«  赤と黄色の光                                                                   | トップページ |  炎                                                                   »

2024年8月 7日

 腕                                                                  

 

「何見てんだよ」女が僕にいちゃもんをつけてきた。

 

「ジロジロ腕見てんじゃねぇよ」

 

 よくよく見てみると綺麗な腕だった。こういう口の利き方をする女には珍しく刺青もない。

 

 カフェの少し離れた席に座っている女2人組だ。

 

 無視して席を立った。

 

 

 

 外に出るためには「柵」を飛び越えなくてはならなかった。

 

 僕は助走をつけてジャンプし、何とか飛び越えた。ギリギリだった。

 

 飛び越えられない老人たちは、あのガラの悪い女と一緒に、ずっと中に居続けることになる。

 

 死ぬまでずっとだ。

 

 

 

| |

«  赤と黄色の光                                                                   | トップページ |  炎                                                                   »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



«  赤と黄色の光                                                                   | トップページ |  炎                                                                   »