを足の指で掴んで、シュートの練習をしなければならないのだ。なぜだ。

 

 暗い緑色のカーテンの陰に隠れているコーチに向かって、僕は足で摘んだおはじきを投げつけた。

 

 

 

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2020年7月15日

ロールシャッハ・テスト                                                                  

 

 目の前に見えていた、ロールシャッハ・テストで使う黒い染みのようなものは、だんだんと形を変え、最終的には「SOS」と読めるようになった。

 

 そこで僕は、やっと安心して、眠ることができたのだった。

 

 

 

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2020年7月14日

椅子取りゲーム                                                                  

 

 大きなベッドと、肘掛け椅子がある部屋に、2人がいて、椅子は空いていたので、僕は座ろうと思った。

 

 だがあまりにも冷房が効き過ぎていたので、ダウンジャケットを取り、もういちど戻ってくると、さっきの2人は消えていて、

 

 代わりに椅子には、10代の少年が1人座っていた。

 

 ダウンを羽織り、仕方なくベッドに寝転んだ僕に、参考書を見せながら、英語を教えてほしいと(この本で勉強すれば、僕も話せるようになりますか?)、少年が話しかけてきた。

 

 これで英語を学ぶのは、難しいかもしれない、と僕が答えたところで、気づいてみると、

 

 その日本人の少年が話しているのは、流暢なフランス語なのだ。

 

 

 

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2020年7月13日

予知能力者                                                                  

 

 女を探しに来た宇宙船が、海に潜った。地上の人たちは、囚われた女を引き渡すよう要求した。彼らが拒否すると、星の世界の人々と地上との間で、激しい戦闘が始まった。

 

(あの人が予知したとおりに、戦闘中、僕の足のサイズは、26から24になり、そして27になった。)

 

 予知能力のある女の人が、星の世界から逃れて地上にやってきた。しかしこの地上でも、争いごとが起きるという。「もっと低いところへ行く」と言い残し、今度は海に飛び込んだ。

 

(2人が流産し、たった1人の子供が生まれる。すべて予言のとおりに。)

 

 

 

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金持たずに                                                                  

 

 夢の内容をメモしておいたのだが、今読み返してみても、何のことだかさっぱりわからない。面白い夢だったことだけは確か。そのまま書いておく。

 

 

 4 プレイ お題 金持たずに みんなに

 

 

 

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2020年7月11日

試合経過                                                                  

 

 ダグアウトでチームのみんなが試合経過を説明してくれた。

 

 試合の流れは掴んだ。7回の僕の打席が回ってきた。しかし午後の飛行機の時間が迫っていた。

 

 もう帰った方が良さそうだ。

 

 野球に行くのが遅れてしまった。急いでバスに乗ったが、完全に遅刻だった。

 

 

 

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反省会                                                                  

 

 刑事たちはアジトに踏み込んだ。万が一のため刑事の1人は手榴弾を持っていた。完全武装だった。しかし「アジト」は空だった。

 

 そこはアジトなどではなかったのだ。

 

 買い物袋を下げてそこの住人が帰宅した。そして破壊された部屋を見た。何を思っただろう。

 

 刑事たちは責任を感じ、半年間自宅で謹慎した。ある刑事の実家は銭湯だったので、ときどき仲間の刑事たちが集まり、風呂で反省会を開いた。

 

 

 

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親指と小指の腱                                                                  

 

 気持ちが落ち込んだ医者は占いに頼った。占い師は言った。親指と小指の腱の交差するポイントに逃げ道はあると。そこに開いた穴に飛び込むのだ。

 

 結果的に地上5階から飛び降りる羽目になった。命はないと思われたが、ゴミ捨て場の大量のアルミ缶がクッションになってくれたおかげで助かった。完全勝利であった。

 

 

 

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大人しい赤ちゃん                                                                  

 

「赤ちゃんに気をつけて」と言われた。テーブルの上に、大人しい赤ん坊と、その赤ん坊によく似た人形が置いてあった。

 

 見ていると人形が動きだし、床に落ちてしまった。赤ん坊が落ちたのかと思い、ひやっとしたが、誰も何も言わない。テーブルの上の赤ん坊は、身動きひとつせず、黙ったままだ。

 

 

 

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2020年7月10日

オレンジ                                                                  

 

 昨日、逮捕された。何の容疑なのかはわからない。最後に言い残すことはないかと訊かれるも、何も思いつかない。黙っていると、そのまま連れて行かれた。

 

 取調室の、テーブルの上には、手錠に繋がれたオレンジが置いてあった。いったい、何の容疑で、誰が逮捕されたというのだろう。

 

 

 

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2020年7月 6日

4つの短い夢                                                                                                                                    

 

 

 棒グラフを眺めて若い女が画面の向こうから僕に意見を述べた(何のグラフ)。

 

 

 クレーン車のクレーンの部分が故障した(修理しない)。

 

 

 倉庫に刑事がやってきて天井から垂れてくる透明な液体に気づいた(なのに行ってしまった)。

 

 

 その平行世界では大滝詠一の曲の歌詞がすべて別のものに書き換えられていた(大きな違和感)。

 

 

 

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エースと4番                                                                  

 

 9人のチーム相手にどうやって戦えばいいんですか? 頭を使え。エースと4番、2人だけの野球チームが何組か。

 

 総監督は練習のやり方は自由だと言い残し、どこかへ行ってしまった。

 

 

 

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木の成長                                                                  

 

 巨木の根元に、男がまた別の木を植えた。植え終わると、すぐ日本に帰った。

 

 木はすぐ大きくなったが、それに合わせて僕も巨大になったので、相対的には、木は小さなままだった。

 

 ときどき、僕は小さな木の葉を食べた。

 

 木が成長する様子を、僕は撮影しておいた。10年分を1時間に編集した動画を、日本に送った。

 

 

 

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ストップモーション

 

 飛び込み台から、体をひねってジャンプ。連続写真を意識して、1/10秒ごとに、格好つけたポーズを決めた。

 

 

 

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2020年7月 5日

音楽の時間                                                                  

 

 音楽の時間に、君は1曲だけ弾いた、懐かしの童謡みたいなメロディ。鍵盤に手が届く位置にいた、僕は聴くというより見ていた、君が指先で音を解放していくのを。自由になった音は心から楽しそうに、僕たちの周りを飛び跳ねていた。そしてみんなを笑顔にした。

 

 

 

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2020年7月 4日

豚                                                                  

 

 怒って衝動的にバスを停車させた。何の関係もない運転手に豚の悪口を言った。僕がそこまでするのは珍しい。豚のせいだと噂が広まり、豚が飛んできた。

 

 予想に反して、豚は謝罪した。豚と喧嘩になるかと思っていた。僕も反省した。運転手には悪いことをしてしまった。

 

 僕はその太った人を豚と呼び、豚を人として扱っていた。豚は事前に情報を与えてくれなかった。それで僕は何の準備もできなかったのだ。

 

 

 

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カルピスの原液                                                                  

 

 四角くカットしたチーズの上に、カルピスの原液をかけたデザートが人気だ。そのカルピス原液を注ぐ係だった。そこはおしゃれなカフェで、僕はそれ専門の給仕だった。

 

 

 

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ジャミロクワイの帽子の中身                                                                  

 

 頭を入れる穴が3つある、電球のソケットのような巨大な帽子の中に入り、くるくる回転しながらジャミロクワイを歌っている、3人組のボーカルグループがいた。見ていた50代のプロデューサーは、大爆笑だ。

 

 レコードレーベル主催の、バンドのオーディションだったが、集まってきたのは、全員、楽器もろくに弾けない、お笑い芸人としてデビューした方が成功するだろうと思われる、そんな連中ばかりだった。

 

 

 

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傘                                                                  

 

 折りたたみの傘は、ちゃんと開いてくれなかった。雨に濡れながら、僕たちは祈った。

 

 一緒に、笑いながら、屋根の下まで走った。以来、傘は持ってない。

 

 

 

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2020年7月 3日

饒舌                                                                  

 

 本棚に、本が逆さまになって入っている。向きを直そうと、僕はその本を手に取った。タイトルを見た。何度も読んだ、大好きなSF小説だった。でもその内容は、どうしても思い出せなかった。

 

 大きな、日本のお屋敷。僕たちは夕食ができるのを待っていた。屋根裏に上がる階段が、部屋の真ん中にあった。僕はその階段に腰掛け、セリフの多い少女マンガを読んでいた。

 

 お屋敷には、僕の他にもゲストがいた。というかメインのゲストはそちらだったので、僕と連れがいくらお腹を減らし、退屈していようと、関係ないのだ。夕食にはまだ当分、ありつけそうになかった。

 

 

 

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夢見る稼業                                                                  

 

 僕が書いたちょっとした文章が、雑誌に掲載されることになったのだけど、僕はそのことを、何も知らされてなかった。発売になった雑誌を手に取り、自分の書いたものが掲載されているのを見つけた。

 

 そこで初めて知ったのだ。こんな驚くべき話を。

 

 ☆

 

 ほとんどの時間を、僕は夢の中で過ごしている。昼寝も含めると、僕はだいたい、1日に15時間眠る。たくさんの夢を見るのが、僕の仕事だ。より正確に「稼業」と言った方がいいかも知れない。

 

 起きているのは9時間ほどだが、そのうち4時間を、見た夢の記録に充てている。文字通り、夢の中で生きている。

 

 最初は、ただの遊びだった。見た夢を、現実にする遊びだ。簡単なことだった。バスに乗る夢を見たなら、バスに乗ればいい。それだけのことだ。

 

 宇宙人と戦うような、実現不可能な夢でも、僕は現実にすることができた。宇宙人と戦った場所に行き、星空を見上げ、そのときの気持ちを思い出してみる。これはそういう、「遊び」なのだから、それでいいのだ。

 

 そのうち、僕の見る夢は、すべてが正夢になった。起きてから、努力して、夢を現実にする必要はなくなった。すべてが正夢になる夢を見る男として、僕は現実を生きていた。

 

 僕の現実というのは僕が見た正夢に過ぎない。夢に生きる。夢見て生きる。誰もが不可能だと口を揃えるそんな生き方を、寝てる間に僕は実現してしまっていた。

 

 

 

 

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机の上の数字                                                                                                                                    

 

 明かりの落ちた倉庫のように広い部屋は、扉でコンビニと繋がっていた。コンビニを抜けて細い通路を行くと、おじいさんのいる事務室があった。僕はその老人に何か言われて、コンビニを抜け、もういちど広い部屋に戻るはめになった。

 

 机があり、数字が置いてあった。いかにも計算されるのを待っているような数字だ。僕が足し算を始めると、誰かが缶ビールを持ってきた。

 

 

 

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704                                                                  

 

 どうしても胸に目が行ってしまう、女の人は巨乳だった。グレーのスーツを着ていた。

 

 エレベーターに乗り込んだのは、その女の人と僕だけだった。夜の遅い時間で、僕が行きたいのは7階だった。でも女の人が7階のボタンを押すのを見て、何となく気まずくなって、僕は11階を押してしまった‥‥

 

 結局11階でも僕は降りず、いちばん上の13階まで上がり、そこから階段を使って、7階に向かった。まるで人気のないビルだった、7階だけ明かりが点いていた。

 

 僕の部屋は、704だった。まだ営業中のレストランを囲むようにして、7階のいくつかの部屋はある。部屋を探して店の中をうろうろしていると、さっきの女の人に出会った。

 

 704はどこなのか訊いてみると、女の人は僕を、レストランのテーブルに案内した。そのテーブルが704だと言った、何か奢ってほしいと僕に頼んで、勝手に何か注文した。

 

 

 

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2020年7月 2日

魂の速度                                                                  

 

 人間の魂から、どれだけのエネルギーが発生しているか、測定する装置が僕たちを見ていた。

 

 測定機器は、寝ぼけ眼でもいちばん多くのエネルギーを出している僕に目をつけた。「走ってみなさい」と声をかけてきた。

 

「記録的数字が出るかも知れない」

 

 後ろにいた人が、僕の背中を押したまま、一緒に走ってくれた。それで僕は、出鱈目なスピードで走ることができた。しかし速さは、魂の速度は、エネルギーとは何の関係もなかったのだ‥‥。

 

 

 

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名前と番号                                                                  

 

 混浴の温泉だった。僕は湯に浸かっていた。湯は腰の下までしかなかった。半身浴というのにも、まだ足りない。

 

 若い女性たちが僕の周りを囲んでいた。みんな僕のことを知っていた。誰も知らないはずの名字で僕のことを呼んだ。その名を名乗ったことはないのに。

 

 僕は彼女たちを誰も知らなかった。

 

 僕は、湯船の縁の方まで行き、持っていたポーチから歯ブラシを取り出した。そして歯を磨きながら、見覚えのない女性たちの胸を眺めた。

 

 僕の持っている歯ブラシには名前が、男性器には番号があった。僕は女性たちの裸を、もういちどよく見てみた。その体に名前か番号を探した。

 

 

 

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444                                                                  

 

 僕は自分で自分の名前を呼んで、愛してると444回繰り返して言った。

 

 ユー・アー・ノット・アローンの声は段々大きくなって、やがて真実になった。

 

 

 

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高いところ                                                                  

 

 その先は行き止まりのように見えたので、車を降りて、確認してみることにした。

 

 でも違った。扉が閉まっていただけで、扉のすぐ前まで行くと、扉はちゃんと開いた。

 

 扉の向こうは、エレベーターだった。上に用事があるわけでもなかったが、僕たちは無限に上昇しつづけた。

 

 上になればなるほど、そもそもどこに行くつもりでここまで来たのか、その記憶は薄れていった。

 

 元いたところには、いつでも下りていけるから、と思っていて、事実そうだったが、ハナから下りる気はなかった。

 

 行ったことがないほど高いところまで行って、何もかも全部忘れてしまうつもりだった。

 

 

 

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2020年7月 1日

ミニ                                                                  

 

 信号待ちの先行車にぶつかりそうになった。舗道に乗り上げて、何とか停車した。

 

 中古のミニに乗っていた。1960年代のロンドンを走っていた車だ。さすがに古い。3人乗ると、いかにも馬力不足だ。ブレーキの利きも悪い。

 

 駅まで2人を送って行くところだった。だが確認すると、ナビからは道が消えていた。その先の道が消えているのだ。僕たちは存在しないはずの、細い道路を走った。

 

 ここはどこなのか。道は立体駐車場につづいていた。満車のようだ。空きスペースを求めて、上へ上へと上がった。ブレーキを踏んで、車を停めたかった。

 

 

 

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