帽子
家に帰り、帽子を脱いだ。つばの広い、女物のハット。それを見た女房は、首に巻いていたスカーフを外した。青いシルクのスカーフで、それを帽子に巻いて、飾りにすると言った。
僕はそのスカーフを巻いた帽子を、もういちどかぶってみた。似合うかどうか、試しに。するとなぜかはわからないが、帽子は大きくなっていた。
「帽子が大きくなったんだけど」と僕は言った。
女房は「そんなことあるわけないじゃない。あなたの頭が小さくなったのよ」
僕はスカーフを外して、もういちど帽子をかぶり直した。(元に戻ったみたいだ。)
スカーフは女房に返した。「それは誰のスカーフなの?」と女房は訊いた。
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