ヒロスエ
少女は「夢」と言い、ヒロスエは「有名」と言う。
眼鏡が似合う少女が僕に話しかけてくる隣で、ヒロスエも僕に話をしている。聞いてあげなければならないが、2人同時に話しているので難しい。
いま話題は、眼鏡のことだ。
ヒロスエを無視して、「とてもよく似合うね」と少女を褒める。
「ブス」
「すごいブス」とヒロスエは言った、僕に向かって。少女に対してではない。少女は聞いてない。
少女は「有名」と言い、ヒロスエも「有名」と言う。
ヒロスエは、バッグの中から眼鏡を取り出してかけた。
「似合うね」と僕は言った。
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