横断歩道
何がびっくりしたといって、横断歩道が道を渡っているのを見たときはびっくりした。
信号が青から赤へ変わろうと点滅している。横断歩道は走り出した。
そのとき「いいよ」と誰かが言った。たしなめるような女の声であった。
「走らなくていいんだよ」
「そこにいていいんだよ」
横断歩道は道の真ん中で立ち止まった。
車が次々と彼(彼女?)を轢き、平らにしていく。
ところで声はどこのスピーカーから聞こえてきたのだろう。
そこらじゅうスピーカーだらけであった。
| 固定リンク | 0
コメント