ポスター
帰る時間になった。しかし誰も帰らない。そこで僕は口に出して言った。「そろそろ帰ろうかな」「タクシーで帰ろうかな」
それでも誰も反応しない。まぁいい。僕は配車アプリでタクシーを呼んだ。すぐにやってきた。運転手が部屋の中に入ってきた。彼は手にポスターを持っている。
「ここにこの方はおられますか?」
ポスターに写っているのは僕だ。僕はしばらく知らんぷりをしていた。運転は部屋にいる男女にポスターを見せ、この方を知りませんかと訊いている。誰もが知らないと答えた。
最後にその運転手は僕のところへやってくる‥‥「この方を知りませんか?」「僕です」と僕は答えた。
「でもこの写真はちょっと間違ってますね。僕はまだ士官じゃありません。候補生の1人です」
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