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2020年9月29日

停電                                                                  

 

 めちゃくちゃ混雑したスーパーで買い物をしている途中で明かりが消えた。「停電だ」とみんなが思ったことを1人が声に出して言った。そのおかげで誰もが安心したようだ。みんな思い思いにスマホで記念撮影を始めた。

 

 そのとき暗闇の中で気づいた僕1人だけだ眼鏡をかけているのは。外から差し込んでくるぼんやりとした光が見えた。その淡い光の向こう、表通りには黒い影のような人が行き交っている。

 

 

 

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2020年9月27日

白い雲                                                                  

 

 白い服を来た若い女性が何人も笑いながら踊りながら道路を渡ってくる。

 

 と思ったら違った。雲だった。白い雲が幾つにも千切れて僕の方に流されてくる。僕は飛行機に乗って、窓から外を見ている。飛行機は限りなく上昇をつづけたが、海の青もずっと同じ角度を保ったまま僕たちに近づいてくるようで、気づけば飛行機は海面すれすれを飛んでいるのだ。

 

 

 

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神様                                                                  

 

 ゆっくりと歩いている神様を走って追い越す、振り向いて挨拶だけした。僕はエレベーターに乗った。神様より先に上へ向かった。上へ上へ‥‥

 

 

 

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しなの                                                                  

 

「しなの」の降り口は3車両先に1つあるだけだった。不便なことだ。僕は大荷物を抱えて客席の間の狭い通路を走った。

 

 僕は特急「しなの」に乗っていたのだけど、用事を思い出して途中で降りることにしたのだ。

 

 駅の待合室で下りの列車を待つ僕に、郵便物が届けられた。開封してみると僕の愛用の辞書であった。

 

 数字とアルファベットで構成されたパスワードのようなメッセージが同封されている。辞書を使って僕は目が覚める直前までメッセージを「読む」ことができた。そのメッセージは僕を感動させた。

 

 

 

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2020年9月24日

マンションの幽霊                                                                  

 

 マンションの前には多田由美のマンガの登場人物のような蒼白い顔をした男女が何人か地べたに座っていて、やって来た僕たちにその生気のない目を向ける。

 

 エレベーターに乗り込んだ僕たちの背中に、誰かが「15階‥‥」と声をかけたような気がした。僕がその階のボタンを押すと、「‥‥には行かない方がいいよ」

 

「幽霊が出るからね」と不動産屋さんも言った。

 

「押しちゃいましたけど」「まずいね」

 

 エレベーターは15階で止まったまま、動かなくなった。扉も開いたまま、閉まらなくなった。電気が来てないのだろうか。昼間なのに15階の廊下は真っ暗だった。

 

 ここに引っ越そうと思い僕は不動産屋さんと一緒に部屋を見に来たのだ。

 

 

 

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コウモリ                                                                  

 

 籠の中のコウモリが外に出たいと僕に嘆願する。皿洗いしながらラーメン屋の開店時間を待っている間に。何度も宙返りする。でも無理なのだ。

 

 

 

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チーズケーキ                                                                  

 

 積み木で「音楽」をつくる企画だったが、うまくいかなかった。音楽をつくるつもりで僕がつくってしまったのは「チーズケーキ」だった。たくさんのチーズケーキ。積み木のチーズケーキ。罰ゲームがあるという。罰ゲームは地球を一周だ。

 

 

 

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スーツ                                                                  

 

 灯台のような円筒形の建物の内部では、スーツが売られていて、螺旋階段を上ったり下りたりしながら、君が僕のために選んでくれたのは、グレーの、ジャージー素材の一着だ。高かったが、プレゼントしてくれるという。

 

 

 

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2020年9月23日

水分注射                                                                  

 

 原発の事故があって、調査をするために、学生が何人かうちに来た。僕も一緒に、地図を見ていると、学生の1人が、腕に怪我をしているのに気づいた。

 

「ハンドボールの試合で‥‥」僕の視線に気づいた彼は言った。

 

「腕に水分を注射しなきゃならないな」傷を見た僕が言うと、彼は頭を掻いた。

 

 調査チームには、女のコが1人だけいた。彼女は椅子には座ろうとしなかった。窓枠に腰掛けて、僕たちを見ていた。

 

 

 

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忘れ物を取りに                                                                  

 

 洗濯物を干そうとすると、あると思っていたバルコニーがなかった。窓から突き出た物干し竿に、洗濯物を掛けた。

 

 部屋を振り返ると、床に敷いた日本式の布団の上に、戸惑ったような顔のベトナム人の男のコがいる。「忘れ物を取りに行かなきゃ‥‥」

 

 僕の部屋は、扉を出て、廊下を真っすぐ行って、右。

 

 空から雪が落ちてくる。

 

 僕にはそれが雪ではなく、雲のかけらに見えるのだ。

 

 

 

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2020年9月21日

つづき つながり                                                                  

 

 忘れてしまうはずだった夢の記録を取ることで、僕は現実が夢とつながっているのを発見した。そしてそんな夢には必ずつづきがあることを知ったのだ。

 

 

 

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オレンジ色の未来                                                                  

 

 お祭りの会場に車で乗り付けた。車から降りて受付に向かった。ところが僕は裸足だった。受付のお姉さんに指摘されて初めて気づいた。僕は靴を借りることにした。

 

 エントランスの向こうに、町が広がっている。町全体が、祭りの会場だった。狭い路地の両側に、出店が並んでいる。町中にオレンジ色の旗が掲げられていた。

 

 僕は君と2人で歩いている。坂を上り切った。左と右に、また別のオレンジ色の通りがつづいている。僕は自分が若返っていると気づいて、ここが僕の過去であることを知った。

 

 君は年を取っている。君にとってこの場所は未来なのだ。君がこれから体験するはずの未来を、僕が少しずつ思い出そうとしていると、君は僕の手を取って、何かひとこと話しかけた。

 

 

 

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2020年9月20日

三途の川                                                                  

 

 川岸に人の列ができていて、先頭の、旗を持ったガイドさんに従って、水に入っていく。ずいぶんと水は浅く、どこまでも歩いて行けた。「あれは本当の川なの?」と君は僕に質問した。「違うと思う」

 

 

 

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2020年9月19日

逆子                                                                  

 

 出産に立ち会った。赤子は足から出てきた。逆子というやつだろうか。僕は固まってしまい、上手く取り上げることができなかった。「あれほど練習したのに‥‥」助産婦さんは僕を笑った。

 

 生まれてきた子供は泣かなかった。顔はベートーベンによく似ている。いきなりフランス語で喋り始めた。「あなたは僕の父親か?」と彼は訊いた。僕はそうだとも違うとも答えられなかった。

 

 結局、女房が妊娠したときが、僕たちの幸せの絶頂だったのだ。実際に子供が生まれると、何かが減少していった。何が減っていったのかはわからない。

 

 僕が日本語で書いた手紙を、子供がフランス語に訳してくれる。それを持って、女房の前で読んだ。「それがあなたの本当の気持ちなの?」と彼女は言った。

 

 子供なんて最初から生まれていない。僕は用意された声明文を読み上げているだけだった。

 

 

 

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2020年9月18日

レタスとトマトのサラダ                                                                  

 

 昼寝から目覚めると夜だった。僕は寝室から階段を下りて行った。1段下りる度に時間が巻き戻って、全部下りたときには、僕は10代の若者になっていた。

 

「夕食の用意ができている」と女の静かな声が言った。「何度も声をかけたのに」

 

 テーブルには、1人分の皿が。レタスとトマトのサラダに、辛いドレッシングがかけられていた。ヨーグルトの小さなカップがあるものの、カルシウムとタンパク質が足らない。メインの料理は、どこだろう。

 

 食堂と、リビングの間の壁が取り払われている。カーテンは開いたままで、暗い窓が鏡のようになっている。

 

 

 

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請求書                                                                  

 

 寝室から階段を下りて行くと、1階の廊下に請求書が並べてあった。ずらりと。しかし支払いは済ませたはずだった。1階の部屋には急に年を取っておばさんのようになった僕の娘と、突然若返った女房がいる。2人は同時に別の話を始めた。

 

 

 

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ペットボトルとリモコン                                                                  

 

 飛行機は着陸した。中東の空港に。空港内を移動するバスが出た。日本人の若い男がいて、僕は話しかけた。

 

 バスは空港を出て、森の中を進んでいる。まだ入国審査も受けてないのに。「拉致されたんだ」と若い男は言った。バスはゴミ処理場に着いた。「僕たちはここで‥‥」と男は言った。その先が聞こえなかった。

 

「僕は就活中なんです」と若い男は言った。「だから諦めが早いんです」

 

 僕たちはそこで、ペットボトルとリモコンの仕分けをすることになった。プラゴミの中から、再利用できるそれを探した。

 

 

 

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2020年9月16日

弱肉強食の海                                                                  

 

 僕の父親は海に棲む大きな魚だった。その魚の群れの中で僕は育った。仲間たちが僕を守ってくれてはいたけれど、泳ぎのできない僕は弱肉強食の海で常に死と隣り合わせだった。

 

 その日もいつものように海面をぷかぷか漂っていると、サメの姿が見えた。サメは人間の僕を食べようと狙っているのだ。僕は安全なバスタブの中に避難した。いつもの避難所だ。サメは父や仲間たちに向かって行った。

 

 父は蛇のようにサメを尾っぽの方から丸呑みにした。その口の先からサメの大きな頭が出たままだった。サメは逃げ出そうと暴れたが、僕たちの仲間のワニに頭部を齧られてしまった。

 

 さてサメの葬式は陸で行われることになった。僕が葬式に出る。バスタブの船に帆を張って1人で港を目指した。血なまぐさい大海原よさらばだ。戻るつもりはなかったが誰にもさよならは言わなかった。

 

 

 

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2020年9月15日

失われた細部                                                                  

 

 巨人が星に降りて来て発掘調査を始めた。しかし巨人はあまりにも巨大だったため発掘の細かい手作業は苦手だった。「そんな大雑把なやり方では」と僕らは指摘した。「ディテールが失われてしまう」

 

 僕たちは巨人の肩に乗ってあれこれ指示しながら星中の遺跡を巡った。すると巨人を操縦しているような錯覚を覚えた。僕は子供のころに見ていたロボットアニメのタイトルだけを思い出した。でもすぐにまた忘れてしまい、永久に思い出せなくなった。

 

 

 

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紅葉狩り                                                                  

 

 僕たちは高校の教室のような広い部屋に泊まった。持って来た服は全部ベランダに放り投げていた。そうしろと言われたからだ。翌朝、チェックアウトしようとすると、僕の洋服だけがなかった。

 

 ベランダには衣装ケースが何段も重ねてあり、みんなの服は丁寧に畳まれてその中にあった。ここは3階か4階だろうか。ベランダから紅葉した木々が見える。下を覗くと観光バスか何台か停まっている。男の人が僕の名を呼んで、手を振った。出発だ。

 

 

 

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2020年9月14日

その固さと重さ                                                                  

 

 カウンターの席で何か飲んでいると、隣に裸の女と、その母親が来て座った(母親は服を着ていた)。僕はその娘の胸に触れ、その固さと重さを測っている。娘は逆立ちして、そうしても胸の形が崩れないことを僕に自慢した。

 

 

 

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2020年9月13日

給食当番                                                                  

 

 給食当番だった。僕は寿司を握っていた。給食に寿司が出るなんて! 寿司を握るのは初めてだ。

 

 いびつな形の寿司を、みんなに配った。文句を言う者はなかった。先生は逆に褒めてくれた。

 

 

 

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2020年9月12日

カミソリの刃                                                                  

 

 僕の部屋にはたくさんの子供たちと、その母親たちが集まって話をしている。僕は今起きたばかりだ。顔を洗って髭を剃りたい。けれどバスルームにも子供たちと母親たちがたくさんいる。

 

 僕はカミソリで顔を切ってしまった‥‥

 

 タオルについた血を、子供たちに見せた。僕は上半身裸のまま、寝室に戻り、ベッドに腰掛けた。そこにも子供たちはいた。

 

 全体としては楽観的だったが、僕はすべての細部を、少しずつ心配している。しかも1日はまだ、始まったばかりだ。

 

 

 

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2020年9月11日

集めた小銭の祈り                                                                  

 

 爆発が起きて、間一髪のところで逃げ出した僕。双子の弟は、発生した有毒ガスを吸ってしまった。もういちど建物の中に入り、弟を救出した。

 

 弟の様子を見た医者の、顔色が白く変わった。何もしようとしない彼を放って、僕は弟を、病院の奥へ運んだ。

 

「吐いてもいいかい?」と腕の中の弟は言った。

 

 病院の奥にあるベッドに、弟を寝かせた。そこら中に、なぜか大量の小銭があった。両手に持てるだけ掻き集めた。祈るために手を合わせると、小銭はこぼれ落ちて、ヂャラヂャラ鳴った。

 

 

 

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写真                                                                  

 

 机の上に、誕生日のケーキの写真と、カードの写真が置いてある。誰か来るのかい? 決まってるじゃないか、と僕は答えて、プレゼントが写った写真を見せる。

 

 

 

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2020年9月10日

石の下で                                                                  

 

 石畳を歩いて壁のところまで行く。石の壁に手を触れた。本物の石より少し柔らかい石だった。

 

 僕はこの石を着れると思った。たぶん、肩に羽織ることができる。布団にしてもいい。石は僕を圧し潰しはしない。僕は石の下で眠るのだ。

 

 

 

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時計と鞄                                                                  

 

 広場の中央に時計売り場が設けられていた。そこで時計を見ている間に鞄をなくした。僕にはもう時計も鞄もなかった。

 

 自分が何を失ったのか、それはよくわかる。しかし何を持っていないのか。それがさっぱりわからなかった。

 

 

 

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2020年9月 9日

手拍子                                                                  

 

 手拍子のコンサートだった。君はステージの中央で天ぷらを揚げ、そのジューッという音に合わせて手を叩いている。

 

 隣に座っていた男は席を立ってしまった。すると客席にも君がいるのに気づいた。僕の隣の隣の席に君は座って、ステージの上の自分を見ている。難しい拍子を要求するステージの君に合わせて、客席の僕たちも手を叩きつづけた。

 

 

 

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決闘招待状                                                                  

 

 招待状が届いた。決闘に招待された。場所は冷蔵庫の前だ。冷蔵庫の中には美味しそうな食べ物がいっぱいだ。

 

 いきなり後ろから殴られた。血も出たが夢なので痛くなかった。「まだ盗ってない‥‥」と僕は抗議した。「ならさっさと盗れ」と決闘の相手は言った。

 

 

 

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2020年9月 8日

列車テロ                                                                  

 

 テロリストたちが列車に乗り込んでくると、乗客のおばさんはここで降りたいと言った。「いいよ」とテロリストの1人は答えた。

 

「どうぞ遠慮なく」。もう1人が促した。

 

 僕たちは先頭車両にいて、男の子が運転台の運転手に向かって話しかけているのを見ていた。

 

 テロリストたちが先頭車両に向かってくる。迎え撃つ僕たちは銃を構えた。だがそこで彼らは超能力を使い、僕たちの記憶を消してしまった。

 

 運転手と話していた男の子が、テロリストのリーダーに銃を向けている。僕が今も強烈に覚えているのはその光景だ。何がどうなってその子がそうなったのかは知らない。

 

 記憶と一緒に消えてしまった。記憶ではないものまで消えてしまった。

 

 

 

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足指の踊り                                                                  

 

 シャワー室で足の指を洗っているとき、彼女はバレエにそれを取り入れることを思いついた。まずはバレエから離れた日常生活の中で。その足の指を洗う動作を、自分に振り付けてみた。

 

 僕はその「足指の踊り」を舞うバレリーナに出会ったのである。キャンプ場で‥‥

 

 

 

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趣味と特技                                                                  

 

 質問者が僕に向けたのは、マイクではなかった。サラダ菜だった。答える代わりに、僕は食べた。

 

 同僚とタクシーに乗り込もうとするところで、彼は僕に言った。「お前、クビになったんだろ、来なくていいよ」

 

 ビートルズが来日する。僕は取材に行くはずだった。

 

「クビって、いつ?」「今」「今?」「お前履歴書の趣味と特技の欄に、ガラスって書いただろ?」「ガラス好きだからな、って何年前の話だよ、なんでそれが今問題になるんだ?」「社長が代わったんだよ、んで、全社員の履歴書見直したんだな、そしたら誰だ、この趣味がガラスってふざけた奴は、クビにしろ‥‥!」

 

 その話を聞いたタクシーは僕たちを乗せずに行ってしまった。

 

 ガラス?

 

 同じ夢の中で、僕はその元同僚と一緒に、人力車を引いている。客は乗せてない。仕事ではないのだ。僕たちはビートルズの4人に会いに行く。そこで趣味の話をするつもりだ。

 

 

 

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2020年9月 7日

黄色い風船                                                                  

 

 その広い駐車場に車は1台もなかった。ただ割れた黄色い風船が大量に散らばっていた。その風船にはある程度の重さがあるようで、朝の涼しい風が吹いてもどこかに飛んで行くことはなかった。

 

 

 

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崖の下                                                                  

 

 崖を下りる途中でとれてしまったその女の人の靴の踵を探している。崖の下はデパートの靴売り場になっていた。あまり客のいないデパートだ。

 

 そのスーツ姿の女の人を僕はただ「マダム」と呼んでいた。いい踵はなかった。

 

「仕方ない」とマダムは言った。「ここでもう1泊しましょう」

 

 僕はタオルの売り場に行く。大小色とりどりのタオルが干してあった。「タオルが必要だと思ったんです‥‥」と僕は答えた。訊かれてもないのに。

 

 

 

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2020年9月 6日

川魚                                                                  

 

「水道の蛇口をひねると、川魚が出てくることがある? ホントなのかな」と僕は思っていた。しかしその少女が蛇口をひねると、ほんとうに水と一緒に魚が出てきた。

 

「ほら」と少女は言った。「大変でしょ?」

 

「川に返してあげなきゃ」

 

 僕は同意したものの、ピチピチ跳ねる魚を、必死で捕まえようとする少女を、何もせず眺めているだけだった。

 

 

 

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湿度                                                                  

 

「何をしてるの、男のコたち?」という声が聞こえる。湿度0%みたいな声が。

 

 風のそよぐ音が聞こえる。パリパリパリパリッと、夢の中で聞くとそれは氷がひび割れていく音だった。

 

 

 

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2020年9月 5日

巻き戻し                                                                  

 

 列車に乗り込んだが、座る席がなかった。それで僕は時間を巻き戻して、改めてもういちど乗り込んだ。そうすると席はあった。

 

 僕はもう1回時間を巻き戻して、乗り込むところから始めた。今度はもっといい窓際の席が空いていて、隣には君もいた。

 

 

 

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2020年9月 4日

群像劇                                                                  

 

 映画に出る。群像劇だった。僕の出番は少なかった。相手役の女優の、美しさを見せるのが主な目的のシーンで、動きも、セリフも、ほとんどなかった。その有名な女優さんにしても、その一場面だけで姿を消すのだ。

 

 ロケ先のロッジに、出演者やスタッフが集まっていて、食事会だった。遅れて到着した僕は、みんなに挨拶しながら、共演の女優さんがいるテーブルへ向かった。ひとつ妙だったのは、女性たちは挨拶を返してくれるのだが、男性たちが、僕を完全に無視していたことだ。

 

 

 

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2020年9月 3日

夏休み                                                                  

 

 川辺に座って、君に電話をかけていた。今どこにいるの、と君は訊いた。僕はどこにいるんだろう。草が生えていて、穏やかな水の流れがある。夏だ。溶けていくような暑さ。今何をしてるの、と君は訊いた。

 

 僕たちは同じ学校の同じクラスだった。卒業式が終って、夏休みになった。その夏休みも終わり、僕は君に電話をかけてみた。僕にはすることがあるのかな、と。夏だ。ここにはすることがあるのかな。

 

 

 

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グーで握る                                                                  

 

 紙に書かれたはずの字が、宙に浮き、解けた。その様子を、目で追う。唐突に、間違ったペンの持ち方をしていることに僕は気づいた。グーで握るようにして持っている。それでマトモな字を書けるわけがない。現実でやっているような、正式な持ち方をしてみる。でもそうすると、ペンは親指の外側に逃げて行ってしまった。

 

 

 

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新型コロナの糞ワクチンは初回全員無料ですと国が言い出しましたが、10万円もらっても受けたくないね                                                                  

 

 日本政府は国民全員にコロナワクチンを接種しようとしている。「任意である」「強制ではない」と国は繰り返し強調するが、その安全性と有効性を疑い、拒否しようとする者は、結果的に就労と移動の自由を失う羽目になるだろう。

 

 日本は天然の全体主義国家だからね。国民同士が自主的に相互に監視しあっているからね。

 

 

 

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2020年9月 2日

木のサングラス                                                                  

 

 そのサングラスは、黒い木でできていた。レンズの部分も木なので、かけてしまうと前が見えなくなる危険があった。しかし見たこともないほどオシャレなデザインだったので、試しにかけてみることにした。

 

 途端に僕は幽体離脱して、自分を外側から見れるようになった。「すごい仕掛だ」と僕は抜け殻になった自分自身に向かって言った。「これは絶対に買った方がいい‥‥」その言葉が自分に届いたかどうかは、わからなかった。そのうちに目が覚めた。

 

 

 

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アバター銭湯                                                                  

 

 僕はむしろ沼に興味があって、周りをうろついていた。地上部分が沼、地下が銭湯となっているその施設は、違法とされていた。銭湯に入る際、客はアバターに着替えることになっていて、それなら全裸になっても恥ずかしくないと人気だったのだが、女のアバターで女湯に入る男性が続出し、結局アバター銭湯自体が違法となったのだ。

 

 それでもその銭湯は、1階部分に沼を偽装して、地下で営業をつづけた。女湯しかないが、客のほとんどは男性で、アニメの女のキャラクターのアバターで入湯する。次々と訪れるおじさんたちが、若い女の姿に変身して、服を脱ぎ、銭湯に入っていくのだ。

 

 

 

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2020年9月 1日

ゾウムシ                                                                  

 

 ゾウムシの顔をした男が、中世の甲冑を着て、ゾウムシの言葉で喋るのだが、あぁ、困ったことに、僕にはゾウムシの言葉がわかる‥‥

 

 

 

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8月の夢 振り返り                                                                  

 

大賞 「頬が先か 空が先か」

 

大賞ノミネート 「犬と人間たち」「桜吹雪」「アナウンス」「犬の気持ちのワルツ」

 

愛で賞 「後ろから」

 

哲学で賞 「キムタクと、彼の2人の息子」

 

フランスで賞 「母国語」

 

黙示録で賞 「健康」

 

 

 

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巻き寿司学校の卒業式                                                                  

 

 微動だにせず僕は、プラスチックの、細長い筒を持ったまま。

 

 巻き寿司をつくる試験に合格した生徒たちが、順に僕にキスをして、自作の巻き寿司を筒に入れていくのを、見守る。

 

 

 

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