講演
壇上の講演者が、いつの間にか僕の背後に立っていた。僕は彼女に背を向けて、講義を聞いていたのだ。彼女は僕の肩に手を置いて、ずっと喋りつづけた。
講義の後、僕たちは並んで歩いている。行く手に、「中国」が見える。僕たちは、歩いて中国まで行くのだ‥‥もう、着いた。
そこでは‥‥誰もが日本語を話している。日本語が話せない彼女の言葉までもが、日本語だ。
彼女は、自分が何を喋っているのかわからないまま、僕に話しつづけた。恥ずかしがるような小声で「私が何を話したのが、帰ったら教えてね」‥‥そこだけは韓国語だ。
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