ロゴマーク
細長い部屋に、若者たちが住んでいた。男も女もいた。女の方が多かったと思う。家具は何もなかった。ただ細長いテーブルがあって、そこに彼らの持ち物が全部乗っていた。彼らはテーブルに顔を伏せ、眠っているようだった。
彼らの持ち物の中には、必ず1つ、近くにある日用品店のロゴが入った何かがあった。コカコーラのマークに似た赤いロゴが入った、石鹸や、生理用品だ。僕は、彼らを起こさないように、静かに歩き、テーブルの上に出された、各々の持ち物を見て回った。
それから、階段で1階に下り、置いてあったノートに、自分の名前を書いた。来週から、僕もここに住むのだ。名前を書く欄の隣には、赤いロゴマークが小さく印刷してあった。僕はそのロゴマークに、黒いペンで丸い印をつけた。
| 固定リンク | 0
コメント