山道
何かから逃げるようにして、僕らは山に登っていた。追い立てられるように‥‥いろんな山に登ってきたが、そんなふうに登るのは初めてだ。
山道には丸い木のテーブルが設置されていた。どのテーブルの上にも料理が乗っていた。世界各国の料理が、みごとな盛りつけで。
料理は厨房から出てきたばかりのようにアツアツだ。
しかし誰も見向きもしない。
きっと何かの罠なのだ。巧妙で、恐ろしい仕掛けがそこにはあるのだ。
そう気づいた僕は、山道ではなく、テーブルの上を歩くことにした。靴で皿を踏みつけて割る。
それを見た年長者が、食べ物を祖末にしてはいかん、と僕を叱った。
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