サーチライト
パンを買うのに、店の中で並んだ。並ぶとき、「立っていてはいけない」という決まりがあった。僕と彼女は、しゃがんで、膝を抱えた。そのまま、じりじりと、カウンターの方へ進んだ。やっと順番が来ると、サーチライトのような強い光を、目が溶けてしまいそうなほどの光線を、店員は僕たちに浴びせた。
「えっと、左のパンと、あっ、その横のを‥‥3つください」目が眩んだまま、注文を出した。
僕と彼女は、これから、僕の母の家に行く。泊まりになることは、伝えてあった。パンは、朝食にするつもりで買った。僕のとても若い恋人は、10代だが、僕と結婚するつもりでいる。(彼女は不思議な生き物だ。)まだ早すぎる、と母が諫めてくれることを、僕は期待していた。
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