白い象
二足歩行する白い象が、黒い傘をさし、降りしきる雪の中を歩いている。象の背丈は僕と同じくらいだったが、子象というわけではなさそうだ。どこへ行くのだろう。
というか、ここはどこなのだろう。都会の真ん中のはずだが、あるはずのものが何もない。地平線の果てまで見渡しても‥‥
象を追いかけた。
それと不思議なのは雪に足あとが残らないことだ。象の足あとも、僕の足あとも。傘の黒だけが目印だった。
いつの間にか雪はやみ、象は黒い傘を畳んだ。そうすると白い雪に、象の白い体が紛れて見えなくなった。
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