姉
姉が家に遊びに来るというので駅まで車で迎えに行った。姉の機嫌は非常に悪かった。なぜかは知らない。
直接会うのは何十年ぶりかである。小さいころ、姉は体が弱かった。蒼白い顔をして、いつも家で寝ていた。けれど久々に再会した姉に病弱な少女の面影はなかった。「すごく元気そうだね」と僕は声をかけた。
車の助手席に乗りこんだ姉は言った、「何なの、この車」
僕の愛車はポルシェの911である。
「子供っぽい趣味」
そこで僕は「すごく元気そうだね」と声をかけたのだ。皮肉が伝わったのかどうかわからない。
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