ふたえまぶた
バスを待っていると知らない女性が話しかけてきた。僕の親しい友人だというふりをしたがっているようだ。東洋人にしては異様に彫りが深く、きれいな人だったし、話もおもしろかったので、僕も演技してあげることにした。
愛想笑いをしたり、「そうだね」などと相槌を打ったみたりである。そのうちにバスが来た。
バスの中では、僕たちは少し離れて座った。すると彼女の隣に座った男性が、彼女に話しかけた。彼も彼女の友達のふりをしているのか、それとも本当の友達なのかわからない。
彼女は僕に顔を向けて、二重のまぶたが、三重にも四重にもなるような、何とも言えない不思議な表情をした。
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