緑色の屋敷
「緑色の屋敷」を出て、帰り道を歩く。そこで屋敷の方へ向かう、何人もの着飾った女とすれ違った。ほとんどが若い女性だった。これから何があるのだろう。コンサートかトークショーだろうか、ポスターも何もなかったはず。それともネットで告知されたのか。好奇心に駆られ、僕は戻ってみることにしたのだ。
大広間には椅子が並べられていたが、集まってきたはずの若い女性たちは、どこにもいなかった。執事のような格好をした年齢不詳の男性に事情を訊ねた。しかし彼も何も知らないという。座っていいかと訊く。いいとも悪いとも答えはなく、僕は座った。そして何かが始まるのを、待ちつづけた。
沈黙、そして静寂。それは、これから起こるはずのことのBGMだったのかわからない。緑はどんどん濃くなっていった。
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