赤い傘
ミニトマトを半分に切ったが、それはてんとう虫にはならなかった。僕は黒いマジックで、ミニトマトにてんとう虫の模様を描いた。
てんとう虫だ。僕はそれを食べた。すると僕の口の中でそれは、また、ミニトマトに戻る。
まだ雨は降ってなかったが、降るという予報だ。 娘たちはそんな僕の独り言を聞いて、くすくすと笑うばかり。
僕は、赤い傘をさしている。
駅まで友人を迎えに行く途中、その傘の中に、子供たちが入ってきた。「ありがとう」「ありがとう」と言って、中に入ってきた。
子供たちのペースで、しばらく歩く。
まだ、雨は降ってない。(しかしこれから降るのだよ。)
天に向かって、唾を吐いた。その唾は‥‥落ちてこなかった。