サイン
彼女のテーブルの周りに円く僕たちは集まった。ファンの差し出す色紙に彼女は順番にサインしていく。最後に僕の番が来た。
僕が差し出したのは色紙ではなく、3つの詩が印刷された1枚の紙だった。
「私の大好きな詩よ」と彼女は喜んだ。
テーブルの下から彼女は1枚の紙を出し僕に見せた。そこには僕の好きな詩が印刷されていた。
「すごい、これは‥‥」
「サインはこっちの紙にするね」と彼女は言った。
握手をしてもらおうと思って出した僕の手にも彼女は何か書いた。詩の文句のようである。
僕は目を開けそれを読んだ。確認した。それからもういちど目を閉じ、夢の中に戻った。
| 固定リンク | 0
コメント