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2025年5月 5日

 お通夜                                                                  

 

 私の不倫相手が亡くなったことを夫は知っていて、その日、私たちは黒い服を着た。ファミレスに行き、お通夜のようなことをした。

 

 ずっと以前から私たちの間には会話がなかった。しかしその日だけは話が弾んだ。昔に戻ったようだった。

 

 私は離婚届を書いていて、「お通夜」の終わりに夫に渡した。夫は黙って判を押し、私に返した。

 

 すべては終わったんだなと思う。

 

 帰宅すると、いつものように夫は私を殴った。私はとうの昔に、痛みも悲しみも怒りも、何も感じなくなっていたのだが、その夜だけは違った。

 

 それに気づいた夫は、いつも以上に執拗に、強い力で私を殴る。それは私が望んでいたことでもあった。

 

 

 

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