腕
「何見てんだよ」女が僕にいちゃもんをつけてきた。
「ジロジロ腕見てんじゃねぇよ」
よくよく見てみると綺麗な腕だった。こういう口の利き方をする女には珍しく刺青もない。
カフェの少し離れた席に座っている女2人組だ。
無視して席を立った。
外に出るためには「柵」を飛び越えなくてはならなかった。
僕は助走をつけてジャンプし、何とか飛び越えた。ギリギリだった。
飛び越えられない老人たちは、あのガラの悪い女と一緒に、ずっと中に居続けることになる。
死ぬまでずっとだ。
| 固定リンク | 0
コメント