秘密
双子の妹の1人にだけキスをして、もう1人には絶対にしなかった。
妹たちは僕に何でもいろんなことを訊いてきたけど、そのことだけは訊こうとしなかった。
訊かれたら答えようと思っていた話がある。それは最初は一言だった。キスを繰り返すたびに長い説明になった。そのうちにそれは「物語」になって、何かの理由ではなくなった。
10代のころの僕たち3人は、その物語の中を生きていたのだ。
お互いに絶対に明かすことのない秘密を1つだけ抱えている、という物語を僕たちは共有していた。
大人になれば、僕たちはバラバラになって生きるだろう。
バラバラになってしまえば、僕たちは平凡な人間だろう。
しかしその語られることのなかった物語が誰かの口から語られるとき、僕たちは再び特別な人間になって、結びつき輝くだろう。
そう固く信じていた。
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