アイスクリーム
久々の帰国。近所に住んでいた仲間は、僕のことを覚えていない。ほら、隣に住んでいた‥‥僕ですよ、と言っても無駄だった。僕は昔、みんなで撮った写真を見せた。鍋を囲んで、シメのアイスクリームを食べていたときの写真だ。1人がふざけて、アイスを鍋に入れようとしている。ほら、これが、僕ですよ。覚えていませんか?
集まっていた内の1人が、濡れた指で僕のスマホの画面に触れると、何かが起動し、狂ったように歌い出す。それは、聴いたことのない歌だった。あぁ、そうだ思い出したよ、懐かしいね、とみんなが言って、笑った。皮肉だと思った。いや嘘だと思った。わかっていたことだが、それは、僕だけが聴いたことのない歌だった。
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