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2025年5月31日

 指                                                                       

 

 その女が逃げたから僕は追いかけた。僕が追いかけたからその女は逃げた。どちらなのかわからないが、僕がつかまえたからその女はつかまったのだ、僕に。

 

 僕は女の手袋を脱がせた。彼女には指が1本もなかった。ドラえもんのような手をしていた。「指をどこにやった?」と僕は問いつめた。

 

「手袋を返しなさいよ」

 

「指の在処を教えろ、そうすれば‥‥」

 

「指なんかないわ」

 

 そこで僕の同僚が追いつき、女に手錠をかけた。「指を返してやれ」と彼は言った。

 

「これは指じゃない、手袋だ」

 

 同僚は「‥‥削減」という言葉を口にしたかも知れない。しなかったかも知れない。

 

「いいから返すんだ」

 

 手袋はいつの間にか真っ赤に染まっている。

 

 

 

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