ホテル
タクシーでホテルまで行った。部屋に入りラジオをつけた。もちろん現地語であった。賑やかな言葉だ。出演者たちが何を喋っているのかさっぱりわからなかった。
ときどき音楽がかかった。レコードではなくスタジオでの生演奏のようだ。それを聴きながら誰かが僕を探しにくるのを待っている。
探しに‥‥?(僕は決して逃げ隠れているわけではない)
期待していたのとは別の人が僕を迎えにくるまで、僕はそのホテルの部屋でラジオを聴いていた。
「ここで何をしていたの?」とその人は訊いた。僕は読めない字で書かれたメモを手に持っている。タクシーの運転手に渡したメモだ。
「それ、ここの住所じゃないよ」とその人は教えてくれる。
| 固定リンク | 0
コメント