黒目
気づくと彼女の目は、動かなくなっていた。目が、黒目だけになっていた。それで、動かせないのだ。死んでいるわけではないのだ。
僕は顔を近づけ、その目に映った自分の姿を眺めようとした。しかし、そこには何も映ってなかった。まだ、スイッチが入ってなかった。
僕は、彼女に僕を殴らせた。最初は彼女の手を取って、軽くだ。そうすると、彼女のスイッチは入った。彼女は、美しい、美しい、と言いながら、本気で、僕を殴り始めた。僕も、殴られる度に、心から、美しい、と言った。
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