空想
猛スピードでバックしてくる車が僕を跳ねた。全身を激しく打った。すると時間の進み方が突然ゆっくりになった。頭の中を過去の記憶が走馬灯のように駆け巡った。
その記憶は、実際に体験したものばかりではなかった。夢のような空想も多く混じっていた。現実より空想の方が多かったかも知れない。
ある空想の中では、僕は美女と結婚したことになっていた。
現実には存在しない、空想の結婚相手に向って、僕は即興で考えた空想の言語で語りかけた。「○△×○△」
空想の愛の言葉だ。空想の相手には伝わらなかったが、僕は何回も何回も言った。僕は死ぬのだと悟った。
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