ボスター
暑くて、裸で眠っているところに、いきなり女性が訪ねてきた。
僕はベッドではなく、床に敷いたポスターの上で寝ていた。
「うわぁ、仕上がったんですね。彼女さんのボスターですよね。やっぱりセンスあるなぁ」
フルチンの僕は何と答えたか覚えていない。
「センパイは、すごく頼りにされているんですよ」
そう言われて逆に僕のチンチンは少し縮んだ。
「私、向こうの部屋で待ってますから、早く服を着てください」
女性の着ていたシャツの生地は薄く、黒いキャミソールが透けて見えた。
黒なら見えてもいいんだろう。そう思い込むことにしている女性は多い。
僕も黒いブリーフいっちょうで、出かけることにした。
「お財布をプレゼントします」とその女性は言った。「好きなのを選んでください」
僕たちは大きな机のある店にいた。引き出しを開けると財布があった。
「これなんかどうですか?」
彼女はグレーの二つ折りの財布を手に取った。
「あっ、これ見てください。私も使っているやつです」
別の引き出しを開けて言う。そこには箱が入っていた。
「何に使うものなの?」
「やだなぁ、貯金箱じゃないですか」
そうだろうか、貯金箱には見えない。
「早いけど食事にしましょうか? ここ、レストランなんですよ」
「えっ‥‥」
彼女はまた別の引き出しを開けた。そこにはナイフとフォークとスプーンと皿が入っている。皿の上には料理がのっている。
「箸はどの引き出しに入っているのか」
僕がそう訊くと、彼女はとてもセンスのいいジョークだというふうに頷いてから、笑った。
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