武田
寝ていると、枕元に誰か立って、車を買えと言う。「そんな金ないぞ」と答えて、目を開けた。朝だった。
食堂には初めて見る顔が2つあって、1人は武田、もう1人は北澤と名乗った。
僕は自分の名前を忘れてしまったと言って詫びた。
「俺はあなたの名前を知ってますよ」と武田が言った。
「俺は知らないな」と北澤。
「教えてやろうか?」
「いや、いい」と北澤。
「ところでしばらく連絡ができなくなるんだ」と武田は僕に言った。
「連絡?」
「事情があってな。それで困ったことがあったら‥‥」
何を言ってるんだ、この人は。
テーブルの上に食事が出ていた。3皿とも僕の分だろう。しかしすべての料理はデザートに見えた。
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