青森
それは、自動運転のバスだった。運転手の制服を着た女性は、何のためにいるのかわからない。彼女は僕たち乗客と一緒に、席に腰掛け、スナック菓子を食べている。
「食べる?」と言って、菓子の袋を持ち、僕の側に来た。
「ありがとう。でもいらない」と僕は答えた。そのとき、バスは前方で起きた事故を避けるように、脇のトンネルの中に入った。
トンネルの中は「青森」だった‥‥
男は上半身裸で、女も水着のようなものを着て、道を歩いている。それを見て
「アオモラー」と運転手は言った。「私、青森出身なの」
「こういうの、恥ずかしくて‥‥」
「だから東京に出てきたの?」と僕は訊いた。
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