政府支給
ピンク色の壁の家に、デヴィッドと忍び込んだ。その家の中に入ると、デヴィッドの金髪が黒くなった。
「殴らなければならない人がいるのだ」黒髪のデヴィッドは語った。
彼は手にスパナを持っていた。それで殴るのだろうか。殺してしまうかも知れない、と僕は思った。
デヴィッドの長い髪の黒は濡れたような色になって、彼の顔に張りついている。
「お前、それを‥‥」
言いかけた僕の言葉を、彼は遮った。
「心配ない。犯罪にもコロナの特例が適用される。スパナも政府支給品だ」
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