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2024年11月 6日

 しきたり                                                                  

 

 女房が死んだ。子供が残された。僕の子供なのかはわからない。女房はずっと浮気をしていたから。

 

 葬式のあと女房の、最後の浮気相手が家に来た。そして僕たち結婚しませんかと申し出た。同性婚。狂った世の中になった。僕にホモ気はない。

 

 しかし彼は本気だった。女房に近づいたのも、僕が目当てだったとゲロった。彼は金持ちだったから、どうしようかと僕は悩んだ。

 

 彼は金属の細長い切れ端を、ネックレスにつける飾りにしていた。これは電気を通さないんだ、と彼は言った。絶縁体って言うんだ。電気を通さないから何だ、と僕は思った。

 

 彼はそれを僕にくれると言う。僕は受け取って、財布の中にしまった。それで僕たちは夫婦だった。離婚するときはその絶縁体だか何だかを返せばいい。

 

 帯電してしまったらどうだとか、ホモのしきたりなど知らないさ。

 

 

 

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