時報
2人の女の子はスマホを見ている。「時報が鳴る」と言う。「地球の裏側で」
「何時の時報が?」
「正午よ」「決まってるじゃない」
僕たちは息をひそめてその時を待つ。
プッ、プッ、プッ、ポーーーーン。
「鳴ったよ」と僕は言った。しかし彼女たちはスマホから顔を上げない。
「鳴ったよ!」もういちど僕は言う。
「そうね」と彼女たち。
「歩き出しても、いいころよね」と1人がまっすぐ前を見て言った。
「どこへ?」
何を言っているのかしら、この人は?(そういう顔をする2人。)
「歩き出す‥‥?」
僕もその表情を真似てみるのだった。
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