狼の毛
誰もいなかった。僕の家ではなかった。おそらく金持ちの家だ。家中のあちこちに電話があった。電話の脇には日めくりのカレンダー。1つの日に、1つの電話番号が書いてある。僕の誕生日の日付に書かれた番号に、僕はかけた。女が出た。今から来いよ、と僕は誘った。
女を待つ間、フロに入った。鏡を見ると、僕の体には狼男のような剛毛が生えていた。女が嫌がるかも知れない。僕は全身の毛を剃った。首のまわりに、マフラーのように生えている毛だけは残した。
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