雪女
「雪を貸してあげる」とその人は言った。
「使わなければ、ただの雪よ。返してくれなくてもいい」
「ただっていうのは、無料って意味?」
「そう。でも使ってしまったら、返さないとね。雪で返すことは、あなたにはできないでしょう?」
「それは、何で返せばいいんだ?」
「ふふふ。使わなければいいのよ。そうすれば、雪はただの雪‥‥」
「やめてくれ。やめてくれ。そんなもの必要ない。貸してくれなくていい」
「大好きなあなたに、貸してあげる。返さなくていいのよ。ね?」
「いらないって言ってるだろ‥‥」
「うふふふ」
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