パンク
帰宅するとすぐ「出かけよう」と言われた。銀色のリムジンが車庫にあった。運転手はどっか行っていなかったので僕が運転する羽目になった。僕はこんな大きな車を運転した経験がない。
慎重に発進させた。ゆっくりゆっくりと家の前の道路に出た。下校の時間帯で、ギャーギャーうるさい高校生の乗る自転車に僕らは囲まれる。そのとき後ろのタイヤがパンクしていることに気づいた。
僕がブレーキを踏むと、自転車が乗った高校生たちも動きを止めた。話し声も、ピタッとやんだ。車のドアを開け僕は降り立った。制止した彼らの中に。
僕はパンクしたタイヤを見た。しばらく見た後で、「やっぱり自転車で行こう」と言った。けどその言葉を聞いても、高校生たちは、誰も動き出さなかった。固まったままだった。
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