特等席
いちばん後ろの扉から、僕たちは電車に乗り込んだ。予想どおりそこには、まだ、座る席があった。それを確認して、僕たちは前の車両に移った。そこには、ほとんど席はなかった。若い女性の隣に、2つ空きがあるだけだった。
君が、その女性のすぐ隣に座った。僕はその君の隣の、特等席に座った。座布団が、何枚も積み上げてある席だ。どうしようもなく、落ち着かなかった。
やがて、駅に着いた。みんながその駅で降りて、新たに乗ってくる乗客はなかった。がらんとした車両の中に、座布団が積み上げている席がいくつか見えた。
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