フミヤ
美女たちを乗せた客船が到着した。船の前をスケートボードに乗って通った。美女たちは手を振っている。僕のことを指差し「フミヤー」と叫んでいる。チェッカーズの藤井郁弥だ。港にいる日本人は僕だけなので間違えたのだ。
‥‥階段を下りている(いつの間にかスケートボードは消えている)。階段は地中の狭い穴の中にある。服が泥だらけになってしまう。
暗い踊り場に出た。美女が1人待っていた。船に乗っていた美女だ。いきなり「私は26歳と言わなきゃならないのが嫌なのよ」とケンカを売ってきた。「誰も訊いてないよ」
「それがどうしたっていうのよ」
「それに僕はフミヤじゃないよ」
「それこそ訊いてないわよ」
「26歳なの?」
「どこへ行くの?」
「どこから来たの?」
「船に乗ってきたのよ」
「僕は船に乗るんだよ」
「あんたの服は汚れてる」と美女は言った。
「君の服は黒い」と僕は言い返した。
「僕の服には土がついているだけさ。土は汚くない」
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