フラッシュ
最初から変な話だった。西日本から北海道へ行く途中であなたの住んでいる東京に寄る。そのときにお会いしましょうと女は言った。北海道までは飛行機で行くんじゃなかったのだろうか。待ち合わせ場所は彼女が指定してきた。聞いたこともないホテルのプールだった。そこには若い女性しかいなかった。そのほとんどが白人で、モデルのようなスタイルをしていた。「やはり豊胸手術をしているんですか?」心の声が実際に口に出てしまいそうだった。(声は届いてしまったのかわからない。ひときわ美しい女が僕の前にやって来て‥‥)
男性の僕がこんなところに入っていいのかと思う。彼女は遅れてやってきて、泳がないんですか? と訊いた。言い終わらないうちに水色のエナメルのシューズを脱いでいる。それからワンピースを脱いだ。その下は淡い色のビキニだった。透けて見えそうなほどだった。水面が太陽の光を反射する。まるで幾万のフラッシュが焚かれたかのようだ。
| 固定リンク | 0
コメント