博物館
その博物館で展示されている本の中に入った。
年に何回かそういう体験ができるのだ。
案内役の職員に導かれて、暗い廊下を進む。
職員は魔界と言っていたが、VRの仮想空間だろう。
途中、おみくじのようなものを引かされた。
大吉だった。
「よかったですね、これで現実世界に戻れますよ」
「いや、よかったって、まだ何も見てないじゃないですか」
「ふつうは何年も彷徨いつづけるんです」
「はぁ、‥‥じゃ帰るとしますか」
正直期待外れだったが。
ぱっと仮想空間が消える。
リアルの僕は、服を全部脱がされた状態で独房に監禁されていた。
先程の案内係の職員が、僕の服を持ってあらわれた。
「いいですか、シャツを足に履いてください。それから、ズボンに腕を通して」
僕は言われたとおりにした。
そして靴を手に履いた。
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