延長コード
コンセント差し込み口は天井に1箇所しかなかったので、業者が部屋にテレビを運んできたときも、彼らはどこに設置すればいいのか迷った。本棚の上を片づけてそこに置くしかないが、それでも線は届くか届かないかだろう。
あったはずの延長コードが、見当たらない。母に訊いてみると、捨てたと言う。「ピンク色の延長コード、気に入っていたのに」「色が気持ち悪かったの、男の子なんだからあんなのだめ」「白と黒もあっただろう?」「知らないわ」「勝手なことすんなよ」口論になった。
父が割って入ってきた。「おれが弁償するよ、いくらだ?」
あまりにも頭にきて僕は1つ5千円だとふっかけた。父は黙って1万円札を出し、釣りはいらないと言った。その1万円札を持って僕は家を出た。
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