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2025年4月30日

 博物館                                                                  

 

 その博物館で展示されている本の中に入った。

 

 年に何回かそういう体験ができるのだ。

 

 案内役の職員に導かれて、暗い廊下を進む。

 

 職員は魔界と言っていたが、VRの仮想空間だろう。

 

 途中、おみくじのようなものを引かされた。

 

 大吉だった。

 

「よかったですね、これで現実世界に戻れますよ」

 

「いや、よかったって、まだ何も見てないじゃないですか」

 

「ふつうは何年も彷徨いつづけるんです」

 

「はぁ、‥‥じゃ帰るとしますか」

 

 正直期待外れだったが。

 

 ぱっと仮想空間が消える。

 

 リアルの僕は、服を全部脱がされた状態で独房に監禁されていた。

 

 先程の案内係の職員が、僕の服を持ってあらわれた。

 

「いいですか、シャツを足に履いてください。それから、ズボンに腕を通して」

 

 僕は言われたとおりにした。

 

 そして靴を手に履いた。

 

 

 

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