指
少女が食べようとしていた巻き寿司に、砂がかけられた。ひどい嫌がらせ。
「気にすることないよ」と少女は僕に言った。(それは僕が少女にかけようとした言葉だ‥‥)
少女は僕の肩に手を回す。つかまえられた。長い腕に。彼女は僕の顔を白い包帯でぐるぐる巻きにし始めた。
「どうしてこんなことするの?」
「気にすることないってば‥‥」
もう何も見えなかった。口もきけなくなった。辛うじて匂いを嗅ぐことはできた。僕は少女の指の匂いを嗅ぐ。
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