タイヤ
サンタクロースが枕元に立って、「お前にプレゼントをもってきたぞ」と言った。僕は薄目を開けた。まだ10月だった。
「何をもってきてくれたんですか?」
「ユーノス・ロードスター2+2だ」
「すごい、4人乗りなんですか?」
「それにタイヤをオマケでつけておいた。1億円のタイヤじゃ」
「タイヤが1億円って、どういうことです?」
僕は完全に目を開け、起き上がった。しかしサンタクロースの爺さんは消えていた。
‥‥
玄関の扉を開ける。そこにクリーム色のオープンカーはあった。近所に住む友達が、既に何人か集まっていた。
「どうしたんだよ、これ?」
「ユーノスのホイールベースを伸ばして、4人乗りにしたのか。でもスポーツカーじゃなくなっちまったな」
「本当にすごいのは、そこじゃない」と僕は言った。「このタイヤを見てみろ」
| 固定リンク | 0
コメント